腹立はらだち)” の例文
いや、閣下のお腹立はらだちは、全く御尤もです。私からも、主人に反省を促すやうに、申します事でございます。それでは、これでおいとま致します。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
「だが、まあ考へてみ給へ。」木下氏は大きな掌面てのひらで汗ばんだ鼻先を一気に撫で下した。鼻はその邪慳さに腹立はらだちでもしたやうに真赤になつた。
どうも全く孝助はらないようにございます、お腹立はらだちの段は重々御尤ごもっともでござりますが、お手打の儀は何卒なにとぞ廿三までお日延ひのべの程を願いとう存じます
竜之助はいつぞや腹立はらだちまぎれに、お浜に向ってこんなことを言ったことがある。それが今もおそろしい勢いでお浜の耳に反響して来るのでありました。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
『そんなわけぢやなくッてよ』とやさしくもあいちやんが辯疏いひわけしました。『眞箇ほんと腹立はらだちッぽいのね、もうおこつてゝ!』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ただ彼女あれんまり嫉妬やきもちいて仕方しかたがございませんから、ツイ腹立はらだちまぎれに二つ三つあたまをどやしつけて、貴様きさまのようなやつはくたばってしまえと呶鳴どなりましたが
仇なる畜生めと病の中に父の腹立はらだち此怒りをなだめんにもなくより外の事もなく心ぼそさにあとや先昔はおん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
始めて東京へ出て来た地方の人は、電車の乗換場のりかへばを間違へたり市中しちゆうの道に迷つたりした腹立はらだちまぎれ、かゝる地名の虚偽を以てこれまた都会の憎むべき悪風として観察するかも知れない。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
是れ女子第一のつとめ也。夫の教訓有らば其おおせそむくべからず。疑敷うたがわしきことは夫に問ふて其下知げぢに随ふべし。夫問事とうことあらば正しく答べし。其返答おろそかなるは無礼也。夫若し腹立はらだちいかるときは恐れてしたがうべし。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
お厭な御様子、不意のおどろきと気高い腹立はらだちとの8645
いや、閣下のお腹立はらだちは、全く御尤ごもっともです。私からも、主人に反省を促すように、申します事でございます。それでは、これでおいとま致します。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そしてやつと理由わけを話して、先方の腹立はらだちなだめる事が出来た。独逸語なぞ二度ともう使ふものかと思つた。
承知致しませんでお腹立はらだちもございましょうが、まさか母やおとゝの居ります前で結構な事でございますから、何卒どうぞ妾にお世話を願いますとは伯母さん、申されませんでしたが
始めて東京へ出て来た地方の人は、電車の乗換場のりかえばを間違えたり市中の道に迷ったりした腹立はらだちまぎれ、かかる地名の虚偽を以てこれまた都会の憎むべき悪風として観察するかも知れない。
懸ねば此腹立はらだちは止難しと云れて宅兵衞は彌々いよ/\仰天ぎやうてん種々さま/″\とお兼をなだすかし然らば金五兩わたす間夫にて身輕みがるになり必ず沙汰さたなき樣にすべしとて澁々しぶ/\五兩の金をやりけるこそおろかなりける事どもなれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
分家の太左衞門が聞附けて来て大変に立腹し、掛合を始め、大間違が出来、丹三郎は若気の至りで腹立はらだちのまゝ五八を切殺し、太左衞門も斬ってしまうと云って追掛けてくと
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しばらくお待ち下さい、其のお腹立はらだち重々じゅう/″\御尤ごもっともでございますが、お嬢様がわたくしを引きずり込み不義を遊ばしたのではなく、手前が此の二月始めて罷出まかりいでまして、お嬢様をそゝのかしたので
源次郎は早くもすいし、アヽヽこりア流石さすが飯島は智慧者ちえしゃだけある、己と妾のお國と不義している事をさとられたか、さなくば例の悪計を孝助が告げ口したに相違なし、何しろ余程の腹立はらだち