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高邁
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こうまい
ふりがな文庫
“
高邁
(
こうまい
)” の例文
エルランガーをそもそも村へくる気にさせるものは、もっぱら彼の善意と、彼が自分の職務に対して抱いている
高邁
(
こうまい
)
な見解となのだ。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
ひろい正義愛、
執拗
(
しつよう
)
な真実の探求、純粋な生活の
讃美
(
さんび
)
、ことにきびしいストイシスム、
高邁
(
こうまい
)
な孤独な魂の悲痛な表情がそこにある。
博物誌あとがき
(新字新仮名)
/
岸田国士
(著)
「風俗を叩き
毀
(
こわ
)
そう、
高邁
(
こうまい
)
に生きよう、八百屋、魚屋のような、
金儲
(
かねもう
)
けのための絵を葬むるんだ、真の絵はおれたちのなかにある」
おれの女房
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
次に、もし日本の代表作家を誰か一人あげよと外人から迫られたら、自分は菊池寛をあげると云った
高邁
(
こうまい
)
な批評家は、小林秀雄氏である。
純粋小説論
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
ことにその題目が風月の虚飾を貴ばずして、ただちに自己の
胸臆
(
きょうおく
)
を
攄
(
し
)
くもの、もって識見
高邁
(
こうまい
)
、凡俗に超越するところあるを見るに足る。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
▼ もっと見る
この
高邁
(
こうまい
)
な精神にも
拘
(
かかわ
)
らず、薨去後に悲劇は起っている。憂悩を
裡
(
うち
)
に抱いたまま、太子の
生涯
(
しょうがい
)
は殉教の生涯だったと申してよい。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
その人に私を
辱
(
はずか
)
しめる気持はなかったのであるが、流石に私は恥でカアッとなった。私のような奴を
高邁
(
こうまい
)
の精神がないというのであろう。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
けれどもそれは、ほんの一年間だけの狂態であった。私は、そんな服装を、憤怒を
以
(
もっ
)
てかなぐり捨てた。別段、
高邁
(
こうまい
)
な動機からでもなかった。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
偉大な
高邁
(
こうまい
)
な性格の人にあっては、肉体的の苦悩にとらえられた筋肉と感覚との
擾乱
(
じょうらん
)
は、その心霊を発露さして、それを額の上に現出させる。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
横光、小林秀雄、犀星等、芸術上の
高邁
(
こうまい
)
イストが、現実において一九三七年度には急速に自分達のポーズと反対のものに落下しつつあるところ。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
詩の本質とすべき
高邁
(
こうまい
)
性や浪漫性を自己虐殺し、
却
(
かえ
)
って詩を卑俗的デモクラシイに散文化することを主張していた。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
彼の魂は
高邁
(
こうまい
)
だった。その学識は深遠であった。そして彼は俗界の
狡智
(
こうち
)
に馴れなかった。小児の如くに単純だった。
道鏡
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
まことに
高邁
(
こうまい
)
な学者の一生にふさわしいものであったように思われますし、ここに自然研究に終始した彼の真意をよく活かしているとも感ぜられるのです。
ロード・ラザフォード
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
「今に始ったことでないにしても、当代稀なる人格者だ。怨を恩で返された心の
高邁
(
こうまい
)
さには頭が下がるのう」
現代語訳 平家物語:02 第二巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「日本の山岳中、火山岩に次ぎ、
高邁
(
こうまい
)
なるは花崗岩に属し(秩父岩より組成せる甲斐の白根山系を除く)」
日本山岳景の特色
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
愚かな学生でもいい。規律正しい生活と、一秒一秒が退屈の分子をふくまない立派な生活をしよう。自分の生活をきびしく律する
高邁
(
こうまい
)
な精神を本当に求めよう。
風宴
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
軽躁飄逸
(
けいそうひょういつ
)
を喜ぶことになり、正しきためには、自己をも犠牲にせんとする純情よりは一
掴
(
かく
)
千金の富貴と成功を夢むこととなり、いつしか
高邁
(
こうまい
)
なる勧学の精神を失うと共に
『お話の木』を主宰するに当たりて宣言す
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
その際にも新妻のほうが良人よりも比べものにならないほど
高邁
(
こうまい
)
な態度を示したという。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
古今作者を列べて著述の量の多いのと、なかんずく大作に富めると、その作の規模結構の大なると、その態度の厳粛なると、その識見の
高邁
(
こうまい
)
なると、よく馬琴に企て及ぶものは殆んどない。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
……まあ、あれは大納言の決めた人達なんで、心配でないこともないんだが、……しかし、父上のあの
高邁
(
こうまい
)
な「人格」はたとえどんな腹黒い
奴等
(
やつら
)
でも、たちどころに腹心の家来にしてしまうよ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
うたっていくうちにかれの顔はますます黒く赤らみ、その目は輝き、わが校を愛する熱情と永遠の理想と現在力学の勇気と、すべての
高邁
(
こうまい
)
な
不撓
(
ふとう
)
な奮闘的な
気魄
(
きはく
)
があらしのごとく突出してくる。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
僕にはこれで
高邁
(
こうまい
)
な美を望む性格も、それを執拗に表現しようと努力する根気もあるんです。だが、その気概に邁進しようとすると、すぐ蝕まれている一面が意識されて、崩折れて仕舞うんです。
高原の太陽
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それを見ていると、あだかも自然がもはや
高邁
(
こうまい
)
な血をもった種類をもっていず、衰えきってしまったという感があった。その大きな眼は若く不健康でほとんど水腫症をわずらっているように見えた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
かくべつ名言でもなく
高邁
(
こうまい
)
な理窟でもない、それにもかかわらず藤六の頭の中では、くるくると一つの風車がいつまでも廻っていて離れなかった。
足軽奉公
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
所謂
(
いわゆる
)
新日本再建の微衷を吐露し合ったが、男の子って、どんな親しい間柄でも、久し振りで
逢
(
あ
)
った時には、あんな具合に互いに
高邁
(
こうまい
)
の事を述べ合って
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
僕はかつてハムスンの「飢え」という小説を読んだとき、主人公が苦境に在ってよく
高邁
(
こうまい
)
の精神を失わないことに感心した。僕にはとてもあの真似は出来ない。
落穂拾い
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
学問の精神は
高邁
(
こうまい
)
なものであるけれども、ここに於て按吉は、チベット語の臭気に就いて悲痛な認識をもたなければならないのだった。その頃の按吉の日記の中の文章である。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
いかにも
高邁
(
こうまい
)
な兵士であって、共和政府の下にあってはフランスの国境を守り、皇帝の下にあってはアジアの境にまで進みゆき、ゼノア、アレキサンドリア、ミラノ、トリノ、マドリッド、ウインナ
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
はるかに和歌には精神の
高邁
(
こうまい
)
なところが鳴りひびいていた。
睡蓮
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
僕の疑惑は、いまだ一度も、はずれた事が無いのだ。オフィリヤ、僕は不仕合せな子なんだよ。君には、わかるまい。僕には
高邁
(
こうまい
)
なところが何も無い。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
疲れきって、空腹で、死ぬほど眠いにも
拘
(
かかわ
)
らず、菅田平野は
高邁
(
こうまい
)
な感情に包まれていた。精神もすがすがしく、爽やかであった。もっとも腹の中のことはべつである。
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこで先生は泣きだしたいほどがっかりして、学生の本分とは何か、とか、学校の精神は何か、もっと正々堂々たれ、惨めであるな、
高邁
(
こうまい
)
なる精神をもて、そんなことを口走りたくなるのであった。
勉強記
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
さて、明日からは
高邁
(
こうまい
)
な精神と新鮮な希望を持って前進だ。十七歳になったのだ。僕は神さまに誓います。明日は、六時に起きて、きっと勉強いたします。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
汚穢
(
おわい
)
の
沓
(
くつ
)
を
穿
(
は
)
いて太陽の下を往くが、ここには一杯の佳き葡萄酒と、
高邁
(
こうまい
)
なる感情の
昂揚
(
こうよう
)
がある、見えずといえども桂冠は我らの額高く輝き、
象
(
かたち
)
なけれど
綾羅
(
りょうら
)
の衣我らを飾る、我らに
掣肘
(
せいちゅう
)
なく
溜息の部屋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
君子の道に志している
高邁
(
こうまい
)
の書生であるから、不人情の親戚をも努めて憎まず、無学の老妻にも逆わず、ひたすら古書に親しみ、閑雅の清趣を養っていたが、それでも
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「主膳が申しますには、まことに
稀
(
まれ
)
なる武芸者、その類のないお腕前といい
高邁
(
こうまい
)
なる御志操といい、禄高に
拘
(
かかわ
)
らずぜひ御随身が願いたい、また藩侯におかれましても特に御熱心のように拝されまして」
雨あがる
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すぐれた決意とが秘められているものだと
唸
(
うな
)
るほど感心し、この異国の秀才に対して大いに尊敬をあらたにし、何とかしてこの人の
高邁
(
こうまい
)
の目的を完遂させてやりたいと
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
高邁
(
こうまい
)
ノ精神ヲ喚起シ兄ガ
天稟
(
てんぴん
)
ノ才能ヲ完成スルハ君ガ天ト人トヨリ賦与サレタル天職ナルヲ自覚サレヨ。
徒
(
いたず
)
ラニ夢ニ悲泣スル
勿
(
なか
)
レ。努メテ厳粛ナル五十枚ヲ完成サレヨ。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「一年でも一箇月でも、いったんお嫁に行った者が、理由もなく帰るなんて法はないんだ。進は、妙に興味を持ってるらしいじゃないか。
高邁
(
こうまい
)
な芸術家らしくもないぜ。」
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
せっかく
高邁
(
こうまい
)
の志を抱いて日本に渡って来ても、つい巻き込まれて、怠けてしまう。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
高邁
(
こうまい
)
の理想のために、おのれの財も、おのれの地位も、
塵芥
(
ちりあくた
)
の如く投げ打って、自ら駒を陣頭にすすめた経験の無い人には、ドン・キホオテの血を吐くほどの悲哀が絶対にわからない。
デカダン抗議
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
苦しさだの、
高邁
(
こうまい
)
だの、純潔だの、素直だの、もうそんなこと聞きたくない。書け。
落語
(
らくご
)
でも、
一口噺
(
ひとくちばなし
)
でもいい。書かないのは、例外なく怠惰である。おろかな、おろかな、盲信である。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
誰か、この見込みの少い選手のために、声援を与える
高邁
(
こうまい
)
の士はいないか。
答案落第
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「僕は、孤独なんだ。大器晩成の自信があるんだ。早く毛虫に這いのぼられる程の身分になりたい。どれ、きょうも
高邁
(
こうまい
)
の
瞑想
(
めいそう
)
にふけるか。僕がどんなに高貴な生まれであるか、誰も知らない。」
失敗園
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ただいまお話ございましたように、その老博士は、たいへん
高邁
(
こうまい
)
のお志を持って居られます。高邁のお志には、いつも逆境がつきまといます。これは、もう、絶対に正確の定理のようでございます。
愛と美について
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
山賊に似合わぬ
高邁
(
こうまい
)
の趣味を持っている男のようにも見えた。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
高
常用漢字
小2
部首:⾼
10画
邁
漢検1級
部首:⾡
16画
“高邁”で始まる語句
高邁闊達