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艫
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ろ
ふりがな文庫
“
艫
(
ろ
)” の例文
其船頭
(
そのせんどう
)
は
悠然
(
いうぜん
)
として、
片手
(
かたて
)
で
艫
(
ろ
)
を
繰
(
あやつ
)
りはじめながら、
片手
(
かたて
)
で
其
(
そ
)
の
水
(
みづ
)
を
飮
(
の
)
む
時
(
とき
)
、
白鷺
(
しらさぎ
)
の
一羽
(
いちは
)
が
舞
(
ま
)
ひながら
下
(
お
)
りて、
舳
(
みよし
)
に
留
(
と
)
まつたのである。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
もちろん昔の
艫
(
ろ
)
で押して出掛けるのと違つて、現今は悉くモーター船であるから、品川から三崎までだつて楽に行ける。
日本の釣技
(新字旧仮名)
/
佐藤惣之助
(著)
二名の警官は
艫
(
ろ
)
をかなぐり捨ててまさに敵艇に突撃せんとした刹那、『アッ』と云う驚きの声が三人の口を突いて出た。
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
その小舟の中に
舳
(
へさき
)
を東の方へ向けて老人が
艫
(
ろ
)
を漕いでいる舟があって、それがすぐ眼の前を通りすぎようとした。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
左様
(
さう
)
かと思ふと、ゆるい流れのところへ出て、岸から垂下る
楊
(
やなぎ
)
の枯枝がバラ/\船の屋根へ触つたり、船頭が
漕
(
こ
)
いで行く
艫
(
ろ
)
の音が水に響いて聞えたりした。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
船には竹に雀の紋をつけた
幔幕
(
まんまく
)
が張り廻されていた。海の波は畳のように平らかであった。この老人たちは
艫
(
ろ
)
をあやつりながら、声を揃えてかの舟唄を歌った。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ギーギーと、
艫
(
ろ
)
の音が近づいてくるのです。この横堀へはいってくるからには、まさしく土左舟でした。
右門捕物帖:34 首つり五人男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「北海道では今、群来の二字を
充
(
あ
)
てるが、古は漏の字を充てている。
鯡
(
にしん
)
のくきる時は
漕
(
こ
)
いでいる舟の
櫂
(
かい
)
でも
艫
(
ろ
)
でも皆かずの子を以てかずの子
鍍金
(
めっき
)
をされてしまう位である」
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
あれは
苫舟
(
とまぶね
)
で
艫
(
ろ
)
の音を聞きながら遠くに墨絵のやうな松の岸辺を見る景色でなくてはならぬ。
黄昏の地中海
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
川の上には薄い
靄
(
もや
)
が懸って、おりおり通る船の
艫
(
ろ
)
の音がギイと聞える。下流でおーいと渡しを呼ぶものがある。舟橋を渡る車の音がとどろに響いてそして又一時静かになる。
蒲団
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
童子はこれを見るごとに戀しく
懷
(
なつ
)
かしきこと限なく、人知らぬ愛に胸を苦めたりき。漁父は童子を伴ひて海に往き、
艫
(
ろ
)
を
搖
(
うごか
)
し帆を揚げ、暴風と爭ひ怒濤と鬪ふことを教へつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
聞け! 小船を漕ぐなる
艫
(
ろ
)
の音が、沈み沈んで海底の、人魚の洞へくぐり行く。海底には人魚の母が、桜貝と藻の花を、据え物として待っている。公子の来るのを待っている。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
浪の音がやや高くなって、中天に冴えて来た月光を含む水煙がほの白く立ち
籠
(
こ
)
めかかった湖面に一
艘
(
そう
)
の船の影が
宙釣
(
ちゅうづ
)
りのように浮び出して来た。
艫
(
ろ
)
の音が聞えるから夢ではない。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
西風の
凪
(
な
)
いだ後の入江は鏡のやうで、漁船や
肥舟
(
こえぶね
)
は眠りを促すやうな
艫
(
ろ
)
の音を立てた。
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
その大船の
艫
(
ろ
)
には、「
帥
(
すい
)
」の字を大きく書いた旗を立て、
弩
(
いしゆみ
)
千張と
黄鉞
(
こうえつ
)
銀鎗
(
ぎんそう
)
を舷側にたてならべ、彼は将台に坐し、水陸の諸大将すべて一船に集まって、
旺
(
さかん
)
なる江上の宴を催した。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
舟板に二、三枚重ねて敷いた座蒲團の上に
胡座
(
あぐら
)
して傍らの七輪に
沸
(
た
)
ぎる鉄瓶の
松籟
(
しょうらい
)
を聞くともなしに耳にしながら、
艫
(
ろ
)
(とも・へさき)にならんだ竿先に見入る雅境は昔から江戸ッ子が愛好してきた。
寒鮒
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
かなしき光に
艫
(
ろ
)
のためいき
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
星の光に水の流るゝのが暗く
綾
(
あや
)
をなして見えた。
艫
(
ろ
)
の音が水を渡つて聞えた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
小さい
艫
(
ろ
)
を軽く操つて、物を売つて行く舟もあつた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
艫
(
ろ
)
の音が絶えず響く。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
“艫(
船尾
)”の解説
船尾(せんび、en: Stern)は、船の後ろの部分のこと。とも(艫)、スターンともいう。
(出典:Wikipedia)
艫
漢検1級
部首:⾈
22画
“艫”を含む語句
舳艫
艫舵
艫舳
艫寄
艫綱
真艫
艫櫓
艫櫂
艫幕
艫音
艫部
艫肉豆
艫端
艫板
艫擢
二丁艫
艫先
艫作崎
船艫
舳艫訓
...