停泊ていはく)” の例文
青山浩一あおやまこういちは、もと浜離宮はまりきゅうであった公園の、海に面する芝生しばふに腰をおろして、向うに停泊ていはくしている汽船を、ボンヤリと眺めていた。
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ヘリコプターに向って、発火信号しんごうをしているのは淡路の島かげに停泊ていはくした、三百トンくらいの小汽船しょうきせん、その名を黒竜丸という。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あるのこと、しろふねが一そうこのみなとなかにはいってきました。そしてみなとうち停泊ていはくすると、小舟こぶねいくつもはこんでりくをさしてこいできました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
兎角とかくするほどに、海底戰鬪艇かいていせんとうてい試運轉しうんてんをはり、櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさふたゝ一隊いつたい指揮しきして上陸じやうりくした。電光艇でんくわうていあだか勇士ゆうしいこうがごとく、海岸かいがん間近まぢか停泊ていはくしてる。
川の上には、ちょうど中ほどの河岸かし通りに沿って数知れない船が停泊ていはくして、林のようにならんだ帆柱ほばしらや、帆づなや、それにいろいろの色のはたを風にばたばた言わせながらおし合いへし合いしていた。
つき浩々かう/\わたりて、くはふるにはるかのおき停泊ていはくしてる三四そうぼうこく軍艦ぐんかんからは、始終しじゆう探海電燈サーチライトをもつて海面かいめんてらしてるので、そのあきらかなること白晝まひるあざむくばかりで
このとき、これらのたくさんなふねなかにまじって、一そうのなれないふね停泊ていはくしていました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
春枝夫人はるえふじんと、日出雄少年ひでをせうねんと、わたくしとが、おほく身送人みおくりにん袂別わかれげて、波止塲はとばから凖備ようい小蒸滊船こじようきせんで、はるかの沖合おきあひ停泊ていはくして弦月丸げんげつまる乘組のりくんだのはそのぎ三十ぷん
かれらはこの陰気いんきな、国籍こくせきもわからないふねちかくに停泊ていはくしているふねがありましたから、ようすをきこうとそのふねちかづいて、乗組人のりくみにんに、「あのふねはどこのふねらないか。」
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)