突飛とつぴ)” の例文
をとつひの夜平山が来て、用人ようにん野々村次平に取り次いでもらつて、所謂いはゆる一大事のうつたへをした時、跡部は急に思案して、突飛とつぴな手段を取つた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
田村君は詩人、文學者から蟹の鑵詰製造家に變つたり、鑵詰屋からまた明き家買ひ占め屋に化けたりするほど、突飛とつぴな勇氣を
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
『それはかくしまひからはじめにかへるのにはうしたらいの?』とあいちやんが突飛とつぴなことをたづねました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
却つてこの氣紛れなふるまひに相應ふさはしく、靜かに沈默をつゞけてゐることは、私を都合のいゝ位置に置いた。それにこの振舞の突飛とつぴさには、ちよいと味ひがあつた。
けれどもおやからつたはつた抱一はういつ屏風びやうぶ一方いつぱういて、片方かたはうあたらしいくつおよあたらしい銘仙めいせんならべてかんがへてると、このふたつを交換かうくわんすること如何いかにも突飛とつぴかつ滑稽こつけいであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
所詮ながい間の空想を實現させたので、無論父にも義母はゝにも無斷だ。彼は此の突飛とつぴきはまる行動に、勝見の一をまごつかせて、年來ねんらい耐へに耐へた小欝憤せうゝぷんの幾分をらしたのである。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
たゞ Historyヒストリ ofオフ Gamblingガムブリング博奕史ばくえきし)とふのが、殊更ことさら美裝びさうして、一番いちばん眞中まんなかかざられてあつたので、それが幾分いくぶんかれあたま突飛とつぴあたらくはへただけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたしうさぎあなりてなければかつた——でも——でも——奇妙きめうだわ、こんな生活せいくわつ!これからうなるのかしら!わたし何時いつもお伽噺とぎばなしたびに、りさうにもない突飛とつぴことばかり想像さうざうするのよ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)