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其辺
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そこら
ふりがな文庫
“
其辺
(
そこら
)” の例文
旧字:
其邊
戦争以来日本にも
其辺
(
そこら
)
ぢゆうに成金が殖えたが、万事が吾が
邦
(
くに
)
よりもずつと大袈裟な米国では、その殖え方が一段とづば抜けてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
見ると、誰が何うして投ったか、一條の
小柄
(
こずか
)
が相手の武士の首筋を縫って、血は庭石も浮くばかりに
其辺
(
そこら
)
をひたして居ります。
新奇談クラブ:01 第一夜 初夜を盗む
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
されば今日
丈
(
だけ
)
の
厄介
(
やっかい
)
になりましょうと
尻
(
しり
)
を
炬燵
(
こたつ
)
に
居
(
すえ
)
て、退屈を輪に吹く
煙草
(
たばこ
)
のけぶり、ぼんやりとして
其辺
(
そこら
)
見回せば端なく
眼
(
め
)
につく
柘植
(
つげ
)
のさし
櫛
(
ぐし
)
。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何うも
其辺
(
そこら
)
だろうと鑑定が附いていた、ま宜しいが、
彼
(
か
)
の松蔭並びに神原兄弟の者はなか/\悪才に
長
(
た
)
けた奴ゆえ、
種々
(
いろ/\
)
罠をかけて、
私
(
わし
)
が云ったことを
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
到底君達は嬢様のやうな立派な申分の無い淑女の配偶たる権利が無いんだから子。
寧
(
いつ
)
そ諦めて人物相応に
其辺
(
そこら
)
の下宿屋か牛肉屋の女でも捜し給へ。なに、失敬極まると。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
いかにも淋しく感じましたがどうも
して見よう
(
しかた
)
がない。何か
遣
(
や
)
りたいと思っても
其辺
(
そこら
)
に草もなし。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
其辺
(
そこら
)
は
既
(
も
)
う場末の、通り少なき広い
街路
(
まち
)
は森閑として、空には黒雲が斑らに流れ、その間から覗いてゐる十八九日許りの月影に、街路に生えた丈低い芝草に露が光り、虫が鳴いてゐた。
札幌
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
で、今度はまた新しい画絹の上に、
蝌蚪
(
おたまじやくし
)
のやうなものを
描
(
か
)
きかけたが、「駄目だ、駄目だ。」と
呟
(
ぼや
)
いてまた
其辺
(
そこら
)
へおつ
投
(
ぽ
)
り出した。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ジッと
此方
(
こなた
)
の顔を見つめらるゝにきまり悪くなって
一
(
ひ
)
ト足離れ
退
(
の
)
くとたん、
其辺
(
そこら
)
の畳雪だらけにせし
我沓
(
わがくつ
)
にハッと気が
注
(
つ
)
き、
訳
(
わけ
)
も分らず
其
(
その
)
まゝ外へ逃げ出し
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「どうせ最う
眠
(
ね
)
られんから運動がてら
其辺
(
そこら
)
まで送って行こう」とムックリ起上って、そこそこに顔を洗ってから一緒に家を出で、津の守から坂町を下り、士官学校の前を
市谷見附
(
いちがやみつけ
)
まで
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
虱は慌てて
其辺
(
そこら
)
を
這
(
は
)
ひ回つたが、職人の掌面は職人の住むでゐる世界よりもずつと広かつた。虱は方角を
取
(
と
)
り
損
(
そくな
)
つて中指にのぼりかけた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
華尾高楠先生なんかも法律万能を鼻に掛けて法律智識の有無を人物の標準と心得ておるが、高が五六十頁か
其辺
(
そこら
)
の筆記物の二十冊や三十冊や呑込んだ処で大人物とは恐入つたもんだ子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
まあ
其辺
(
そこら
)
の
塵埃
(
ごみ
)
の無さゝうなところへ坐つて呉れ、油虫が這つて行くから用心しな、野郎ばかりの家は
不潔
(
きたない
)
のが
粧飾
(
みえ
)
だから仕方が無い、
我
(
おれ
)
も
汝
(
おまへ
)
のやうな好い嚊でも持つたら
清潔
(
きれい
)
に為やうよ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
其辺
(
そこら
)
にある机や碁盤をえつちらをつちら持ち出して来て、平気でそれに腰を掛ける事で、几帳面な主人は、大抵が苦りきつて顔を
顰
(
しか
)
める。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何
(
ど
)
れも
其辺
(
そこら
)
の
勧工場
(
くわんこうば
)
で買へない
高料
(
たか
)
い品を月に一遍位は
必
(
きつ
)
と持つて来た子。
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
散銭はお上人に当てつけたやうに、
其辺
(
そこら
)
をころころ転げ廻つてゐたが、いつの間にか草のなかに滑り込むで、そのまゝ姿を隠してしまつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
蟻はすつかり
喰
(
た
)
べ酔つたが、それでも人間のやうに片手を
他
(
ひと
)
の鼻先で拡げて金を貸せとも言はないで、唯もう
蹣跚
(
よろ/\
)
と、
其辺
(
そこら
)
を這ひ廻つてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其辺
(
そこら
)
の軒下や繁みのなかからは、
内証話
(
ないしようばなし
)
や、
接吻
(
キツス
)
に夢中になつてゐた雀や山鳩やが慌てて
真赧
(
まつか
)
な顔をして飛び出した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そして女中の持つて来た物尺を
引手繰
(
ひつたく
)
るやうにして、日本と英吉利との距離を克明に測つてゐたが、暫くすると、地図と物尺とを一緒に
其辺
(
そこら
)
に
投
(
ほ
)
り出した。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
起き上つた久世氏は、うそうそ
其辺
(
そこら
)
を嗅ぎ廻してゐたが、三井氏の姿が見えないと、その儘表へ飛び出した。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その露西亜人は汚れた手先を綺麗に水で洗つたが、さて
濡手
(
ぬれて
)
を拭かうにも
手帛
(
ハンケチ
)
一つ持ち合はさなかつたので、両手をぶら下げたまゝきよろ/\
其辺
(
そこら
)
を見まはしてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
辺
常用漢字
小4
部首:⾡
5画
“其”で始まる語句
其
其処
其方
其處
其様
其許
其奴
其所
其儘
其後