“あやめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アヤメ
語句割合
菖蒲63.1%
黒白16.9%
文目10.8%
綾目2.3%
渓蓀0.8%
弁別0.8%
文様0.8%
文色0.8%
殺害0.8%
色目0.8%
花菖蒲0.8%
菖浦0.8%
黒目0.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
吃驚びっくりしたようにあたりを見ながら、夢に、菖蒲あやめの花を三本、つぼみなるを手に提げて、暗い処に立ってると、あかるくなって、太陽した。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
月光はそれを照らして、鮮やかにするかと思えば、またたちまち、雲は月をおおうと、黒白あやめもつかぬ闇としてしまう。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じっと穴の中を見込んだが、文目あやめも知れぬ闇の底から冷たい風が吹いて来るばかり、老人の姿は見えなかった。
ここからは決して煉瓦の綾目あやめが見えないのに今夜はどうしたのだ。と私はふしぎにそれを見つめた。夜は更け沈んでゐた。その塔の頂は殆んど水のやうな深い空氣と星ぞらに限られてゐた。
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
春竜胆はるりんどう勿忘草わすれなぐさの瑠璃草も可憐な花である。紫陽花あじさい、ある種の渓蓀あやめ、花菖蒲にも、不純ながら碧色を見れば見られる。秋には竜胆りんどうがある。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
草あやめの外には、芍薬しゃくやく、紫と白と黄の渓蓀あやめ薔薇ばら石竹せきちく矍麦とこなつ虞美人草ぐびじんそう花芥子はなげし紅白こうはく除虫菊じょちゅうぎく、皆存分に咲いて、庭も園も色々にあかるくなった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ようやく何度目かの勧めで、やっと、では、というように二人が立ちどまった時には、もう小半町先は、ものの弁別あやめも分かぬ薄暗うすやみに包まれていました。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
夜明けんとする一刻前の文様あやめかぬ夜の山を、肩にすがりつ縋られつ、二人の男女は辿たどって行く。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いつか夕闇が迫って、部屋の中は物の文色あやめも分らないほど暗くなっているのを、二人とも気がつかなかったのである。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
「清高も青くさい。なぜ、出雲、伯耆で何郡をくれるぐらいな言質をとっておかないのか。……帝は殺害あやめまいらせて候う、と注進におよんだあとのはなしではが悪い」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その頃、もうお互いの面には払暁ふつぎょうの薄明りが見られていた。たしかに夜は白みかけているのだ。しかしいよいよ深い朝霧に物の色目あやめ識分みわけられない。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
波紋の中に白い花菖蒲あやめが咲いてゐた。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
そこンとこ梅林ばいりんうへやまさくら名所めいしよで、そのした桃谷もゝたにといふのがあつて、谷間たにあひ小流こながれには、菖浦あやめ燕子花かきつばた一杯いつぱいく。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
カーテンをかかげて外を見ると、ストーブの温か味で汗をかいた硝子ガラス戸を透して、まるで深海の底のように黒目あやめかぬ真暗闇が彼を閉じこめていることが分った。
軍用鼠 (新字新仮名) / 海野十三(著)