素破すわ)” の例文
素破すわとおどろき柴山と立ち上がろうとしましたが、意外にも大学生は、なごやかな表情で、上原にドライブをしないかとさそっています。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
首を縮め帆立尻ほたてじりをし、ジリジリと後へ退さがりながら、息を呑み眼を見張り、素破すわと云わば飛んで逃げようと、用心をして構えていた。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
万太郎もあたりの動揺につり込まれずにはおられません、素破すわと立って、言い合せた如く、金吾のあとから望楼へ向って駆け上がる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして素破すわという場合にはいつ何時でも、手と身とツンツンで飛出しさえすればこっちのものになるというわけである。
丁度この話の始まる日も、晩秋の高原一帯に風速十メートル内外の大西風が吹き始めたから、雇人たちは、素破すわこそとばかり、恐怖の色を浮べた。
人間灰 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして一同は素破すわと言えば直ちに起き上れるように、施条銃ライフルや拳銃を握りしめたまま、床についたのであったがもちろん眠れるものではなかった。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
石は松明にあたって、火の粉は乱れ飛んだ。素破すわやと一同色めいて、いずれも持ったる武器を把直とりなおした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
素破すわと云えばすぐ辷り込めるよう重心を片足において目をくばって待機しているのである。
列のこころ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
素破すわっ、と驚いたが流石に半兵衛の供をしてきた若党だけある。清左衛門が抜くと共に市蔵も木刀を抜いた。定まらぬ腰ではあるが、主人大事と、遠くから「ヤアヤア」位で迫ってくる。
鍵屋の辻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
素破すわまた事件の到来、凶事の発端、と、よろめく足を踏みしめながら、鉄鎧戸ベラインを開いて露台から霧の街道を見おろすと、タヌは何やら黒い物体の上にまたがって、はなはだ快適な嬌声をあげているので。
もしそれが世に隠れて切支丹きりしたんを奉ずる者の群だったら、素破すわとばかり、その発覚を恐れる心理に騒がされたはずです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
引っかかったのが荻野八重梅、年が上のその上に、いうところのバンパイア、古風に云うと白無垢しろむく鉄火、穏しく見せてはいるけれど、素破すわとなれば肌をぬぐ。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわ大事だいじとばかりに裏門の一隊と、表門に待機していた予備隊よびたいとが息せききってけつけました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかも、これで隠れおおせるかどうかは頗る疑問であるので、素破すわといわば飛び出して手あたり次第に斬り散らして逃げる覚悟で、彼はしっかりと大小を握りしめていた。
夢のお七 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
するとたちま背後うしろの森の中に人音が聞えて、女の追手とおぼしき荒くれ男の数名が口々に『素破すわこそ淫仙よ』『殺人魔よ』『奪屍鬼だっしきよ』とののしりつつ立ち現われ、前後左右を取り巻いて
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
素破すわとばかりに振り返って見ると、白井誠三郎が袈裟に斬られ朱に染まってたおれていた。そうして彼のすぐ背後に鏡葉之助が腕をこまぬき黙然として立っていた。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわ! 両剣士への合図か——と思うとそうではなかった。鷹匠頭たかじょうがしらが引率する鳥見組十二列が静々とご前へ現われて、厳粛なうちに華やかなお鳥追の式礼を済ます。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つづいて一ヵ所の陥し穽で鳴子なるこの音がきこえた。素破すわこそと彼等は一度そこへ駈けあつまって、用意のたいまつに火をともして窺うと、穴の底に落ちているのは人であった。
馬妖記 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
素破すわ! 雁金検事も大江山課長も、卓子を小楯こだてにとって、無気味な哄笑のする方を注視した。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今日は平生いつもと違って王宮の中はどの廊下もどの廊下も鎧を着た兵士が立っていて、皆さやを払ったやりや刀をひっさげて、奥の方を一心に見詰めながら、素破すわといわば駈け出しそうにしています。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
まさしく金吾だ——金吾が魔薬のしびれからさめて、そこへ身を挺して来たのだと思いましたから、稲吉はじめ匕首あいくちをもった黒衣の面々、素破すわと油断がありません。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわこそというので、客席から割れるような拍手が起った。客席の灯火あかりがやや暗くなり、それと代って天井から強烈なスポット・ライトが美しい円錐えんすいを描きながら降って来た。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
素破すわご主君ご生害しょうがいぞ! 死ねや死ねや我らも死ねや! ご主君のお供仕れ!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわこそと胸を轟かして玄関に駈け付けて見ますと、こは如何いかに。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
右往左往の影が、あらぬ口走りを放ち合い、ただ「素破すわや」とのみで、たれひとり生色はない。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
途端とたんに聞ゆる悲鳴、素破すわピストルの弾丸が命中したかと思った刹那せつな、傍らの壁に突然ポッカリと丸窓のような穴が明き、蠅男の右腕がまずポーンと飛びこむと、続いて首と胴が
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
素破すわ! と云うような意気込みで、秋安は円座から飛び上ったが、鹿角にかけてあった太刀をつかむと、襖をひらいて外へ出た。出た所に縁がある。縁を飛び下りた秋安は、声のした方へ突っ走った。
血ぬられた懐刀 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわこそと皆蹶起けっきして正座し、その方向に向って両手を支えた。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これを聞くやいな、花山院ノ師賢以下の公卿も、おのおの素破すわと身じたくに慌てだした。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわこそと、見上げる市民の瞳に、機翼の長い偵察飛行機の姿がうつった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
素破すわや合戦とある時には、一方の物頭ものがしらともなる男が、女房の愛に引かされて、さほどの大事をうかうかと明かし、頼まれたお方を裏切るとは! ……我は鎌倉譜代の武士、六波羅の重恩受けたる身
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわ——と、水戸記者が横を見ると、ドレゴ記者が床にぶっ倒れていた。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
「——素破すわ」と、六所神社のうちでも、総立ちになった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわや! と民弥は半身を起こした。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわ、なにごとか、事件が起ったらしい。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
素破すわや! と右内は蹶起けっきした。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわ、何事が?』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわ、変事!」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわこそ!」
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわ、異変だ!
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
素破すわや!」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
素破すわ、火事?
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわ
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素破すわっ。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)