入組いりく)” の例文
栃木県の一部分にも、たしかまた草履を片足盗んで斬られたという話があり、顛末てんまつは少し入組いりくんでいたが、寺の名は長松寺とか何とかいっている。
商売人と云うものは入組いりくんで/\滅茶々々めちゃめちゃになったとうその間に、又種々様々の面白いことのあるもので、そんな馬鹿な事が出来るものか、ただに商売人に眼らず
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「それが、どうしても先生に、所外まで御出おいで願いたいということなんで、実は、いろいろ入組いりくんだ事情もございまして、所内へ入るのはいやだと仰有おっしゃいますのですが……」
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ひさしい以前いぜんだけれども、いまおぼえてる。一度いちど本郷ほんがう龍岡町たつをかちやうの、あの入組いりくんだ、ふか小路こうぢ眞中まんなかであつた。一度いちどしばの、あれは三田みた四國町しこくまちか、慶應大學けいおうだいがくうらおも高臺たかだいであつた。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それとつながらない他の府県にも飛び飛びにひろ行渡ゆきわたっているうえに、方法と言葉の異同が入組いりくんでいるのは、何か一つの古い起りがあって、近年の流行ではないように思わせる。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
……ずゐぶん露地ろぢ入組いりくんだ裏屋うらやだから、おそる/\、それでも、くづがはらうへんできつくと、いたけれども、なか人氣ひとけさらにない。おなじくなんけてるのであつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ソレがほぼ分るようになろうと云うまでには骨の折れた話で、そのいわれ因縁が少しずつ分るようになって来て、入組いりくんだ事柄になると五日も十日もかかってヤット胸に落るとうようなわけ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おもてからは、木戸きどひと丁字形ちやうじがた入組いりくんだほそ露地ろぢで、いへいへと、屋根やね屋根やね附着くツついてところだから、珊瑚さんごながれは、かべひさしにしがらんで、かるゝとえて、表欄干おもてらんかんからたのとくらべては
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)