がり)” の例文
今度はおれの五がりの頭をかすめて後ろの方へ飛んで行った。山嵐はどうなったか見えない。こうなっちゃ仕方がない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
犬には寒さを防ぐ為に大抵物が着せてある。腰から以下を二がりにし上半身の毛を長く伸ばして獅子の形にした犬などは憎さげだ。夫婦づれで乳母車を押して来るのもある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
がりびたのがまへ鶏冠とさかごとくになつて、頷脚えりあしねてみゝかぶさつた、おしか、白痴ばかか、これからかへるにならうとするやうな少年せうねんわしおどろいた、此方こツち生命いのち別条べつでうはないが、先方様さきさま形相ぎやうさう
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十四のトム公は、生活力をスリらした四十男をしりえに連れて、ぽかぽかと木靴を躍らして歩いた。矮短わいたんな体をズボンつりで締めて、メリケンがりの頭へがまいぼみたいに光る鳥打帽を乗っけている。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みかきのはこれもとりて、割據かつきよつくえうへりかゝつて、いままで洋書ようしよひもとゐたは年頃としごろ二十歳はたちあまり三とはるまじ、丸頭まるあたまの五がりにてかほながからずかくならず、眉毛まゆげくて黒目くろめがちに
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
月は正面からおれの五分がりの頭から顋のあたりまで、会釈えしゃくもなくてらす。男はあっと小声に云ったが、急に横を向いて、もう帰ろうと女をうながすが早いか、温泉の町の方へ引き返した。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)