ぱな)” の例文
笠森かさもりのおせんだと、だれいうとなくくちからみみつたわって白壁町しろかべちょうまでくうちにゃァ、この駕籠かごむねぱなにゃ、人垣ひとがき出来できやすぜ。のうたけ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
友次郎は少し獅子ししぱなをうごめかし気味に、下水の端っこにしゃがんだ八五郎の、あまり賢くなさそうな顔を見上げました。
まがかたなく其處そこには、普通あたりまへはなよりも獅子しゝぱな酷似そつくりの、ひどくそッくりかへつたはながありました、また其眼そのめ赤子あかごにしては非常ひじようちひさすぎました、まつたあいちやんは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
彼女は少し反り身になって、顔を仰向けにしているので、ちょうど私の座席からは、彼女が最も西洋人臭さを誇っているところの獅子ししぱなあなが、黒々とのぞけました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
見ると年頃は十七八、雪江さんとっつ、っつの書生である。大きな頭をいて見えるほど刈り込んで団子だんごぱなを顔の真中にかためて、座敷の隅の方にひかえている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「いい景色けしきですね。」と、おもわずくちして、薬売くすりうりの少年しょうねんは、がけっぱなほうあるきました。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
高い男は玄関を通り抜けて縁側へ立出たちいでると、かたわら坐舗ざしきの障子がスラリいて、年頃十八九の婦人の首、チョンボリとしたつまみぱなと、日の丸の紋を染抜いたムックリとした頬とで
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
やがて、岩ヶ根のぱなが、行く手を遮って、黒々と、闇に浮出して来た。その蒼黒い巨大な虫を思わせる峰には、最初の日、見たような、くすんだ朱の火星が、チカチカとあわただしく、またたいていた。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
子分の獅子ししぱなの竹造を連れて、一夜をここに明かしたのであったが、今も今、帰ろうと立ちかけた矢先に、聞き捨てならぬ珍しい話だった。
と、彼女は、その獅子ししぱなの先を、ちょいとしゃくって意を得たように笑いました。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
とガラッ八、少し獅子ししぱながキナ臭くうごめきます。