其位そのくらゐ)” の例文
其位そのくらゐぢや滿足まんぞく出來できないわ』といたましげなこゑあはれなあいちやんがつぶやいて、さておもふやう、『うかして芋蟲いもむしおこりッぽくしない工夫くふうはないものかしら』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
モウ二三にんるまで待つてはられぬ、はらへつたまらぬのぢや——これめしと間違まちがへたとふ話です、其頃そのころ商売しやうばいではなかつたから、其位そのくらゐのものでござりましたらう。
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
まあうそでもいさよしんばつくりごとにしろ、かういふ不幸ふしあはせだとか大底たいていひとはいはねばならぬ、しかも一や二あふのではなし其位そのくらゐこと發表はつぴやうしても子細しさいはなからう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
病院びやうゐんなどにはひるものは、みんな病人びやうにん百姓共ひやくしやうどもだから、其位そのくらゐ不自由ふじいうなんでもいことである、自家じかにゐたならば、猶更なほさら不自由ふじいうねばなるまいとか、地方自治體ちはうじちたい補助ほじよもなくて
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
宗助そうすけわらした。かれ其位そのくらゐ吝嗇けち家主やぬしが、屋根やねるとへば、すぐ瓦師かはらしこしてれる、かきくさつたとうつたへればすぐ植木屋うゑきやれさしてれるのは矛盾むじゆんだとおもつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わしなども其位そのくらゐな苦しみをしてやうやういふうへになつたのだ。とはれて此人このひと多助たすけのいふことを成程なるほど感心かんしんしたから、自分もなんあきなひをしようといふので、これから漬物屋つけものやを初めた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
鰹舟かつをぶねまうけたら、其位そのくらゐわけなささうなもんぢやないか」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)