閻魔様えんまさま)” の例文
旧字:閻魔樣
しかしわたくしは三かわらしいものをわたったおぼえはない……閻魔様えんまさまらしいものにった様子ようすもない……なになにやらさっぱりちない。
「現金な奴よのう。ヘゲタレにしたり生仏にしたり致さば、閻魔様えんまさまが面喰らおうぞ。それより女! こりゃ、女」
木偶之坊でくのばうこしらへれば、内職ないしよくにお玉杓子たまじやくしつたでがす。獅子頭しゝがしら閻魔様えんまさま姉様あねさまくびの、天狗てんぐめん座頭ざとうかほ白粉おしろひればべにもなする、青絵具あをゑのぐもべつたりぢや。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
従って盆と正月に、太宗寺の閻魔様えんまさまの縁日のあるほかは、新宿は全く用事のない場所であった。
四谷、赤坂 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
此の有様ありさま如何どうじゃ、何と怖い事じゃアないか、と云うので、盆の十六日はお閻魔様えんまさまへ参詣致しますると、地獄の画が掛けてあるから、此の画を見て子供はおゝ怖い、悪い事はしまいと思う。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此世で仇讐かたきの一つもつて置かなかつたなら、未来で閻魔様えんまさまに叱かられますよ、黄金かねはられた怨恨うらみだから黄金でへしてるのさネ、俳優の様な意気地なしでも、男の片ツ端かともや
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
おそくも今夜はのしゃれだよ。そんな奴ならいくらもあるよ。ざるの中に子供を入れたので、ざる餓鬼やざる柿サ。閻魔様えんまさまが舌を出してその上に石を載せてる処はどうだ。閻魔舌の力持サ。古いネ。
煩悶 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
それは個人に頼むことこそ億劫おっくうだが、しかるべき堂宮どうみやへ納めてしまえば文句はなかろう。堂宮といううちには、神仏それぞれ持ち分があるのだから、不動様を閻魔様えんまさまもとに頼むわけにはゆくまい。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小石川富坂こいしかわとみざか源覚寺げんかくじにあるお閻魔様えんまさまには蒟蒻こんにゃくをあげ、大久保百人町おおくぼひゃくにんまち鬼王様きおうさまには湿瘡しつのお礼に豆腐とうふをあげる、向島むこうじま弘福寺こうふくじにある「いし媼様ばあさま」には子供の百日咳ひゃくにちぜきを祈って煎豆いりまめそなえるとか聞いている。
閻魔様えんまさま盆踊ぼんをどり
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
先刻せんこくそなたは三かわや、閻魔様えんまさまことかんがえていたらしいが、あれは仏者ぶっしゃ方便ほうべんである。うそでもないがまた事実じじつでもない。