りょう)” の例文
上物のよろいだけでも三、四十りょう、ほか具足やら腹巻やら、かずと来たら、ちょっと、めまいがしそうな程のおあつらえだ。ただ弱ったのは日限さ。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拝啓学位辞退の儀は既に発令後の申出にかかるゆえ小生しょうせいの希望通り取計らいかぬるむねの御返事をりょうし、再応さいおうの御答を致します。
博士問題の成行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼女の立ち去ったその後は遠くから聞こえる祈祷の声ばかりがさびしい部屋をいよいよ寂しくいよいよ味気なくりょうしている。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
岬も、も、潟も、山も、峰の松も、名所一つずつ一ヶ所一体の魔がりょうしているように見えたのですから。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あけの七つから一門、譜代ふだい大名、三千石以上の諸役人が続々と年始の拝礼に参上して、太刀たち目録を献上する。大中納言、参議中将、五位の諸太夫等には時服じふくりょうずつ下し置かれる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ひそやかな孤独の感じが、快よく身体をりょうしていた。夜風が、顔の皮にあたって吹いた。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
武蔵野に住んで武蔵野の豪宕莽蒼もうそうの気をりょうすることが出来ず、且居常きょじょう流水の音を耳にすることが出来ぬのが、彼の毎々繰り返えす遺憾である。然し縁なればこそ来て六年も住んだ土地だ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
の春見丈助利秋は元八百石もりょうしておりました立派な侍でありながら、利慾りよくのため人を殺して奪いました其の金で、悪運強く霊岸島川口町でたいした身代になりましたが、悪事というものは
自分は、漢の左将軍、宜城亭侯ぎじょうていこうりょうは予州のぼく新野皇叔しんやこうしゅく劉備りゅうびあざな玄徳げんとくというもの。先生にまみえんため、みずからこれへ参ったのであるが
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兄弟はくつろいでぜんについた。御米も遠慮なく食卓の一隅ひとすみりょうした。宗助も小六も猪口ちょくを二三杯ずつ干した。飯にかかる前に、宗助は笑いながら
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
んびり楽々と身を横に、日光をりょうしているのと違って、動くべきせきがないために——これでは、まだ形容し足りない。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
がえの帷子かたびら一枚、やり一筋ひとすじよろいりょう——それだけを、供にになわせて、十内は、もういちど老母の部屋をうかがってみた。
そのうち年がだんだん片寄って、夜が世界の三分の二をりょうするように押しつまって来た。風が毎日吹いた。その音を聞いているだけでも生活ライフに陰気な響を与えた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
史進もまた、こう貰ってばかりいてはと思って、家に伝わる紅錦織こうきんおりを三りょううわぎに仕立てさせ、あぶらののッた美味うまい羊の焼肉を大きなふたものへいれて、日頃の礼にと、山寨さんさいへ届けさせた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自分はつつしんで安さんのむねりょうした。実際自分もその考えでいたんだから、これはけっして御交際おつきあい挨拶あいさつではなかった。それからいろいろな話をしたがシキの中の述懐と大した変りはなかった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
やがて、実平がもどると、一りょうの鎧が、彼女の前に、どさりと置かれた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
書斎は茶の間の縁側を突き当って折れ曲ったかどにあるので、むねの位置からいうと、座敷よりもかえって掛け離れた静かさをりょうしていた。ひとしきりで奥さんの話し声がむと、あとはしんとした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しゃりゅう 牧野雷堂まきのらいどう(四こくりょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)