稚兒をさなご)” の例文
新字:稚児
是に於てか彼かうべを振りて、我等此方こなたに止まるべきや如何いかにといひ、恰も一の果實このみに負くる稚兒をさなごにむかふ人の如くにほゝゑみぬ 四三—四五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
女子をなご太息といきむねくもして、つきもるまどひきたつれば、おとざめて泣出なきいづる稚兒をさなごを、あはれ可愛かはゆしいかなるゆめつるちゝまゐらせんとふところあくればみてさぐるもにくからず
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のみねといと信實まめやか看病みとりなせども今ははや臨終いまはの近く見えければ夫婦ふうふ親子の別れのかなしさ同じ涙にふししばおこる日もなき燒野やけの雉子きゞす孤子みなしごになる稚兒をさなごよりすてゆく親心おやごころおもまくら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何人をもいたく侮りしかばそのために死しぬ、シエーナびとこれを知り、カムパニヤティーコの稚兒をさなごもまたこぞりてこれをしる 六四—六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
稚兒をさなごのやうになりて正雄まさをひざまくらにしてときあり、給仕きふじにてもはしをばらずと我儘わがまゝをいへれど、正雄まさをしかられておなぜんうへかゆをすゝることもあり、なほつてれるか。
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我はあたかも物に恐れまたは苦しめらるゝとき、走りてその母にすがる稚兒をさなごの如き心をもて、たゞちに左にむかひ 四三—四五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
こは苛責の苦なきなやみよりいづ、またこのなやみをうくるは稚兒をさなご、女、男の數多き、大いなるむれなりき 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
驚異おどろきのあまり、我は身をわが導者に向はしむ、そのさま事あるごとに己が第一の恃處たのみどころに馳せ歸る稚兒をさなごの如くなりき 一—三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しかしてたとへば、乳を吸ひし後、愛燃えてそとにあらはれ、かひなを母のかたぶる稚兒をさなごのごとく 一二一—一二三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
恩惠めぐみの時いたれる後には、クリストの全き洗禮バッテスモを受けざる罪なき稚兒をさなごかの低き處にめられき 八二—八四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)