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縒
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より
ふりがな文庫
“
縒
(
より
)” の例文
助
(
す
)
けて働く面々も、すぐり抜きたる
連中
(
れんじゅう
)
が腕に
縒
(
より
)
否
襷
(
たすき
)
を懸けて、車輪になりて立廻るは、ここ二番目の世話舞台、三階
総出
(
そうで
)
大出来なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「なあに、これだって、人が見れば、山出しの下男だろうと思うから心配はない。それよりも、うでに
縒
(
より
)
をかけて、沖へ漕いでおくれ」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その蔓を
縒
(
より
)
をもどすやうにくるくる廻しながら松の幹から引き分けると、松は其時ほつと深い吐息をしてみせたやうに彼には感ぜられた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
あの酒を断つたらば、とは
克
(
よ
)
く住職の言ふことで、禁酒の証文を入れる迄に敬之進が後悔する時はあつても、また/\
縒
(
より
)
が元へ戻つて了ふ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
三本
縒
(
より
)
の革鞭を振りあげて、あの
横梁
(
よこぎ
)
よりも高く
猶奴
(
ジュウ
)
が跳ねあがつたくれえ、こつぴどく野郎を擲りつけて正気に戻しただ。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
▼ もっと見る
けれども今一歩進んでその伊奈子が腕に
縒
(
より
)
をかけた計画を、その終極点のギリギリのところで引っくり返したら伊奈子はどんな顔をするだろう。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「二本残った徳利を見ると、観世縒で縛ってあるが、一本はその
縒
(
より
)
がひどく無器用だ。主人の万兵衛が自分で縒ったのは、見事な観世縒でしたよ」
銭形平次捕物控:108 ガラッ八手柄話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こうなればいよいよ、お由と
縒
(
より
)
を戻しておかなければならない、そう思ったとき、おりうから「知らせ」があった。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
五八「旦那さん、こういう奴は
矢張
(
やっぱり
)
話の
縒
(
より
)
を戻して、縄ア掛けて、名主様へ引いて往って、
闇
(
くれ
)
え所へ
押入
(
おっぺい
)
る方がよかんべい、
鳥渡
(
ちょっと
)
名主どんの所へ往ってくべいか」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
引き裂くと細く
縒
(
より
)
によった。
頷
(
うなず
)
いて受け取った組紐のお仙、小蛇の首根っ子へ結び付けた。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
金紗
(
きんしゃ
)
(
元結
(
もっとい
)
ぐらいな長さの、金元結の柔らかい、
縒
(
より
)
のよい細いようなのを、二、三十本揃えたもの。芝居の
傾城
(
けいせい
)
の
鬘
(
かつら
)
にかけてあるのと同じ)だって、プツンと
断
(
き
)
って、一ぺんかけただけだった。
旧聞日本橋:22 大門通り界隈一束(続旧聞日本橋・その一)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
体温表のうへでは、
脈搏
(
プルス
)
と熱の線が、
縒
(
より
)
の戻つた、赤青なひ交ぜの縄のかたちで、即いたり離れたりしながら、絡みあつてはてしがない。その交叉点で、眼に観えぬ生命の火花が、ぱちりと、散る。
独楽
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
意味もなく
縒
(
より
)
を掛けて
紡錘
(
つむ
)
に巻くに過ぎない。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「あなたが、縁談の
縒
(
より
)
をもどして——そして、虫のいいお願いですけれど、最初の約束のように、父の苦境を救って下さると仰っしゃれば」
旗岡巡査
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「二本殘つた徳利を見ると、觀世縒で縛つてあるが、一本はその
縒
(
より
)
がひどく無器用だ。主人の萬兵衞が自分で縒つたのは、見事な觀世縒でしたよ」
銭形平次捕物控:108 がらツ八手柄話
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この人間を手に入れて置けば帳面のボロを睨まれる気づかいなしという考えで、腕に
縒
(
より
)
をかけて自分の方へ丸め込み、娘のお熊を邪魔にしたものと思われまする。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
して見ると蝶さんが惚れたのも
男振
(
おとこぶり
)
ばかりじゃあないと見える、
縒
(
より
)
が戻りそうでもありませんかい。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
縁あって今じゃア女房にしている訳だが、これを表向にするならおしなせえ、伊勢崎の銭屋へ係って調べの
縒
(
より
)
を戻せば、お気の毒だがお前達の腰に縄が付くべいという考えだ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
武蔵は、懐紙を取り出して、
紙縒
(
こより
)
を作り始めた。幾十本か知れぬほど
縒
(
よ
)
っている。そしてまた、二本
縒
(
より
)
に
綯
(
な
)
い合せて、長さを測り、
襷
(
たすき
)
にかけた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それから、あの
觀世縒
(
くわんぜより
)
は女結びになつて居た筈さ。武家が命がけの惡戯をするのに、觀世
縒
(
より
)
を女結びにするなんて、そんな悠長なことをするものか」
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
腕に
縒
(
より
)
を掛けて釜山一帯の当局連中を鞭撻にかかったものだが、その手初めとして取りあえず
慶尚南道
(
けいしょうなんどう
)
の有志、役人、司法当局四十余名を釜山公会堂に召集して
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
角「
帰
(
けえ
)
られねえけりゃア何うする、
己
(
おれ
)
が方から訴えて調べの
縒
(
より
)
を戻せば、五両の金も取れないばかりでなく、腰に縄が付くんでがんすが、五両の金も
遣
(
や
)
りたくもないから、いやなら
然
(
そ
)
うしようか」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
こりゃ心の迷いだ。
脱
(
に
)
がしてはならぬ脱がしてはならぬと思ってるからだ。こればかりの事に神経を悩すとは、ええ、意気地の無い事だ。いかさまな、五十の坂へ踏懸けちゃあ、ちと
縒
(
より
)
が戻ろうかい。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「すぐ
縒
(
より
)
が戻ろう。そして、初めから物を
弁
(
わきま
)
えぬ無知の者より、もっと始末のわるい、人間の
屑
(
くず
)
ができる」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どうせ江戸一番の性悪男だから、お嬢さんと
縒
(
より
)
を戻したか、でなきゃア新しい女でも拵えたんでしょう
銭形平次捕物控:026 綾吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
ヘヘ。そこが商売で……ヘヘ。襟半の若亭主、半三郎の嫁にというお話で一杯頂戴して、腕に
縒
(
より
)
を
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「ああ、じゃあ、それからまた
縒
(
より
)
が戻った
次第
(
わけ
)
だな。」
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「わしの如き、一介の
漂泊士
(
ひょうはくし
)
を、皆が頼りにしていては、末が心もとない。——いつまでも、今の信念と一致が
縒
(
より
)
の戻らぬように、これを、心の
的
(
まと
)
としたがよかろう」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうかも知れん。殊に今度の事件などは、相手が佐賀一の金満家と来とるから、姉歯も腕に
縒
(
より
)
を
空を飛ぶパラソル
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
元の悪友仲間の
縒
(
より
)
を戻して、暫くは無事な月日が流れて行きました。
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すっかり
縒
(
より
)
が戻って、本来の気のいい人間に返っていたため、旅の二十日余りは、とまれ無事で
和
(
なご
)
やかだったが、いよいよ目的地の江州もほど近い
掲陽嶺
(
けいようれい
)
にいたって
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この頃長崎中の
抜荷買
(
なかま
)
が不思議がっとる福昌号の
奸闌繰
(
からくり
)
ちうのはこの味噌桶に違いないわい。ヨオシ来た。そんなら一つ腕に
縒
(
より
)
をかけて、唐人共の鼻を明かいてコマソかい。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
縒
(
より
)
を戻すつもりだったのかな」
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
年増
(
としま
)
の恋の、熱と手練をくだいて、連れだした新九郎を、むざと、この男に引き裂かれて、もう自分では、鼻についている悪縁の
縒
(
より
)
へ、再び
綯
(
な
)
い込まれてしまった運命の不服と
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いちど死んだのは他人のことのように
思惟
(
しい
)
のなかで区別できる。
綯
(
な
)
い
交
(
ま
)
ぜられて、自分の心からも肉体の
縒
(
より
)
からも除けないのが、あの夜の道誉という者と、わが子と、それから、高氏とであった。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや遅い。夜明けを待つまでもなく、すぐその運びにかかれ、幸い彦右衛門はきょう
恵瓊
(
えけい
)
に会っておる。そのはなしの
縒
(
より
)
を戻して、もういちど、恵瓊がこちらの陣地へ出向いて来るように取計らえ」
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武蔵は入念に、わらじの緒の
縒
(
より
)
を調べて、
革足袋
(
かわたび
)
のうえに
穿
(
は
)
いた。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
職人たちは、べっと、
唾
(
つば
)
をして、
鉋
(
かんな
)
に腕の
縒
(
より
)
をかけ初めた。
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
縒
漢検1級
部首:⽷
16画
“縒”を含む語句
紙縒
観世縒
糸縒
紙子縒
觀世縒
縒糸
縒葉
縒総
縒切
金縒
蔓縒
縒金
縒綱
縒絨
縒捻
縒合
太縒
縒上布
縒々
絹縒
...