遥々はる/″\)” の例文
さかづきをさめるなり汽車きしやつていへ夫婦ふうふ身体からだは、人間にんげんだかてふだか区別くべつかない。遥々はる/″\た、とはれてはなんとももつきまりわるい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
文「さては噂に聞いたお町を助けし熊はこれなるか、しか遥々はる/″\越後から雨をおかして此の山奥まで尋ね来て、お町で無かった日にゃア馬鹿々々しいな、うかお町であってくれゝばいが」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
一旦事あれば鼠糞そふん梁上りやうじやうよりちてだに消魂の種となる、自ら口惜しと思へどせんなし、源氏征討の宣旨せんじかうむりて、遥々はる/″\富士川迄押し寄せたる七万余騎の大軍が、水鳥の羽音に一矢いつしも射らで逃げ帰るとは
人生 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぢやが、お前様めえさまやま先生せんせいみづ師匠ししやうふわけあひで、私等わしらにや天上界てんじやうかいのやうな東京とうきやうから、遥々はる/″\と……飛騨ひだ山家やまがまでござつたかね。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
遥々はる/″\奥州おうしゅうの仙台へ参り、仙台様のおかゝえになって居る、剣客者けんかくしゃ黒坂一齋と云う、元剣術の指南を受けた師匠の処へ参って塾に這入り、剣術の修業しゅうぎょうをして身を潜めて居りましたが、城中に居りましたから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
はやく、まちはなれてつじれると、高草たかくさ遥々はる/″\みちすぢ、十和田わだかよふといたころから、同伴つれ自動車じどうしやつゞかない。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御懇情ごこんじやうはもとよりでございますが、あなたは保勝会ほしようくわい代表だいへうなすつて、みづうみ景勝けいしよう顕揚けんようのために、御尽力ごじんりよくをなすつたので、わたしが、日日社にちにちしやより旅費りよひ頂戴ちやうだいおよんで、遥々はる/″\出向でむきましたのも
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)