“白(まを)” の例文
この事白(まを)し訖へつれば、すなはち熟苽(ほぞち)のごと一三、振り拆(さ)きて殺したまひき。かれその時より御名を稱へて、倭建(やまとたける)の命とまをす。
新室(にひむろ)を踏(ふ)み鎮(しづ)む子(こ)し手玉(ただま)鳴(な)らすも玉(たま)の如(ごと)照(て)りたる君(きみ)を内(うち)へと白(まを)せ 〔巻十一・二三五二〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
時に、多至波奈大郎女(たちばなのおほいらつめ)、悲哀嘆息し、畏(かしこ)みて、天皇の前に白(まを)して曰(いは)く、之(これ)を啓(まを)さむは恐(かしこ)しと雖(いへど)も、懐(おも)ふ心止(や)み難し。我が大王(おほきみ)が母王と期(ご)するが如(ごと)く従遊したまひ、痛酷(いたま)しきこと比(ひ)無(な)し。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
時(とき)に、其(そ)の夜(よ)の事(こと)なりけり。三人(さんにん)同(おな)じく夢(ゆめ)む、夢(ゆめ)に蒋侯(しやうこう)、其(そ)の伝教(さんだいふ)を遣(つか)はして使者(ししや)の趣(おもむき)を白(まを)さす。曰(いは)く、不束(ふつゝか)なる女(をんな)ども、猥(みだり)に卿等(けいら)の栄顧(えいこ)を被(かふむ)る、真(まこと)に不思議(ふしぎ)なる御縁(ごえん)の段(だん)、祝着(しうちやく)に存(ぞん)ずるもの也(なり)。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
ここに二柱の神議(はか)りたまひて、「今、吾が生める子ふさはず。なほうべ天つ神の御所(みもと)に白(まを)さな」とのりたまひて、すなはち共に參(ま)ゐ上りて、天つ神の命(みこと)を請ひたまひき。
ここにその名を問はせども答へず、また所從(みとも)の神たちに問はせども、みな知らずと白(まを)しき。