“傳(でん)” の例文
新字:伝
立木觀音で艇を出でゝ、立木をきざんだ本尊の古拙ではあるが面白い像を見、勝道上人の所持であつたといふ傳(でん)の刀子(たうす)だの錫杖(しやくぢやう)だのを見た。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
第(だい)二には、偉(えら)い婦人(ふじん)の傳記(でんき)である。從來(じうらい)、婦人(ふじん)の讀物(よみもの)といへば、ジヤン・ダーク傳(でん)とか、ナイチンゲール傳(でん)とか、さういふものを推薦(すゐせん)する人(ひと)も少(すくな)くない。
読書の態度 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「心願の筋があつて——と。馬鹿の宇八は本當に言つたのか。燈臺下暗しの傳(でん)で、お前の受賣(うけうり)の作ぢやないのか」
宗助(そうすけ)の父(ちゝ)にも慾(よく)があつたかも知(し)れないが、此(この)傳(でん)で叔父(をぢ)の事業(じげふ)に注(つ)ぎ込(こ)んだ金高(かねだか)は決(けつ)して少(すく)ないものではなかつた。
門 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なぜかと云(い)ふと、閭(りよ)は台州(たいしう)の主簿(しゆぼ)になつてゐたと言(い)ひ傳(つた)へられてゐるのに、新舊(しんきう)の唐書(たうしよ)に傳(でん)が見(み)えない。主簿(しゆぼ)と云(い)へば、刺史(しし)とか太守(たいしゆ)とか云(い)ふと同(おな)じ官(くわん)である。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
其奴(そいつ)引捕(ひつとら)へて呉(く)れようと、海陸軍(かいりくぐん)を志願(しぐわん)で、クライブ傳(でん)、三角術(さんかくじゆつ)などを講(かう)じて居(ゐ)る連中(れんぢう)が、鐵骨(てつこつ)の扇(あふぎ)、短刀(たんたう)などを持參(ぢさん)で夜更(よふけ)まで詰懸(つめかけ)る、近所(きんじよ)の仕出屋(しだしや)から自辨(じべん)で兵糧(ひやうらう)を取寄(とりよ)せる
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
米屋甚助事石黒善太夫(いしぐろぜんだいふ)筆屋三右衞門事福島彌右衞門(ふくしまやゑもん)町方住居(ぢうきよ)の手習師匠矢島主計(やじまかずへ)辰巳屋(たつみや)石右衞門番頭三次事木下新助(きのしたしんすけ)伊丹屋十藏事澤邊(さはのべ)十藏酒屋長右衞門事松倉(まつくら)長右衞門町醫師(いし)高岡玄純(たかをかげんじゆん)酒屋新右衞門事上國(かみくに)三九郎鎗術(さうじゆつ)指南(しなん)の浪人近松(ちかまつ)源(げん)八上總屋五郎兵衞事相良(さがら)傳(でん)九郎と各々改名(かいめい)させ都合十人の者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)