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確乎
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しっかり
ふりがな文庫
“
確乎
(
しっかり
)” の例文
「ああ、妾が
必然
(
きっと
)
連れて来て見せるから、
温順
(
おとなし
)
くして待ってお
在
(
いで
)
。え、それでも
忌
(
いや
)
かえ。ねえ、お葉さん、
確乎
(
しっかり
)
返事をお
為
(
し
)
よ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私は自分の莫迦らしい妄想を
嘲笑
(
わら
)
い、何時の間にか眼の前で両手を
確乎
(
しっかり
)
固めて居るので急いで其の拳を解き、ふう……と溜息を洩らしました。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
男の何かに
確乎
(
しっかり
)
とつかまっていようとする筒井には、妙に貞時の感覚とか印象とか親切さが日を
趁
(
お
)
うて加わり、解きがたいものになっていた。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「何だねえ、
確乎
(
しっかり
)
して
御行
(
おいで
)
よ」と私は叱るように言いまして、
菎蒻
(
こんにゃく
)
を提げさせて外へ送出す時に、「まあ、ひどい雪だ——気を
注
(
つ
)
けて御行よ」
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
唯目がめり込みはしないかと案じられる位
確乎
(
しっかり
)
目を瞑っていた。それで皆が「万歳万歳」と喝采した時には、今考えて見ると
最早
(
もう
)
岸に着いていたんだ。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
▼ もっと見る
お爺さんは東海道で有名な古駅に近い大きな農家の男隠居で
確乎
(
しっかり
)
した当主の子息もある身の上で、お媼さんはその駅の菓子商を娘の養子に
譲
(
ゆず
)
って来て居た。
かやの生立
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
膝を
支
(
つ
)
いたので、乳母が
慌
(
あわて
)
て
確乎
(
しっかり
)
抱
(
だ
)
くと、
直
(
すぐ
)
に
天鵝絨
(
びろうど
)
の
括枕
(
くくりまくら
)
に
鳩尾
(
みぞおち
)
を
圧
(
おさ
)
えて、その上へ胸を伏せたですよ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
こういう
確乎
(
しっかり
)
とした人物がついていて、何をしているのだ、と思うと共に、その人々の力に及ばぬ、不思議な死を遂げさす力を——何うしていいのか?——左源太は
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
何しろ彼は、商売仲間では
隼
(
はやぶさ
)
英吉と云う名で通って居る
丈
(
だ
)
けに、年は若いが腕にかけては
確乎
(
しっかり
)
したものである。
尾行
(
つけ
)
られて居るのも知らない程
茫然
(
ぼんやり
)
して居よう
筈
(
はず
)
はない。
乗合自動車
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
其許
(
そこもと
)
は吉岡方の名目人で、つまりきょうの果し合いの総大将だからの、
確乎
(
しっかり
)
していなければいかんぞ。もうすこしの辛抱、も少し経つと、面白いものが見られるからな。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男女は
確乎
(
しっかり
)
と抱きあい、一つになって
蹲
(
うずく
)
まっていたところから変だなと思っていると果然
件
(
くだん
)
の男女は抱きあったまま線路に飛び込み、あわやと思う間に男女共一緒に跳ねとばされたが
芳川鎌子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
何か
確乎
(
しっかり
)
としたものにでも執り付いていなければ、何処かへ
奪
(
さら
)
われて行きそうだ。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
お心の底には強いところが
確乎
(
しっかり
)
としておいでになりましたけれど、このごろは、それがゆらゆらと動いておいであそばすようにばかり、わたくしの眼には見えてなりませんのでございます
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
未亡人の亡くなる前後から
以来
(
このかた
)
の事は野村にも
確乎
(
しっかり
)
した記憶があるのだ。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
「今、総之丞から聞いたが、何か
確乎
(
しっかり
)
した事を見た者でもあるか」
海神に祈る
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「彦ちゃんがもう少し
確乎
(
しっかり
)
していてくれると
好
(
い
)
いんだけれども」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『……オイ、そこに
居
(
お
)
るか?……返事がないぞ……こりゃ大変だ……
殺
(
や
)
られたかもしれんぞ……オイそこに居るか?……どうしたどうした?……オイ
確乎
(
しっかり
)
せい……警察からも出かけたぞ……警官も……憲兵も出かけたぞ……』
水晶の栓
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
一
銭
(
せん
)
銅貨
(
どうくわ
)
子供
(
こども
)
は
確乎
(
しっかり
)
握
(
にぎ
)
ります
鶴彬全川柳
(新字旧仮名)
/
鶴彬
(著)
津の国人は
確乎
(
しっかり
)
と足をふまえて、迥か上流を見たが、早、橘親子からは立木がかげをつくっていて見えなかった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「そりゃ
貴下
(
あなた
)
さえ
其積
(
そのつも
)
りで
確乎
(
しっかり
)
していて下さるなら、私は何年でもお待ち申しますわ」
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「今に見ておいて。
必然
(
きっと
)
あの人を呼んで、お前さん達に見せ付けて
与
(
や
)
るから……。嫌われたからと云って、すごすご指を
啣
(
くわ
)
えて
引込
(
ひっこ
)
むようなお葉さんじゃアないんだから……。
確乎
(
しっかり
)
頼むよ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私の云う事も聞いて下さい。私は実際奥さんに敬服しているのです。学問もおありだし、
確乎
(
しっかり
)
して居られる。私のとこのお篠などは無教育で困るのです。あんな奴はどうせ追出して終うのですが、どうでしょう、奥さん、私の願いを
支倉事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
自分でも
確乎
(
しっかり
)
せねばならぬ筈だ。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
やはり女であろうか、筒井はそれも信じられぬことに思われたが、ああいう変に気の好い人というものは自分で
確乎
(
しっかり
)
しているつもりでも、つい気の好さから人に愛されるようになる。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
勿論幾分か酔つてはゐるが、
足下
(
あしもと
)
の危い程でも無いに
兎角
(
とかく
)
に左の方へと行きたがる。おい、田へ落ちるぞ、
確乎
(
しっかり
)
しろと、叔父は
幾
(
いく
)
たびか注意しても、本人は夢の様、無意識に田の
中
(
なか
)
へ行かうとする。
雨夜の怪談
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“確乎”の意味
《名詞》
確乎(かっこ 「確固」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
しっかりして確かなこと。
(出典:Wiktionary)
確
常用漢字
小5
部首:⽯
15画
乎
漢検準1級
部首:⼃
5画
“確乎”で始まる語句
確乎不抜