獨逸ドイツ)” の例文
新字:独逸
税關吏は鞄の中は見なかつた。私が心配しながら通つた波蘭ポオランドから掛けて獨逸ドイツの野は赤い八重櫻の盛りであつた。一重のはもう皆散つた後である。
巴里まで (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
翌日フエデリゴはとある横町なる賃房かしべやに移り、己れは猶さきの獨逸ドイツ宿屋なる、珍らしき山と海との眺ある一間に留まりぬ。
三丈ばかり高さがある獨逸ドイツ製の大酒精機を備へて、四時間に三石のアルコールが取れるさうだが、三階でそのしぼられたアルコールを受けるところを見ると
泡鳴五部作:04 断橋 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
あまりにさけんでさけのためにはなあかくなつた獨逸ドイツ陸軍士官りくぐんしくわんや、其他そのほか美人びじん標本へうほんともいふ伊太利イタリー女俳優をんなはいゆうや、いろ無暗むやみくろ印度インドへん大富豪おほがねもち船客等せんきやくらあひだ立交たちまじらつて
りともらぬミハイル、アウエリヤヌヰチは、大得意だいとくいで、佛蘭西フランス早晩さうばん獨逸ドイツやぶつてしまふだらうとか、モスクワには攫客すりおほいとか、うま見掛計みかけばかりでは、其眞價そのしんかわからぬものであるとか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
支那學者が道徳を説きて、いつも先王の道といふを笑ふものはさはなり。されど獨逸ドイツの民がいまもユスチニヤンの法典を參考律ズブジヂエエルにするを笑ふを聞かず。是れ識者のつら/\おもんぱかるべきところなり。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
從來じうらい減債基金げんさいききんうへ獨逸ドイツから賠償金ばいしやうきん六百三十萬圓まんゑん
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
わたくし春枝夫人はるえふじんこのせきつらなつたときには丁度ちやうどある年増としま獨逸ドイツ婦人ふじんがピアノの彈奏中だんそうちゆうであつたが、この婦人ふじんきはめて驕慢けうまんなる性質せいしつえて、彈奏だんそうあひだ始終しゞうピアノだいうへから聽集きゝてかほ流盻ながしめ
彌次連やじれん其中そのなかからだい一にわたくし飛掛とびかゝつてた一にんは、獨逸ドイツ法學士はふがくしとかいふをとこ隨分ずゐぶん腕力わんりよくたくましい人間にんげんであつたが、此方こなた多少たせう柔道じうだう心得こゝろえがあるので、拂腰こしはらひ見事みごときまつてわたくしかち、つゞいてやつ