雨後うご)” の例文
このころの東京は、見渡すところ寿司屋ばかりの食べ物横丁よこちょうかと思わせるほどの軒並のきなみであった。雨後うごたけのこどころのさわぎではない。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
阿曽は氷の上にあおのけに倒れ、自分がここに残ったことをふしぎとも思わずに、月の出の雨後うごの空の色を、呆然とながめていた。
白雪姫 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
やがあめまつたれるとともに、今度こんど赫々かく/\たる太陽たいようは、ごと吾等われらうへてらしてた。印度洋インドやうちう雨後うご光線くわうせんはまた格別かくべつで、わたくしころされるかとおもつた。
旦暮たんぼに死するもまた瞑目めいもくすと言ふべし。雨後うご花落ちて啼鳥ていてうを聴く。神思しんしほとん無何有むかうさとにあるに似たり。即ちペンを走らせて「わが家の古玩」の一文をさうす。
わが家の古玩 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
雨後うごたけのこに似て立ち並び始めたバラック飲食店の場銭ばせんと、強請ゆすりとで酒と小遣こづかいに不自由しなかった習慣は一朝いっちょうにして脱することが出来ず、飲食店の閉鎖、恐喝きょうかつ行為の強力な取締りと
刺青 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
近頃ちかごろ東京とうきやうける、あるひ日本にほんける麻雀マアジヤン流行りうかうすさまじいばかりで、麻雀倶樂部マアジヤンくらぶ開業かいげふまつた雨後うごたけのこごとしで邊鄙へんぴ郊外かうぐわいまちにまでおよんでゐるやうだが、そこはどこまでも日本式にほんしき小綺麗こぎれい
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
これは横浜はまへ明治年間に来た西洋人が、その頃日本に珍らしくてつ高価だった硫酸りゅうさん硝酸しょうさんなどを生産してもうけたことがあるが、それに刺戟しげきせられて、雨後うごたけのこのように出来た強酸工場の名残なごりなのだ。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
るる雨後うごゆふべのひとあかり
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
雨後うご小庭こにはの土の
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
雨後うごの月
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)