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萠
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きざ
ふりがな文庫
“
萠
(
きざ
)” の例文
それが、数年来
萠
(
きざ
)
していた彼の厭世的人生観をいよいよ実際的なものにし、彼の病苦と相俟って自殺の時期を早めたものらしい。
芥川の事ども
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
やう/\あきらかな
形
(
かたち
)
となつて
彼女
(
かのぢよ
)
に
萠
(
きざ
)
した
不安
(
ふあん
)
は、
厭
(
いや
)
でも
應
(
おう
)
でも
再
(
ふたゝ
)
び
彼女
(
かのぢよ
)
の
傷所
(
きずしよ
)
——それは
羞耻
(
しうち
)
や
侮辱
(
ぶじよく
)
や、
怒
(
いか
)
りや
呪
(
のろ
)
ひや
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
しかし暗夜は暗夜の徳あって、
孟子
(
もうし
)
のいわゆる「
夜気
(
やき
)
」は暗黒の
賜
(
たまもの
)
である。
古
(
いにしえ
)
の学者の言に、「
好悪
(
こうあく
)
の
良
(
りょう
)
は
夜気
(
やき
)
に
萠
(
きざ
)
す」と。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
後ろからは清子と靜子が來る。其跫音も何うやら少し遠ざかつた。そして自分が信吾と並んで話し乍ら歩く……何となき不安が胸に
萠
(
きざ
)
してゐた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
さうした、多少はつきりした考へが、何処かで
萠
(
きざ
)
しはじめると、少しづゝ彼女の気持も勇敢になりはじめるのだつた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
▼ もっと見る
都留の心にはいつかそういう疑いが
萠
(
きざ
)
しはじめた。——二十年にわたって藩政を
壟断
(
ろうだん
)
し私曲を
恣
(
ほしいまま
)
にした人だろうか。
晩秋
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
けれども、
夫
(
それ
)
はたゞ
沈
(
しづ
)
んだものを
掻
(
か
)
き
立
(
た
)
てて、
賑
(
にぎ
)
やかな
光
(
ひか
)
りのうちに
浮
(
う
)
かした
迄
(
まで
)
であつた。
御米
(
およね
)
の
暗
(
くら
)
い
過去
(
くわこ
)
の
中
(
なか
)
に
其時
(
そのとき
)
一種
(
いつしゆ
)
の
好奇心
(
かうきしん
)
が
萠
(
きざ
)
したのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
夜が更け酒肴が徹せられた、甚内は寝間へ
誘
(
いざな
)
われたが、容易にお米の寝ないのを見るとちと不平も
萠
(
きざ
)
して来る。で、蒲団の上へ坐り、
不味
(
まず
)
そうに煙草を喫い出した。
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
妙な考へが、私の心に
萠
(
きざ
)
した。もしも、リード氏が、この世に生きてゐたら、私を可愛がつて下さるだらうと云ふことを、私は疑はなかつた——決して、疑はなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
しかしその実彼は幸福ではなかった、彼は
漸
(
ようや
)
く
寂寞
(
せきばく
)
孤独の念を
萠
(
きざ
)
して来た、日々何十人何百人という人に逢うけれども一人も彼に友たる人は無かった、それがために彼は歎いた。泣いた。
愛か
(新字新仮名)
/
李光洙
(著)
おれの胸に始めて
疑団
(
ぎだん
)
が
萠
(
きざ
)
したのは、正にその白拍子たるお前の顔へ、偶然の
一瞥
(
いちべつ
)
を投げた時だ。お前は一体泣いてゐるのか、それとも亦笑つてゐるのか。猿よ。人間よりもより人間的な猿よ。
動物園
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
眼に見えない風が山の
彼方
(
かなた
)
より種を抱いて吹き来たったりして、春に
萠
(
きざ
)
し、夏に花咲き、秋に実るのである。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
御米
(
およね
)
が
呼
(
よ
)
びに
立
(
た
)
たうとするのを、
用
(
よう
)
はないから
可
(
い
)
いと
留
(
と
)
めた
儘
(
まゝ
)
、
宗助
(
そうすけ
)
は
炬燵蒲團
(
こたつぶとん
)
の
中
(
なか
)
へ
潛
(
もぐ
)
り
込
(
こ
)
んで、すぐ
横
(
よこ
)
になつた。
一方口
(
いつぱうぐち
)
に
崖
(
がけ
)
を
控
(
ひか
)
えてゐる
座敷
(
ざしき
)
には、もう
暮方
(
くれがた
)
の
色
(
いろ
)
が
萠
(
きざ
)
してゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一たび野心という病いの
黴菌
(
ばいきん
)
が胸中に
萠
(
きざ
)
したのちは、いかなる方法をもってするも、目的を遂げんと望んだため、最初堂々たる方法で戦ったに反し、後には目的を達するに急となり
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
萠
漢検準1級
部首:⾋
11画
“萠”を含む語句
下萠
留萠
萠黄
萠芽
萠黄色
若萠
萠葱
萠黄縅
薄萠黄
幌萠
萠出
萠芽期
萠黄唐草
萠黄緞子
萠黄股引
萠黄金襴