隨分ずゐぶん)” の例文
新字:随分
ばんごと喧嘩けんくわをしてめてやるのだが隨分ずゐぶんおもしろいよとはなしながら、鐵網かなあみうへもちをのせて、おゝ熱々あつ/\指先ゆびさきいてかゝりぬ。
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
又七殿訴へなば大亂たいらんとなり白子屋の家名かめい立難たちがたしお常殿は女の事故其處そのところへ氣もつかれざるは道理もつともの事なれども能々よく/\勘辨かんべんありて隨分ずゐぶん又七殿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しか今日こんにちところでは病院びやうゐんは、たしか資力ちから以上いじやう贅澤ぜいたくつてゐるので、餘計よけい建物たてもの餘計よけいやくなどで隨分ずゐぶん費用ひようおほつかつてゐるのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しか比較的ひかくてき※去くわこの三ねんわたくしためにはしのやすかつたよ、イヤ、其間そのあひだには隨分ずゐぶん諸君しよくんには想像さうざう出來できないほど面白おもしろこと澤山たくさんあつた。
娘も矢張やつぱり東京風に作るんだね……近くに大阪があるのに、それを飛び越して、遠い東京の眞似まねをするのは隨分ずゐぶん骨が折れるだらう。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
わたしはお稻荷いなりさまの使つかひですよ。このやしろ番人ばんにんですよ。わたしもこれでわか時分じぶんには隨分ずゐぶんいたずらなきつねでして、諸方はう/″\はたけあらしました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
來年らいねんまたかへつてまではないから、隨分ずゐぶんけて」とつた。そのかへつて時節じせつには、宗助そうすけはもうかへれなくなつてゐたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そもそ此所こゝ千鳥窪ちどりくぼが、遺跡ゐせきとしてみとめられたのは、隨分ずゐぶんふることで、明治めいぢ二十一ねんの九ぐわつには、阿部正功あべせいこう若林勝邦わかばやしかつくにの二すで發掘はつくつをしてる。
友達ともだちかほつぶれては、むらにはられねえから、當分たうぶんこれがおわかれにらうもれねえ。隨分ずゐぶん達者たつしやてくんねえよ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『ありがたう』とつてあいちやんは、『隨分ずゐぶん面白おもしろいのね。いままでらなかつたのよ、そんなに澤山たくさん胡粉ごふんのことについては』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
隨分ずゐぶんながたされたとおもつたが實際じつさいは十ぷんぐらゐで熱海あたみからの人車じんしや威勢ゐせい能く喇叭らつぱきたてゝくだつてたのでれちがつて我々われ/\出立しゆつたつした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
隨分ずゐぶんあれえことしたとえつけな、らも近頃ちかごろになつてくれえな唐鍬たうぐは滅多めつたつたこたあねえよ、」鍛冶かぢあかねつした唐鍬たうぐはしばらつちたゝいて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
A 大隈侯おほくまこうまへ正月しやうぐわつ受取うけとつた年始ねんし葉書はがき無慮むりよ十八まん五千九十九まいで、毎日々々まいにち/\郵便局いうびんきよくからだいぐるまはこびこんだとふが、隨分ずゐぶんきみエライもんぢやないか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
「有難うございます、親分さん。私は隨分ずゐぶんお才さんを怨んでは居たけれど、あの人はどつか怖いところがあつて、私などは、側へも行けなかつたんですもの」
外國語ぐわいこくごやくして日本語にほんごとするのは勿論もちろん結構けつこうであるが、そのやく適當てきたうでなかつたり、拙劣せつれつであつたり不都合ふつがふなものが隨分ずゐぶんおほい、あらたに日本語にほんごつくるのであるから
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
サン はて、沁々しみ/″\かんじようわい、おれ隨分ずゐぶん評判ひゃうばんをんなたらしぢゃにって。
「まア。」と近子はあきれて見せて、「隨分ずゐぶん勝手かつてなんでございますね。」
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
隨分ずゐぶん厭味いやみ出來できあがつて、いゝ骨頂こつちやうやつではないか、れは親方おやかた息子むすこだけれど彼奴あいつばかりはうしても主人しゆじんとはおもはれない
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つくすべしとあつさとされし上早速其所の地主嘉兵衞と其家主いへぬしを呼寄られ城富を引渡ひきわたしとなり隨分ずゐぶん心付けつかはすべき由申付けられけり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かんがへてると隨分ずゐぶん覺束おぼつかないことだが、それでも一縷いちるのぞみつながやうにもかんじて、吾等われら如何いかにもして生命いのちのあらんかぎり、櫻木大佐さくらぎたいさ援助たすけつもりだ。
幾度いくたび越前街道ゑちぜんかいだう往來ゆききれて、ちんさへあれば、くるまはひとりで驅出かけだすものと心得こゝろえたからである。しかし、上下じやうげには、また隨分ずゐぶん難儀なんぎもした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
したんぢやないんですが、あのはう費用ひよう隨分ずゐぶんかゝるので、いくら便利べんりでも、さうだれかれこしらえるわけかないんださうです」と小六ころくこたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
斗樽とだるにはにごつたやうな甘酒あまざけがだぶ/\とうごいてる。神官しんくわんしろ指貫さしぬきはかまにはどろねたあとえて隨分ずゐぶんよごれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
じつ先日せんじつ倫敦ろんどん友人いうじんから『世界せかい名畫めいぐわ』とだいして、隨分ずゐぶん巧妙かうめうすつてあるのを二十まいばかりおくつてれたがね、それは如何どうだらうかとおもふのだ。』
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかしそれはマアいゝとして、『隱居いんきよ』と『熊公くまこう』とがわからないとは、きみあたま隨分ずゐぶん粗末そまつなブロツクだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
しそれがおほきくなつたら』と獨語ひとりごとつて、『隨分ずゐぶんみにく子供こどもになるでせう、けど、何方どつちかとへば大人おとなしいぶたよ』つてあいちやんは、ぶたにでもなりさうな
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
正直者らしいやうですが、典型的な多血質で、カーツとなつたら、隨分ずゐぶん人も殺し兼ねないでせう。
大入道おほにふだう、一つ小僧こぞうなどはそれである。しか復仇ふくきうはう鍋島なべしま猫騷動ねこさうどうのやうに隨分ずゐぶんしつこい。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ぎには、宅前たくまへあらたなる貝塚かひづかから、なにぬかとうたが、土方どかたくびつて、たらば破片はへんでもつてけツておまへさんがつたので、隨分ずゐぶんはつけたが、なにかツたといふ。
これはおきやくさまの御馳走ごちそうですから仕方しかたいとおもひましたが、近所きんじよのおいへでは、鬪鷄しやもにはとり締殺しめころしてふといふことをよくやりました。むらには隨分ずゐぶん惡戲いたづらきな人達ひとたちがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
遊ばされ候はゞ然るべく私し兄の儀を申もいかゞに候へどもなにごとによらずこれかうだといふ時は是までも隨分ずゐぶん他人さまの御世話を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さりとて用人ようにん若御新姐わかごしんぞ、さして深窓しんさうのとふではないから、隨分ずゐぶん臺所口だいどころぐち庭前にはさきでは、あさに、ゆふに、したがひのつまの、なまめかしいのさへ、ちら/\られる。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いゝえ、ちつとも』とつてあいちやんは、『女王樣ぢよわうさま隨分ずゐぶん——』丁度ちやうど其時そのときあいちやんは女王樣ぢよわうさま其背後そのうしろ近寄ちかよつて、立聞たちぎゝしておでになるのにがつきましたから
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
左樣さやう、それと反對はんたいで、社會教育しやくわいけういくだけあつて學校教育がくかうけういくのないものは、隨分ずゐぶん複雜ふくざつ性情せいじやう發揮はつきするかはりに、あたま何時いつまで小供こどもですからね。かへつて始末しまつわるいかもれない
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何故なぜかとへば航海中かうかいちゆうふね動搖どうえうかんずること比較的ひかくてきすくないためで、このへや占領せんりやうするためには虎鬚とらひげ獨逸人ドイツじんや、羅馬風ローマンスタイルはなたか佛蘭西人等フランスじんとう隨分ずゐぶん競爭者きようそうしや澤山たくさんあつたが
小言こごとひとつもはれましやうならのやうにつてはらだゝしく、言葉返ことばがへしはつひしかませんかつたけれど、ものはずものべず、隨分ずゐぶん婢女をんなどもにはあたりもして
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
A なかには隨分ずゐぶん長文ちやうぶん氣焔きえんいてよこしてるひともあるぢやないか。だれみはしないだらうに。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
しかもこれはをんなはうから種々しゆ/″\問題もんだい持出もちだしてるやうだそして多少いくらうるさいといふ氣味きみをとこはそれに説明せつめいあたへてたが隨分ずゐぶん丁寧ていねいものけつして『ハア』『そう』のではない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
隨分ずゐぶん念入りに祕密がたもたれたらしく、昨夜の武家の身許を暗示するものは一つもありません。
※等あねら隨分ずゐぶんひでえあつたんだな」かれはいひながらいへうちへおつたをみちびいた。大豆だいづほこりいとうて雨戸あまどつてあつたので、大戸おほどを一ぱいけてもうちすこくらかつあつかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これ權化ごんげして千しゆ萬樣ばんやう變化へんくわこゝろみる。ガネーシヤすなは聖天樣せうてんさま人身じんしん象頭ざうづで、惡神あくしん魔羅まら隨分ずゐぶんおもつた不可思議ふかしぎ相貌さうぼうものばかりである。埃及えじぷとのスフインクスは獅身ししん人頭じんとうである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
これだと、隨分ずゐぶん中絶なかだえして、ひさしいやうではあるけれども、自分じぶんには、までたまさかのやうにはおもへぬ。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
貴君あなた隨分ずゐぶんくちわるいね』とかなんとか義母おつかさんつてれると、益々ます/\惡口雜言あくこうざふごん眞價しんか發揮はつきするのだけれども、自分じぶんのは合憎あいにうまことをトン/\拍子びやうしふやうな對手あひてでないから
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「私には義理の弟で、先代から引續いて店の支配をしてをりますが、隨分ずゐぶん評判は惡かつたやうで御座います。尤も、あれだけの人間でないと、なか/\この商賣はやつて行けません」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
それですが時分じぶんわたし地位ちゐほかひといて御覽ごらうじろ、それはんなあきらめのよいさとつたおかたにしたところが、是非ぜひ此世このよなかつまらない面白おもしろくないもので、隨分ずゐぶんともひどい、つれない
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
化物的神佛ばけものてきしんぶつ實例じつれいは、印度いんど支那しな埃及方面えじぷとはうめんきはめておほい。釋迦しやかすでにおけである。卅二さう其儘そのまゝあらはしたらおそろしい化物ばけもの出來できるにちがひない。印度教いんどけうのシヴアも隨分ずゐぶんおそろしいかみである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
自分じぶんゆる色男いろをとこが、おもひをかけてとゞかぬをんなを、うしてひとほこすべ隨分ずゐぶんかぞれないほどあるのである。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さりとてるくぎてはこまれど過不及くわふきふとりかぢはこヽろ一つよくかんがへて應用おうようなされ、じつところ出立しゆつたつ明後日あさつて支度したく大方おうかた出來できたれば最早もはやにかヽるまじく隨分ずゐぶん身躰からだをいとひてわづらひ給ふな
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「佐野松さんは、あの通りの良い男で、隨分ずゐぶん女には騷がれましたが、御主人がやかましいので、深入りはしなかつたやうです。尤も御主人と申しても義理の御兄弟ですから、お互ひに我儘もあつたが、遠慮もあつたわけで」
おのれ難船なんせんふやうなものか、うぢや。)と、其處そこむねが、(おまへ隨分ずゐぶんつみつくつてるからうだかれぬ。)とこたへられたにや、覺悟かくごもせずばなるまい。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)