たう)” の例文
ゆきつかねたやうですが、いづれも演習行軍えんしふかうぐんよそほひして、眞先まつさきなのはたうつて、ぴたりとむねにあててる。それが長靴ながぐつたかんでづかりとはひる。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
切りたるぞはやとらへ給はれと云ふ間あらせず重四郎は心得たりと一たうひらりと拔より早く練馬ねりま藤兵衞を後背うしろよりばつさり袈裟掛けさがけに切放しければ是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夕飯が済んでから見に行つた。寒い晩のことで、皆毛皮などを着込んで見物してゐる。たうつて来てゐるものなんぞは殆ど無い。そこへ小久大将が来られた。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
拳銃や、トルコ刀や、ヤタガンと云ふ曲つたたうや、匕首ひしゆなんぞの種々な形をしたのが、その男の前に積み上げてある。僕が近寄ると、その男は身を屈めた。僕はその様子を見てゐた。
不可説 (新字旧仮名) / アンリ・ド・レニエ(著)
魚市場落日いりひあかきに手品師は鍔までもりゆうとたうを呑みつも
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
寒氷かんひやうありみづからたうり氷をけづらる、きやうに入る事甚し
かれに取るゝ共時宜じぎよらば長庵めを恨みの一たうあびかけ我も其場でいさぎよく自殺をなしうらみをはらさんオヽさうじや/\と覺悟を極めかねて其の身がたしなみの脇差わきざしそつと取出して四邊あたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
剃者のたうるのが常に異なつてゐても、榛軒は毫も心附かずにゐたのである。是が一つである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
寒氷かんひやうありみづからたうり氷をけづらる、きやうに入る事甚し
發し其金の五十兩とは何所から出したる金なるぞ夫程迄にかくと云事ならば其方が養父の宅へ引摺ひきずりゆきて金の出所たゞして呉ん已に屹度きつと穿鑿せんさくに及びし上にて黒白くろしろわかちを付んと一たう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)