トップ
>
僻見
>
へきけん
ふりがな文庫
“
僻見
(
へきけん
)” の例文
日本にはまだそうした
僻見
(
へきけん
)
の捕虜となっているものが、なかなか多いらしいから、特にこの一章の精読を希望して止まぬ次第である。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
愛するのは自分のためではなく、他人のためだと主張する人は、
先
(
ま
)
ずこの辺の心持を
僻見
(
へきけん
)
なく省察して見る必要があると思う。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
斯
(
こ
)
んな
僻見
(
へきけん
)
に比べるとニーチエの方が
何
(
ど
)
の位
尤
(
もつと
)
もであつたか分らない。……そこで吾々は
何
(
ど
)
うしても「力」といふ観念をこゝで一新する必要がある。
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一、あるいは解しがたきの句をものするを以て
高尚
(
こうしょう
)
なりと
思惟
(
しい
)
するが如きは俗人の
僻見
(
へきけん
)
のみ。
佶屈
(
きっくつ
)
なる句は貴からず、平凡なる句はなかなかに貴し。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
稽古本
(
けいこぼん
)
で見馴れた仮名より外には何にも読めない
明盲目
(
あきめくら
)
である。この社会の人の持っている
諸有
(
あらゆ
)
る迷信と
僻見
(
へきけん
)
と虚偽と不健康とを一つ残らず遺伝的に譲り受けている。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
然
(
しか
)
るに、
亜米利加
(
アメリカ
)
では、平和を唱えながら
却
(
かえ
)
って日本人排斥をやるが、我輩はこういう議論だ。今度の大戦は何から起ったかというと、民族的
僻見
(
へきけん
)
が根本になっている。
大戦乱後の国際平和
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
これは
無論
(
むろん
)
作者
(
さくしや
)
に對する一
種
(
しゆ
)
の
僻見
(
へきけん
)
かも知れませんが、
事實
(
じじつ
)
に於ては、私も氏の
作品
(
さくひん
)
に強く心を
惹
(
ひ
)
かれ乍らも、どこかにまだ
心持
(
こゝろもち
)
にぴつたり來ない點がないではありません。
三作家に就ての感想
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
昔もそんなものは全く日本になかったと即断すると同然、今に
則
(
のっと
)
って古を疑う
僻見
(
へきけん
)
じゃ。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
人
(
ひと
)
或
(
ある
)
ひはわが
輩
(
はい
)
のこの
意見
(
いけん
)
を
以
(
もつ
)
て、つまらぬ
些事
(
さじ
)
に
拘泥
(
こうでい
)
するものとし
或
(
ある
)
ひは
時勢
(
じせい
)
に
通
(
つう
)
ぜざる
固陋
(
ころう
)
の
僻見
(
へきけん
)
とするものあらば、わが
輩
(
はい
)
は
甘
(
あま
)
んじてその
譏
(
そしり
)
を
受
(
う
)
けたい。そして
謹
(
つゝし
)
んでその
教
(
をし
)
へを
受
(
う
)
けたい。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
僕はこの数篇の文章の中に直言即ち
僻見
(
へきけん
)
を献じた。誰か僕の為に自獣樽を発し一杓の酒を賜ふものはないか? 少くとも僕の僻見に
左袒
(
さたん
)
し、僻見の権威を樹立する為に一
臂
(
ぴ
)
の力を仮すものはないか?
僻見
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかしそれは
僻見
(
へきけん
)
であり誤解である。
化け物の進化
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
愚なる者、
僻見
(
へきけん
)
に富める者が、いかに排斥するとも、向上心にとめる魂は、よく真理を掴み得る。神は決して何人にも真理を強いない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
それは葉子の
僻見
(
へきけん
)
であるかもしれない、しかしもし愛子が倉地の注意をひいているとすれば、自分の留守の間に倉地が彼女に近づくのはただ一歩の事だ。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
僕は僕の敬愛する叔父に対しては
偽物贋物
(
きぶつがんぶつ
)
の名を加える非礼と
僻見
(
へきけん
)
とを
憚
(
はば
)
かりたい。が、事実上彼は世俗に
拘泥
(
こうでい
)
しない顔をして、腹の中で拘泥しているのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
歌よみは世間知らずにて、何でも和歌を本尊に立つる故
僻見
(
へきけん
)
多し。和歌が堂上にのみ行はれたるが如きは、文学界の
変象
(
へんしょう
)
なれども、歌よみはそれを正当と心得たるにやあらん。
人々に答ふ
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
如何
(
いかん
)
となれば日本人が民族的差別を撤廃しようというと、利己的にこれを排斥する。これは共同の精神を失っているのである。しかしながらかくの如き誤れる
僻見
(
へきけん
)
は一朝にして改めることは出来ない。
始業式訓示
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
此等
(
これら
)
の人達に取りて、地上生活時代の意見の如きは、
殆
(
ほとん
)
ど問題でない。それ等は夙の昔に振りすてられ、生前の
僻見
(
へきけん
)
などは、
最早
(
もはや
)
どこにも痕跡をとどめない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
津田から見たお秀は彼に対する
僻見
(
へきけん
)
で武装されていた。ことに最後の攻撃は誤解その物の活動に過ぎなかった。彼には「嫂さん、嫂さん」を繰り返す妹の声がいかにも
耳障
(
みみざわ
)
りであった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又人は愛が他に働く動向を愛他主義と呼び、己れに働く動向を利己主義と呼ぶならわしを持っている。これも偶〻人が一種の先入
僻見
(
へきけん
)
を以て愛の働き方を見ている証拠にはならないだろうか。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼は物を見るところに物を捕える。物そのものの本質に於てこれを捕える。そして
睿智
(
えいち
)
の始めなる
神々
(
こうごう
)
しい驚異の念にひたる。そこには何等の先入的
僻見
(
へきけん
)
がない。これこそは純真な芸術的態度だ。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
もし世間が元日に対する
僻見
(
へきけん
)
を撤回して、
吉凶禍福
(
きっきょうかふく
)
共にこもごも起り得べき、平凡
且
(
かつ
)
乱雑なる一日と
見做
(
みな
)
して
呉
(
く
)
れる様になったら、余も
亦
(
また
)
余所行
(
よそゆき
)
の色気を抜いて平常の心に立ち返る事が出来るから
元日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“僻見”の意味
《名詞》
僻見(へきけん)
偏った見解や意見。偏見。
(出典:Wiktionary)
僻
漢検準1級
部首:⼈
15画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
“僻”で始まる語句
僻
僻地
僻目
僻陬
僻村
僻耳
僻事
僻遠
僻論
僻在