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蔑
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ないがしろ
ふりがな文庫
“
蔑
(
ないがしろ
)” の例文
自我の利欲に目の
眩
(
くら
)
む必要がある。少くとも古来より聖賢の教えた道を
蔑
(
ないがしろ
)
にする必要がある。生活難を
謳
(
うた
)
える人よ。私は諸君が
羨
(
うらやま
)
しい。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
司法権の独立だけは
動
(
やや
)
もすればしばしば行政権の直接の圧迫を受け、三権分立の趣意が動もすれば
蔑
(
ないがしろ
)
にせらるるの恐れがあるからである。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
正体が知れてからも、出遊の地に
二心
(
ふたごころ
)
を持って、山霊を
蔑
(
ないがしろ
)
にした罪を、
慇懃
(
いんぎん
)
にこの神聖なる古戦場に
対
(
むか
)
って、人知れず
慚謝
(
ざんしゃ
)
したのであるる。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
第一、ほかの氏々が、大伴家よりも、ぐんと歴史の新しい——人の世になつて初まつた家々の氏人までが、御一族を
蔑
(
ないがしろ
)
に致すことになりませう。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
わしはいつも東夏に言って聞かせているのだが、職業や勉強を
蔑
(
ないがしろ
)
にして何が国家だ。何が社会だ。独立が聞いて呆れる。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
▼ もっと見る
しかして鴎外は人間行為の無常なるためしとして芸術を
蔑
(
ないがしろ
)
にしないまでも、その未来性を疑っていたのであろうか。それでは余りに矛盾が大き過ぎる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
これは丁度現在の事実を
蔑
(
ないがしろ
)
にする反対である。自分はどうしてさう云ふ境地に身を置くことが出来ないだらう。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
が、忠義と云うものは現在
仕
(
つか
)
えている主人を
蔑
(
ないがしろ
)
にしてまでも、「家」のためを計るべきものであろうか。しかも、林右衛門の「家」を
憂
(
うれ
)
えるのは、
杞憂
(
きゆう
)
と云えば杞憂である。
忠義
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
紋「えゝ喜一郎、
今日
(
きょう
)
は富彌の罪は
免
(
ゆる
)
さんぞ、幼年の折から側近くいて世話致しくれたとは申しながら、余りと云えば予を嘲弄いたす、予を
蔑
(
ないがしろ
)
にする富彌、免し難い、斬るぞ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ついには教会全体より危険なる異端論者、聖書を
蔑
(
ないがしろ
)
にする不敬人、ユニテリアン(悪しき意味にて)、ヒクサイト、狂人、名誉の跡を
逐
(
お
)
う野望家、教会の狼、等の名称を付せられ
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
動
(
やや
)
もすれば法を
蔑
(
ないがしろ
)
にする者があるのは、この作り話以上の不可思議といわねばならぬ。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
諄々
(
くどくど
)
と
黒暗
(
くらやみ
)
の
耻
(
はじ
)
を
申
(
もうし
)
てあなたの様な
情
(
なさけ
)
知りの御方に
浅墓
(
あさはか
)
な
心入
(
こころいれ
)
と
愛想
(
あいそ
)
つかさるゝもおそろし、さりとて夢さら御厚意
蔑
(
ないがしろ
)
にするにはあらず、やさしき御言葉は骨に
鏤
(
きざ
)
んで七生忘れませぬ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
歴史を
蔑
(
ないがしろ
)
にするに近し、この浮彫の圖樣は大帝凱旋の行列なれば、かゝる誤を傳へしにや、見給へ、かしこなる寺門に近き處にもこれに似たる石棺ありて、その圖様は
酒神
(
バツコス
)
の行列なり
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
どうせ茶屋小屋に居た女が、いつまでも御大家に居て、奥様を
蔑
(
ないがしろ
)
にしてゐる訳にもゆくまいから。ね、だからもしひよつと、この後お前おツかアに逢ふ事があつたら、忘れないでいふんだよ。
磯馴松
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
因果の大法を
蔑
(
ないがしろ
)
にし、自己の意思を離れ、卒然として起り、
驀地
(
ばくち
)
に来るものを
謂
(
い
)
ふ、世俗之を名づけて狂気と呼ぶ、狂気と呼ぶ
固
(
もと
)
より不可なし、去れども此種の所為を目して狂気となす者共は
人生
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
未来に工藝を計る者は、「多」と「美」との間に結ばれるこの秘義を、
蔑
(
ないがしろ
)
にしてはならぬ。多に交わらずしては真の美は存在しがたい。それなら少量に作るあらゆる事情は打破されねばならぬ。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
剛毅
(
ごうき
)
で天才的な少年武蔵は、常に父の無二斎をも
蔑
(
ないがしろ
)
にする風があった。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
映画の内容は? 内容とは筋ではない、映画が若しも如何なる意味に於てか芸術で有り得るとするならば、その芸術自身の姿だが、そんなものは全く
蔑
(
ないがしろ
)
にされ忘れられてしまっているではないか、と。
十年後の映画界
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
長いあいだ芸術上の日本を
蔑
(
ないがしろ
)
にしていたことへの
懺悔
(
ざんげ
)
に似た気持もあって、改めて美術史をよみ、
希臘
(
ギリシャ
)
・
羅馬
(
ローマ
)
からルネッサンスへかけての西洋美術とどう違うかということや、仏像の様式の変化とか
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
法を
蔑
(
ないがしろ
)
にするは国家を蔑にするなり。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
第一、ほかの氏々——大伴家よりも、ぐんと歴史の新しい、人の世になって初まった家々の氏人までが、御一族を
蔑
(
ないがしろ
)
に致すことになりましょう。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
二代續いて忠勤を勵んでゐる此
老爺
(
らうや
)
を
蔑
(
ないがしろ
)
にすると云ふことがあるものかと思つての衝突である。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
しかし実際上多くの場合においては、彼らはその特殊の地位に
狃
(
な
)
れ、以て国家優遇の恩に背くこと甚だ少なくはない。甚だしきは、その特権を濫用して、一般の利福を
蔑
(
ないがしろ
)
にするものすらある。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
おのれらは
勿体
(
もったい
)
なくも、天上皇帝の御威徳を
蔑
(
ないがしろ
)
に致す心得か。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
殿様を
蔑
(
ないがしろ
)
にいたす事も
皆
(
み
)
な存じて
居
(
お
)
る。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
かう云ふ閲歴をして来ても、未来の幻影を
逐
(
お
)
うて、現在の事実を
蔑
(
ないがしろ
)
にする自分の心は、まだ元の
儘
(
まま
)
である。人の生涯はもう下り坂になつて行くのに、逐うてゐるのはなんの影やら。
妄想
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
その實感を主觀といへるに至りては、亞米利加の人某が言に基づけりとはいふものから、そのことさらに古今審美學者の用語例を
蔑
(
ないがしろ
)
にして、故もなく新字面を作れるはおなじかるべし。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
蔑
常用漢字
中学
部首:⾋
14画
“蔑”を含む語句
蔑視
軽蔑
侮蔑
輕蔑
蔑如
冷蔑
嘲蔑
御蔑
侮蔑的
蔑称
大軽蔑
蔑意
蔑侮
御軽蔑
衆人蔑視
見蔑
賤蔑
軽蔑感
軽蔑者
卑蔑