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たいせい
ふりがな文庫
“
頽勢
(
たいせい
)” の例文
おのれの
頽勢
(
たいせい
)
を立て直す手段に使おうとしている、つまり寅寿はもうそんな手段を選ばなければならぬところまで窮しているわけです
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
馬岱
(
ばたい
)
は云ったが、張苞はただ口惜し涙をこすっている。しかもまた、明日の戦に、何らこの
頽勢
(
たいせい
)
をくつがえすべき策も自信もなかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……それにお味方の連中にしてからが、味方
頽勢
(
たいせい
)
と目星をつけると、平気で宮方に
款
(
かん
)
を通ずるいうことにだってなるからのう
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
徳川幕府の
頽勢
(
たいせい
)
を
挽回
(
ばんかい
)
し、あわせてこの不景気のどん底から江戸を救おうとするような
参覲交代
(
さんきんこうたい
)
の復活は、半蔵らが出発以前にすでに触れ出された。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
どうも世間の教育を受けた人の多数は、こんな物ではないかと推察せられる。無論この多数の外に立って、現今の
頽勢
(
たいせい
)
を
挽回
(
ばんかい
)
しようとしている人はある。
かのように
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
一人の井伊
掃部
(
かもん
)
が、幕府の
頽勢
(
たいせい
)
を支えきれぬように、如何に、一人のみが、傑れておろうとも、周囲に人がなく、天下に勢いがなければ、何事をも為し得ぬものじゃ
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
さあそこで、
主客顛倒
(
しゅかくてんとう
)
である。一挙にして
頽勢
(
たいせい
)
を挽回したお花は、今度こそ本当に泣き出した。
接吻
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
なにかの場合に機先を制してそれとなくわたくしの
頽勢
(
たいせい
)
を支えて
呉
(
く
)
れるいつもの逸作の気配りの一つと思い、心で逸作を伏し拝みながら、さすがに気がついて「一郎は」と
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
恋愛の
惨
(
みじ
)
めな
頽勢
(
たいせい
)
を多少なりとも世間的に持ち直そうとする愚かな虚栄と意地からであった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ようやく疲れかかったカルネラの
頽勢
(
たいせい
)
は
素人目
(
しろうとめ
)
にもはっきり見られるようになった。
映画雑感(Ⅲ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
破格の好意なのであって、それは一つには、妙子が全くの「
娘
(
とう
)
ちゃん」でありながらくろうとに交って精進する熱心さに
絆
(
ほだ
)
されたせいもあるが、一つには山村舞の
頽勢
(
たいせい
)
を
挽回
(
ばんかい
)
するには
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
これは今夜はじめて諸君にかぎり発表する最高の機密であるが、実は、わがイギリス軍は、
最早
(
もはや
)
如何
(
いかん
)
ともすべからざる
頽勢
(
たいせい
)
を一挙に
輓回
(
ばんかい
)
せんがために、ここに
極秘
(
ごくひ
)
の作戦を研究しようとしている。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今度は
食気
(
くいけ
)
がついて、それから人格を認められていない事を認識して、はなはだつまらなくなって、つまらなくなったと思ったら坑夫の同類が出来て、少しく
頽勢
(
たいせい
)
を
挽回
(
ばんかい
)
したと云うしだいになる。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いわんや、あのような濃情無比なお姫さまだからただではすまさない。路考が十年前に逢った時、二十八、九といえば、今はもう四十がらみ。自分の
頽勢
(
たいせい
)
にひきかえて路考の方はいまだに万年若衆。
平賀源内捕物帳:萩寺の女
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
かつて彼の陣を借り、顔良、
文醜
(
ぶんしゅう
)
などを斬り白馬の重囲を蹴ちらして彼の
頽勢
(
たいせい
)
を盛り返したなど——その報恩としてやったものでござる。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幕府の
頽勢
(
たいせい
)
を
挽回
(
ばんかい
)
しうるか、どうかは、半蔵なぞのように下から見上げるものにすら疑問であった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「なにを申す、黄忠いま対山の頂にあり、日々わが陣の虚実をうかがう。
荏苒
(
じんぜん
)
これを打ち破らざれば、わが軍の
頽勢
(
たいせい
)
を如何せん」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかに平田門人としての半蔵なぞがやきもきしても、この
頽勢
(
たいせい
)
をどうすることもできない。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「云いがいなき味方かな。このうえは、それがしが参って、敵勢をけちらし、味方の
頽勢
(
たいせい
)
を一気にもり返してお目にかけん」
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
たといその制度の復活が幕府の
頽勢
(
たいせい
)
を
挽回
(
ばんかい
)
する上からも、またこの深刻な不景気から江戸を救う上からも幕府の急務と考えられて来たにもせよ、
繁文縟礼
(
はんぶんじょくれい
)
が旧のままであったら
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
なおまた、今、頭殿の胸をいっぱいに
占
(
し
)
めているのは、ひとり右兵衛佐頼朝やそのほかにもある子等の事などではなく、源氏全体のこの
頽勢
(
たいせい
)
を
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
味方の
頽勢
(
たいせい
)
すこぶる
憂
(
うれ
)
うべきものがあったが、ぜひなく陸上軍の退却とともに、彼も江岸を馬に乗って落ちて行った。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
袁紹、曹操を始めとして、十七鎮の諸侯は、その日、本営の一堂に会して、
頽勢
(
たいせい
)
挽回の大作戦会議をこらしていた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とはいえ、すでに残骸の姿にひとしい五条の
一橋
(
いっきょう
)
と六波羅総門のふせぎぐらいが、よくこの
頽勢
(
たいせい
)
をもり返しうるものとは今は誰にも思えていなかった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
穴山
(
あなやま
)
の四
天王
(
てんのう
)
猪子伴作
(
いのこばんさく
)
、
足助主水正
(
あすけもんどのしょう
)
、その他の
郎党
(
ろうどう
)
は、民部が神のごとき采配ぶりにたちまち
頽勢
(
たいせい
)
を
盛
(
も
)
りかえし、
猛然
(
もうぜん
)
と
血槍
(
ちやり
)
をふるって
追撃
(
ついげき
)
してきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、怪しみつつも、ついに総勢を城内へ
退
(
ひ
)
き入れて、鉄門堅く、ただ守るのほかない
頽勢
(
たいせい
)
に傾いてきたものだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この二方面の
頽勢
(
たいせい
)
から、関羽軍は全面的の
潰
(
つい
)
えを来し、夜に入ると続々、襄江の上流さして敗走しだした。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後陣の支援によって、からくも
頽勢
(
たいせい
)
をくい止めたものの、ために
袁紹
(
えんしょう
)
の本陣も、少なからぬ動揺をうけた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
副将
鄧芝
(
とうし
)
も、趙雲に負けない働きをした。わずか四日間の合戦で、
夏侯楙
(
かこうも
)
の軍容は、半身不随になりかけてきた。夏侯楙は
頽勢
(
たいせい
)
を
革
(
あらた
)
めるために、総軍を二十里ほど後退させた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのご、賀名生の南朝方は、意外にはやく
瀕死
(
ひんし
)
の
頽勢
(
たいせい
)
をもりかえしてきたのである。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
べつな強敵を迎えたかれらはたちまち、ならず者とならず者との団結の精神をあらわして、
一
(
いっ
)
たんの
頽勢
(
たいせい
)
をもりかえし、佐々介三郎ひとりへ向って、暴風のごとく襲いかかって来た。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
という認識を急にあらためさせたことが、後の重大な
頽勢
(
たいせい
)
を
醸
(
かも
)
す原因となっていた。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
さだめしその新田とて、
頽勢
(
たいせい
)
の恥をすすがんものと、心をくだいておりましょう。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人間は眼前のものと戦い、なお
頽勢
(
たいせい
)
をもりかえそうと
晦
(
くら
)
んでいるが、天に吠える群犬の声にはいんいんとこもる
悲哭
(
ひこく
)
があって、すでに未然の何かを知っていたかと思われるものがあった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
焦心
(
あせ
)
ればあせるほど
頽勢
(
たいせい
)
に傾いていたところ、七月二日、藤島の
燈明寺畷
(
とうみょうじなわて
)
とよぶところの泥田の道で、義貞は流れ矢にあたり、年三十八で、あえなくもついに戦死したとの情報なのであった。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとよりこうした
頽勢
(
たいせい
)
は、高松城の清水
宗治
(
むねはる
)
から、毛利家へ向って
頻々
(
ひんぴん
)
と
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
頽
漢検1級
部首:⾴
16画
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
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