“上下”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うえした29.6%
かみしも25.9%
うへした12.0%
じょうげ8.8%
じやうげ4.6%
しょうか4.2%
しやうか2.3%
あげおろ1.9%
じやうか1.4%
じょうか1.4%
のぼりくだり1.4%
あがりお0.9%
あがりおり0.9%
あげおろし0.9%
あげさげ0.9%
あとさき0.5%
がみしも0.5%
じようげ0.5%
にまい0.5%
ウエシタ0.5%
ウヘシタ0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
雪国のならいとして、板屋根には沢山の石が載せてあるので、彼は手当てあたり次第に取って投げた。石のつぶてと雪の礫とが上下うえしたから乱れて飛んだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
おりきの家の格子戸が勢よく開いて、何も知らずに、永久とわに来ぬ可愛い男を待ち侘びている娘お糸、通りの上下かみしもの闇黒を透かして
くちへ、——たちまちがつちりとおとのするまで、どんぶりてると、したなめずりをした前歯まへばが、あなけて、上下うへしたおはぐろのはげまだら。……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
縁起えんぎでもないことだが、ゆうべわたしは、上下じょうげが一ぽんのこらず、けてしまったゆめました。なさけないが、所詮しょせん太夫たゆうたすかるまい
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
娘売らぬ親を馬鹿ばかだとは申しがたそろへども馬鹿ばか見たやうなものだとは申得まうしえられそろ婿むこを買ふ者あり娘を売る者あり上下じやうげ面白き成行なりゆきそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
「もとよりのこと。仰せのごとき暴をなせば、上下しょうか怨嗟えんさをうけ、諸方の敵方に乗ぜられ、末代、殿の悪名はぬぐうべくもおざるまい」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(六九)いはく『其美そのび(七〇)將順しやうじゆんし、其惡そのあく(七一)匡救きやうきうす、ゆゑ上下しやうか相親あひしたしむ』と。管仲くわんちういひ
小説家の柳川やながは春葉氏は大の子供好きだが、自分には子供が居無いので、いぬころや小猫を可愛かあいがつて、お客の前をもいとはず、土足のまゝ上下あげおろしをするので
而して同家に使役せらるゝ兵卒の妻アフイミア・スカピダロワは彼の階段を上下じやうかする毎に非常なる危険を冒せり。殊に水若くは薪を運搬する時を然りとす。
しかも優善はいわゆる心打しんうちで、良三はその前席を勤めたそうである。また夏になると、二人は舟をりて墨田川すみだがわ上下じょうかして、影芝居かげしばいを興行した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
峠で力餅ちからもちを売りました、三四軒茶屋旅籠はたごのございました、あの広場ひろッぱな、……俗に猿ヶ馬場ばんば——以前上下のぼりくだりの旅人でさかりました時分には、何が故に、猿ヶ馬場だか
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
晴れ渡った空の下に、流れる水の輝き、堤の青草、その上につづく桜の花、種々さまざまの旗がひらめく大学の艇庫ていこ、そのへんから起る人々の叫び声、鉄砲のひびき渡船わたしぶねから上下あがりおりする花見の人の混雑。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
と美奈子が良人をつとの広い机の端に、妊婦のつねとして二階の上下あがりおり目暈めまひがするその額を俯伏うつぶして言つた。
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
もうはし上下あげおろしには言れますし、狭山と切れろ切れろのやかましく成りましたのも、それからなので、私はつらさは辛し、つくづくこんな家業は為る者ぢやないと
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
船側せんそくに青竹を縛り付け手釣りの上下あげさげに滑りよき便りとする。は綺麗な小海老の尻尾を去つて鈎なりに刺す。鬼のやうな顔のホゲ(東京でおこぜ)が釣れた。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
にはかぞうるほどの乗客じようかくもなさゝうな、あまさびしさに、——なつ我家わがや戸外おもてからのぞくやうに——上下あとさき見渡みわたすと、なりの寄席よせほどにむら/\とへやも、さあ、ふたつぐらゐはあつたらう。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
白無垢の着物に、白の麻上下がみしもをつけ、左手に、愛蔵の鎧通よろいどおしを握っていた。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
また錘石おもりいしといふのがあります。それはひらたい石塊いしころ上下じようげすこいて紐絲ひもいとけるのに便利べんりにしてあるもので、あみおもりとか、機織はたおりに使用しようしたものかといはれてゐます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一楽いちらく上下にまいぞろい白縮緬しろちりめん兵児帯へこおびに岩丈な金鎖をきらめかせ、右手めての指に分厚ぶあつな金の指環ゆびわをさし、あから顔の目じり著しくたれて、左の目下にしたたかなる赤黒子あかぼくろあるが
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
フタツマナコシュトイテ。鏡ノオモテソソゲルガゴトク。上下ウエシタ歯クイチゴウテ。口脇クチワキ耳ノ根マデ広クケ。マユウルシニテ百入塗モモシオヌリタルゴトクニシテ。額ヲ隠シ。振分髪フリワケガミノ中ヨリ。五寸計ゴスンバカリナルコウシノ角。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鴈治郎が、紫縮緬の上下ウヘシタでおし出す場合も、彼は久留米飛白に書生羽織を重ねて出ると謂つた風を創案した。
戞々たり 車上の優人 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)