ぱし)” の例文
「わたしは、ちょっと今、手がすいておりますから、それでは、わたしが壁辰の親方をひとぱしりに迎いに参りましょうか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あんた、すまんが、酒屋にひとぱしり、行って来ておくれんか。五升樽を二つ、すぐ、永田まで届けて下さい、って」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
ぼんやりここで気ばかりんでいても始まらぬから私はそのへんまでちょっとひとぱしり御様子を見てまいりましょう。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
しばしおせんは、俯向うつむいたままじていた。そのそこを、稲妻いなづまのように、おさなおもぱしった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そのかわりおまえ、産婆さんばさんとこへ、ひとっぱしりいってきてくれや。大急ぎできてつかあされ、いうてな。行きしなに、よろずやのばあやんにも、ちょっときてもろてくれ。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
今夜にも旅費をこしらえて、田舎の方にいる兄のところへとおぱしりをしようかとも考えていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「ひとっぱしり家へ行つて、橇を取つて来て、橇に積んで運びませうよ。」
馬「なんだか名主の惣次郎を先生が打斬ぶっきったてえ噂があるが、えゝ先生のこったから随分やりかねねえ、ったんべえ此の横着もの、そんな噂がたって居難いづらくなったもんだからおっぱしって来たんだろう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おらが娘聟ちふのは、二週間前に結婚しただがね、そのあくる朝馬車に乗つて牧場まきばに出かけたもんだ。毎日毎晩持地のなかをとつぱしつて、やつと牧場まきばに着いた頃には、もう子供二人が生れとつただよ。」
ひとぱしり、急いで戻ってくれぬか」
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
あめわずに、おせんぼうぱしったな豪勢ごうせいだ。こんな鉄錆てつさびのようなかおをしたおいらより、油壺あぶらつぼからたよなおせんぼうほうが、どれだけいいかれねえからの。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
作「本当にお賤さん、見違える様になった、少しふけたね、旅をしたもんだから色が黒くなったが、思え思った新吉さんととう/\夫婦になって彼処あすこをおッぱしったのかえ、今まア何処どこにいるだえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
返事へんじ如何いかにも調子ちょうしがよかったが、肝腎かんじん駕籠かごは、一こうぱしってはくれなかった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)