ひろ)” の例文
新字:
ひろうちでないから、ついとなり部屋へやぐらゐにゐたのだらうけれども、ないのとまるちがはなかつた。このかげやうしづかなをんな御米およねであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
裾野すそのけむりながなびき、小松原こまつばらもやひろながれて、夕暮ゆふぐれまくさら富士山ふじさんひらとき白妙しろたへあふぐなる前髮まへがみきよ夫人ふじんあり。ひぢかるまどる。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかししつ比較的ひかくてきひろつくられるのが通常つうじようであるから、みぎのようなものゝちてさうな場所ばしよからとほざかることも出來できるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それはまるつかまへほうびて四角しかくになつたかたちで、ちょっとむかしくちひろつぼせて、よこからたようなかたちをしてゐるものであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
とうさんが玄關げんくわんひろいたて、そのをさおときながらあそんでりますと、そこへもよくめづらしいものきのすずめのぞきにました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そのうへ趣味しゆみひろく——たとへば最近さいきん、その三上みかみ對手あひてとして、いいとしをしながら(失言しつげん?)將棋しやうぎ稽古けいこしかけたりしてゐる。
ちひさく、はなあかく、肩幅かたはゞひろく、せいたかく、手足てあし圖※づぬけておほきい、其手そのてつかまへられやうものなら呼吸こきふまりさうな。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
解禁後かいきんご國民こくみん覺悟かくごついひろ國民こくみん理解りかいくことは將來しようらい金本位制きんほんゐせい維持ゐぢもつと必要ひつえう事項じかうかんがふるところである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
すみからすみまでからりとあかるく、ひろそらつてゐるあき光線こうせんのさしてゐるうちに、かりわたつてくといふうたです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
それから間もなく洛中らくちゅうの空に黒雲がおゝひろがって大雷雨が襲来し、風を起しひょうを降らして、宮中の此処彼処こゝかしこに落雷した。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
到底たうてい彼等かれらしろ菅笠すげがさあかおびとはひろかざ大輪たいりんはなでなければならぬ。ひとつの要件えうけんがおつぎにはけてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
すなはわたしふばけものは、餘程よほど範圍はんゐひろ解釋かいしやくであつて、世間せけん所謂いはゆる化物ばけものは一の分科ぶんくわぎないこととなるのである。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
もつとひろく行はるるは摩擦發火法まさつはつくわはうなるが是に又一へんの木切れに他の木切れをててのこぎりの如くに運動うんどうさする仕方しかたも有り
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
鹿しかはみなさんもよくてごぞんじでせう。鹿しか本州ほんしゆう四國しこく九州きゆうしゆう朝鮮等ちようせんなどひろ分布ぶんぷしてゐます。牡鹿をじか牝鹿めじかよりすこおほきく、頭部とうぶつのつてゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
認め右道具屋の請取をへ町奉行所へ差出たり之に依て翌日同心原田はらだ大右衞門下谷の自身番じしんばんへ出張し家主いへぬしひろ次郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ゆゑこの攝養法せつやうはふひろおこなはれ、戰後せんごてふ大任たいにんへるわが國民こくみん體力たいりよく一層いつそう強固きやうこならしめ、各自かくじ職責しよくせき遺憾ゐかんなく遂行すゐかうせられんことをふか希望きばうするところなり。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
一寸ちよつとにくところである。遺跡ゐせきひろいが、先年せんねん、チヤンバーレン大發掘だいはつくつこゝろみたとかで、畑地はたちはう斷念だんねんして、臺地北側だいちきたかは荒地あれち緩斜面くわんしやめんなかに四にんはいつた。
肉は薄い方だ、と謂ツてとがツた顏といふでは無い。輪郭りんくわくを取つたら三かくに近い方で、わりひたひひろく、加之拔上ぬけあがツて、小鼻まわりに些と目に付く位に雀斑そばかすがある。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
此後このご東京とうけうひろしといへども、山村やまむら下女げぢよものはあるまじ、感心かんしんなもの、美事みごとこゝろがけとめるもあれば、だい容貌きりやうが申ぶんなしだと、をとこきにこれをひけり。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それで、これからひろ世界せかいをめぐつて、もつともつと樣々さま/″\のことをたりいたりしたいのです」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
その芽をはぐゝむものは、私のひろい深い愛でなければならないのです。私はまづ第一だいいちをつとを愛しなければなりません。けれども情けないほど私の愛はまだあさいものです。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ひろへば人生に於ける犯罪をあばき出し、祕密を探り出し、或は不思議を解決する事である。
探偵小説の魅力 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ひろ野邊のべにもまたそのはなに、ときならぬしもりたがやうに、んでむすめ、ヂュリエット!
兩國といへばにぎわしきところと聞ゆれどこゝ二洲橋畔けうはんのやゝ上手かみて御藏みくら橋近く、一代のとみひろき庭廣き家々もみちこほるゝ富人ふうじんの構えと、昔のおもかげ殘る武家の邸つゞきとの片側町かたかはまち
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
さしもにひろきネープルスわん眼界がんかいいたらぬくまはなく、おぼろ/\にゆるイスチヤのみさきには廻轉燈明臺くわいてんとうめうだいえつ、かくれつ、てんそびゆるモリスざんいたゞきにはまだのこんゆき眞白ましろなるに
竪矢たてやあかいろが、ひろ疊廊下たゝみらうかから、黒棧腰高くろさんこしだか障子しやうじかげえようとしたとき
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
されば家塾かじゆく放任主義はうにんしゆぎおこなふのは畢竟ひつきやう獨立心どくりつしんやしなためであつて、このせまちひさな家塾かじゆく習慣しふくわんをつけてくのは他日たじつおほひなる社會しやくわいひろ世界せかいことけない仕度したく御在ございます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
猫兒プスや』ねこに入るかうかはわかりませんでしたが、かくあいちやんはおそる/\びかけました。けれどもねこは、たゞ以前まへよりも稍々やゝひろしてせたばかりでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
うはさたちまち城下にひろまつて、番頭組ばんがしらぐみの者や若侍は次第に利章が邸の前へ詰め懸けた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
かつまたこれまでのこよみにはつまらぬ吉凶きつきやうしる黒日くろび白日しろびのとてわけもわからぬ日柄ひがらさだめたれば、世間せけんこよみひろひろまるほど、まよひたねおほし、あるひ婚禮こんれい日限にちげんのばし、あるひ轉宅てんたくときちゞ
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
『四かいいへとする』ほどのひろ心持こゝろもちもない。國語こくご風俗ふうぞく人種じんしゆとの關係上くわんけいじやう世界せかいらゆる國民こくみんらゆる人種じんしゆたいして、『一視同仁しどうじん』といふほどの、まつたおなしたしみをかんるとはへない。
しかし時間じかんればうごかぬわけにいかない人車鐵道じんしやてつだうさへをはれば最早もうゐたも同樣どうやうそれちからはこはひると中等ちゆうとう我等われら二人ふたりぎりひろいのは難有ありがたいが二時間半じかんはん無言むごんぎやうおそるとおもつてると
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わざ手振てぶりざればみに、ひろごりてきやう
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ひろ大道おほみちびはねてゐたのであつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
朧々おぼろ/\の物影のやをら浸み入りひろごるに
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
が葉の ひろりいますは
はいとさくひろ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
うろつくものには、傍目わきめらず、肅然しゆくぜんとして廊下らうかながつて、とほつて、ひろ講堂かうだうが、青白あをじろうつつてひらく、其處そこ堂々だう/\はひつたのです。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その取始とつぱじめつかまつたのはわたくしだが、いくら蒙古王もうこわうだつて、いくらひろ土地とち抵當ていたうにするつたつて、蒙古もうこ東京とうきやうぢや催促さいそくさへ出來できやしませんもの。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これらの貝塚かひづかひろさは、おほきなのになると一町歩以上いつちようぶいじようのものもあつて、貝殼かひがらのつもつたあつさは數尺以上すうしやくいじようたつしてをります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
わがくに大地震おほぢしん激震區域げきしんくいきひろいとせまいとによつて、これを非局部性ひきよくぶせいのものと、局部性きよくぶせいのものとに區別くべつすること出來できる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ひろくもないはたけのこらずが一くはれるのでおの/\たがひ邪魔じやまりつゝ人數にんずなかば始終しじうくはつゑいてはつてとほくへくばりつゝわらひさゞめく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
モイセイカは今日けふ院長ゐんちやうのゐるために、ニキタが遠慮ゑんりよしてなに取返とりかへさぬので、もらつて雜物ざふもつを、自分じぶん寐臺ねだいうへあらざらひろげて、一つ/\ならはじめる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しかしそのうちに城の外廓が攻め落され、寄手の軍勢が三の丸へ這入って来たので、それ迄は餘裕よゆうのあったひろい城内も、だん/\狭隘きょうあいを告げるようになった。
深さは通例五六尺位なりおほくの年月をかる有樣と成りしもの故其始めは更にひろく更にふかかりしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
玉川向たまかはむかふ、すなは神奈川縣下かながはけんかぞくする方面はうめんには、あま有望いうぼう貝塚かひづかい。いや貝塚かひづかとしては面積めんせきひろく、貝層かひそうふかいのがいでもいが、土器どき出方でかたはなはわるい。
うちにはひろいた玄關げんくわんと、田舍風ゐなかふう臺所だいどころ入口いりぐちと、入口いりぐちが二つになつてましたが、その臺所だいどころ入口いりぐちからますと、爐邊ろばたではもう夕飯ゆふはんはじまつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
すぐるが如くやうやく東のかたしらみ人も通る故やれうれしやと立出たちいで往來ゆききの人に茲は何と申所なるやとたづねければ淺草御門なりと答るゆゑそれより東のかたひろ往來わうらいへ出て又町の名を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なかひろうなれば次第しだい御器量ごきりようましたまふ、今宵こよひ小梅こうめが三あはせて勸進帳くわんじんちやうの一くさり、悋氣りんきではけれどれほどの御修業ごしゆげうつみしもらで、何時いつむかしの貴郎あなたとおもひ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なんといふことのないかはつたてんもないくさはな、このいてゐる春景色はるげしき、とぱっとひろ樣子やうすあらはしてて、しもで、自分じぶんはどこにをつて、なにをしてゐるかといふことを
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)