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雜炊
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ざふすゐ
ころ
柿のやうな
髮を
結つた
霜げた
女中が、
雜炊でもするのでせう——
土間で
大釜の
下を
焚いて
居ました。
番頭は
帳場に
青い
顏をして
居ました。
「
俺ら
今朝はたべたかねえかんな、
汝構あねえで
出來たらたべた
方がえゝぞ」お
品はいつた。
又氷つた
飯で
雜炊が
煮られた。
雜炊の
焦げついたやうな
臭ひがぷんと
鼻を
衝いた
時お
品は
箸を
執つて
見ようかと
思つて
俯伏しになつて
見たが、
直に
壓になつて
畢つた。お
品が
動いたので
懷の
與吉は
泣き
出した。
鍋の
中は
少しぷんと
焦つく
臭がした。
彼はお
玉杓子で
掻き
立てた。
鍋の
底は
手を
動かす
毎にぢり/\と
鳴つた。
彼は
僅に
熱い
雜炊が
食道を
通過して
胃に
落ちつく
時ほかりと
感じた。