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そうもう
ふりがな文庫
“
草莽
(
そうもう
)” の例文
しかし、それが縁付くとなると、
草莽
(
そうもう
)
の中に
鄙
(
ひな
)
び、多産に疲れ、ただどこそこのお婆さんの名に於ていつの間にか生を消して行く。
雛妓
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
もちろん、
違背
(
いはい
)
はいたしません。けれど、東国の
草莽
(
そうもう
)
より
起
(
た
)
った
古源氏
(
ふるげんじ
)
の
裔
(
えい
)
、尊氏の寸心にも、ひとつの信条がござりまする。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蓋
(
けだ
)
し
乙夜
(
いつや
)
の覧を経るという。一介の
草莽
(
そうもう
)
、区々たる姓名にして、聖天子の垂知を蒙るは、何の栄かこれに加えん。児の死する、何ぞ
晩
(
おそ
)
きや。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
不思議の勢力を揮っている巨然たる
草莽
(
そうもう
)
の
怪傑
(
かいけつ
)
なのであったが、この怪傑の群にはいった数馬の運命はどうなるであろう。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
言葉の意味が何の説明もなくて自然にわかる時代には、子供と国語とは今少し縁が深く、新らしい物の名はこうして
草莽
(
そうもう
)
の間から生れていたのである。
野草雑記・野鳥雑記:01 野草雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
皇化のうるおすところ遠く
草莽
(
そうもう
)
に及び、余のごとき微臣、なお茅屋の下に安臥して閑歳月に伴うを得。ああ、窓間一線の日光もまた、君恩の余滴にあらざるなし。
妖怪学講義:02 緒言
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
他面——むしろ決定的に——全国「
草莽
(
そうもう
)
義徒」の組織された圧力を代表することができたからである。
志士と経済
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
逆にどんな
澎湃
(
ほうはい
)
たる歴史の物語もそこに関与したそれぞれの社会の階層に属す人間の名をぬいて在ることは出来ないという事実の機微からみれば、たとい
草莽
(
そうもう
)
の一民の生涯からも
今日の文学の諸相
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
法然
(
ほうねん
)
、
親鸞
(
しんらん
)
、日蓮といったように、
法燈赫々
(
ほうとうかくかく
)
、
旗鼓堂々
(
きこどうどう
)
たる大流でなく、
草莽
(
そうもう
)
の
間
(
かん
)
、田夫野人の中、或いはささやかなるいなかの神社の片隅などから生れて、誤解と、迫害との間に
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
(前略)東方会は
草莽
(
そうもう
)
の赤誠を捧げて非常時に先駆せり。今や何の幸運か、宣戦の大詔を拝して錦旗を大東亜に奉ずるの光栄を担う、聖恩優渥、感泣に堪えず、嘗て宿昔の覚悟を新たにして一切を
叛骨・中野正剛:――主観的な覚え書き
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
一
将
(
しょう
)
功
(
こう
)
成りて
万骨
(
ばんこつ
)
枯
(
か
)
るという古言があります、ひとりの殿様がお城をきずくに、万人の百姓を苦しめました、しかも殿様は英雄とうたわれ百姓は
草莽
(
そうもう
)
の間につかれて死にます、
清盛
(
きよもり
)
、
頼朝
(
よりとも
)
、
太閤
(
たいこう
)
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
草莽
(
そうもう
)
の
間
(
かん
)
に埋められようとしている(あたかも富士山の
役行者
(
えんのぎょうじゃ
)
の名が、今日忘られかけて、日本アルプスの先達、ガウランドだの、ウェストンだのという名が、若い人たちの口の端に上るようになった如くに)
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
かくのごとく
数多
(
あまた
)
の才俊豪傑をして
餓吻
(
がふん
)
を鳴らさしめ、数多の憂世慨時の人物をば
草莽
(
そうもう
)
に
蟄伏
(
ちっぷく
)
せしめ、その領内の百姓の肝脳をば絞りたるか。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
全日本を
俯瞰
(
ふかん
)
するに足る所だし、思想的には、
草莽
(
そうもう
)
の心の根という根は
悉
(
ことごと
)
くここにつながっており、ここを根としていない家々なく
華々
(
はなばな
)
なしである。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それゆえ止めじゃと仰せられい! その方が遙かに男らしい! その代りに拙者日本国中、殿のお噂出るごとに彼松平冬次郎は、
草莽
(
そうもう
)
の志士、浪人の巨擘
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もとよりさまざまな出身で、一概にいえぬが、大量的支配的な現象として、無位無官「
草莽
(
そうもう
)
」志士の地盤には、全国諸地方の新興産業商業の勢力が、脈々として息づいている。
志士と経済
(新字新仮名)
/
服部之総
(著)
いわんや
草莽
(
そうもう
)
の中に
蟄伏
(
ちっぷく
)
し、
超世
(
ちょうせい
)
の奇才を
懐
(
いだ
)
き、雄気
勃々
(
ぼつぼつ
)
として禁ずる能わざるものにおいてをや。いわゆる智略人に絶つ、独り身なきを
患
(
うれ
)
う。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
彼らは、時を得ない
草莽
(
そうもう
)
の
悍勇
(
かんゆう
)
でござります。武勇あれど、用いる人がありません。導く智者に会いません。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浪人の
巨擘
(
きょはく
)
として、
草莽
(
そうもう
)
の間に埋もれ給う……殿こそ惜しゅう存ぜられまする
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、常のとおり礼を正して迎えた上、
草莽
(
そうもう
)
の臣下の微志に対して、
叡慮
(
えいりょ
)
のほど勿体ないと、感泣した。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
吾人はもとより
草莽
(
そうもう
)
の一書生にして天下何人に向かってもなんの求むるところなく、なんの不平のこともあらず。なにを苦しんでかみずから好んで悲壮慷慨、洛陽の少年を学ぶを要せんや。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
文字通り
草莽
(
そうもう
)
に潜居ましまし、しかもご令旨を八方に飛ばし、宮方の武士を募らせられ、千早城に
拠
(
よ
)
って関東の大軍、三十万を相手にし、微動だもしない
楠木正成
(
くすのきまさしげ
)
と、よく連絡をお取りになり
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
時来って
草莽
(
そうもう
)
のうちより現われ、泥土去って珠金の質を世に挙げられ給うこと、また当然の
帰趨
(
きすう
)
のみ。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「で、宮様におかれましても、しばらく
草莽
(
そうもう
)
の間に伏され……」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ああいう武将というものは、やはり郷軍や地方の
草莽
(
そうもう
)
のなかには見当らないと思うな
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、建武の忠臣が、いかに憤って
草莽
(
そうもう
)
からふるい起ったか、あだには
把
(
と
)
らぬ弓矢を
敢
(
あえ
)
て
把
(
と
)
ったか、そしてついに国に殉じたか——を征途の夜々の眠りにも考えずにはいられなかった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一方、わが劉予州の君におかれても、
草莽
(
そうもう
)
より身を起し、義を唱え、民を救い、上江遠からず曹操の大軍と天下をあらそっています。これまた史上未曾有の壮挙にあらずして何でしょう。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よろしく
慰撫
(
いぶ
)
の沙汰を降し給うて、彼らの罪を
赦
(
ゆる
)
され、彼らの不平をして、逆に世のための意義ある仕事に役立たしめるよう、ここに皇徳の無辺をお示しあらば、元来が単純一片の
草莽
(
そうもう
)
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漢室の
衰兆
(
すいちょう
)
、
蔽
(
おお
)
いがたしと見るや、
姦臣
(
かんしん
)
輩出
(
はいしゅつ
)
、内外をみだし、主上はついに、洛陽を捨て、長安をのがれ給い、玉車に
塵
(
ちり
)
をこうむること二度、しかもわれら、
草莽
(
そうもう
)
の微臣どもは、憂えども力及ばず
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いたした。それがしは
涿県
(
たくけん
)
楼桑村の
草莽
(
そうもう
)
より起って、いささか奉公を
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“草莽”の意味
《名詞》
草莽(そうもう)
草が茂った所。くさむら。
在野。民間。
(出典:Wiktionary)
“草莽”の解説
草莽(そうもう)は、民間にあって地位を求めず、国家的危機の際に国家への忠誠心に基づく行動に出る人(草莽之臣)を指す。
特に幕末期の日本においては特殊な意味を有する。
(出典:Wikipedia)
草
常用漢字
小1
部首:⾋
9画
莽
漢検1級
部首:⾋
9画
“草”で始まる語句
草鞋
草
草履
草臥
草叢
草原
草木
草鞋穿
草花
草双紙