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さひは
重四郎は
是幸ひと娘の
部屋を
覗き見れば
折節お浪は
只獨り
裁縫をなし居たるにぞ
頓て
件んの
文を取出しお浪の
袖へ
密と
入何喰ぬ
顏を
ヘイ、
色々に
介抱いたしましたが
気が
附きませぬ、
此上は
如何いたしませう。殿「イヤ、
全く
生体なければ
幸ひぢやて、
今度は
解剖ぢや。 ...
幸ひ、
彼處に
見ゆる
白色巡洋艦、あれは
何國の
軍艦で、
何處から
何處へ
指しての
航海中かは
分らぬが、
一應かの
船の
助けを
求めては
如何だらう。
其事、お
前と
母とは、
之が
永遠の
別となるかも
知れませんが、
幸ひにお
前の
生命が
助つたなら、
之から
世に
立つ
時に、
始終其言葉を
忘れず、
誠實の
人とならねばなりませんよ。
幸ひ、
沈沒の
間際に、
貴方が
投げて
下さつた
浮標にすがつて、
浪のまに/\
漂つて
居る
内、
其翌朝になつて
見ると、
漫々たる
大海原の
遙か
彼方に、
昨夜の
海賊船らしい
一艘の
船が