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燦
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かがや
ふりがな文庫
“
燦
(
かがや
)” の例文
佃と伸子は食堂へ行ったが、華やかに装って談笑する人々、
燦
(
かがや
)
く食卓の光景は、今まるで彼女の心に迫る力を失ってしまった。佃は
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
耳を澄ますと、四山の樹々には、さまざまな
小禽
(
ことり
)
の
群
(
むれ
)
が
万華
(
まんげ
)
の春に歌っている。空は
深碧
(
しんぺき
)
に
拭
(
ぬぐ
)
われて、虹色の陽が
熔
(
とろ
)
けそうに
燦
(
かがや
)
いていた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
和
(
なご
)
やかな
夕餐
(
ゆうさん
)
が済んで、やがて二人は涼しい夜を迎えた。晴れわたった夜空には月もなく、ただ銀河系の群星が暗黒な空間にダイヤモンドの砂を撒いたようにキラキラと
燦
(
かがや
)
いていた。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こういっておすみが顔を
燦
(
かがや
)
かせると
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
背中きらきら
燦
(
かがや
)
いて
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
▼ もっと見る
小ざかしく虚無を真似て自分からその泉の小さい
燦
(
かがや
)
きに目をそむけていようとも、やっぱりよく生きたい、という願望の実在は消されない。
『この心の誇り』:パール・バック著
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
両軍は
祁山
(
きざん
)
の前に陣を張った。山野の春は浅く、陽は澄み、
彼我
(
ひが
)
の
旌旗
(
せいき
)
鎧甲
(
がいこう
)
はけむり
燦
(
かがや
)
いて、天下の壮観といえる対陣だった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
波が体にあたってとびちるとき、体の下をすべっておされてゆくとき波は小さい笑いのように
燦
(
かがや
)
くし、独特のざわめきを立てるのですもの。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
彼女の肉体は獣王の
犠牲
(
にえ
)
にひとたびは供されたが、今は彼女自身のものに立ち返っていた。天然の
麗質
(
れいしつ
)
は、死んでからよけいに
珠
(
たま
)
のごとく
燦
(
かがや
)
いていた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
電車はタタ、カタタと揺れて、暖かい日光に
燦
(
かがや
)
いている、東京と横浜とのあいだをつなぐ雑然とした風景のあいだを疾駆する。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
信長の声は、
金碧
(
きんぺき
)
や
丹青
(
たんせい
)
の
燦
(
かがや
)
くうちにただ一つある墨絵の一室——
狩野永徳
(
かのうえいとく
)
が画くところという
遠寺晩鐘図
(
えんじばんしょうず
)
の
襖
(
ふすま
)
をめぐらした部屋の上段から大きく聞えた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ね、あすこにあんな
燦
(
かがや
)
きがあるでしょう。そして、あの色は何といり組んだ光りをもって次第に高まって来るでしょう。
獄中への手紙:05 一九三八年(昭和十三年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
大湖
(
たいこ
)
にのぞむ大広間をあけひろげ、
千燭
(
せんしょく
)
を
燦
(
かがや
)
かして、小姓たちには金扇銀扇をもたせて舞い
競
(
きそ
)
わせ
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
波打際までゆくと月のさしている一筋のところだけ海上が
燦
(
かがや
)
いて、あとは微妙に暗く、しかもどこか明るく海面がもり上ったように見えるものですね。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
そして眼をひらくと、四壁の
金泥
(
きんでい
)
と絵画は赤々と
燦
(
かがや
)
いていた。
格天井
(
ごうてんじょう
)
の
牡丹
(
ぼたん
)
の図も炎であった。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして、十二月一杯曇天つづきで(十月下旬から)一月に入ると厳寒で却って白雪はキラキラ
燦
(
かがや
)
いた青空になるのよ。午後三時ごろにはもう電燈がついて。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
人々は、
厩舎
(
うまや
)
に曳きこまれた勝馬を
宥
(
いたわ
)
りにゆくのでもなく、敗者の騎手を慰めに行くのでもなかった。競馬場は飽くまでも、勝者の独壇場であり
燦
(
かがや
)
く者のためにある広場だった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平凡な田舎の景色と、横の空いた座席に投げ出されているアルマの箱と、尾世川自身の声の中に何かつつましき祝祭が
燦
(
かがや
)
いてい、藍子も軽やかな心持であった。
帆
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
宋朝
(
そうちょう
)
初期のころには、
紫雲
(
しうん
)
の
薫香
(
くんこう
)
、
精舎
(
しょうじゃ
)
の鐘、とまれまだ人界の
礼拝
(
らいはい
)
の上に
燦
(
かがや
)
いていた
名刹
(
めいさつ
)
瓦罐寺
(
がかんじ
)
も、
雨露
(
うろ
)
百余年、いまは
政廟
(
せいびょう
)
のみだれとともに
法灯
(
ほうとう
)
もまた到るところ
滅
(
ほろ
)
びんとするものか
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして毎朝五時すぎというと紺碧の
燦
(
かがや
)
く空から逆落しのうなりを立てて、大編隊の空襲があった。
播州平野
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
と、無量な感慨をもらして、
燦
(
かがや
)
く
金瓢
(
きんぴょう
)
の
馬簾
(
ばれん
)
をいつまでも見送っていた。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あしたは五月五日で、そろそろ送ったお祝がつくでしょうから二階の床の間に、初端午の兜の飾物が
燦
(
かがや
)
くわけでしょう。かけものなんかでなくて賑やかで子供らしくてよかったわ。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
満山の木々も染まるほど、
館
(
やかた
)
の
燎火
(
にわび
)
は燃えていた。——祝歌はながれて行く——町の民家も軒端軒端に、
篝
(
かがり
)
をたいていた。祝歌につづく人馬や揺れ
燦
(
かがや
)
く輿の
蓋
(
おおい
)
は、その美しい焔の中を流れて行った。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
午後の日光が窓々の閉った建物の真正面を照し、
軒蛇腹
(
のきじゃばら
)
のところの厚い
金商牌
(
きんかんばん
)
を埃っぽく輝かせている。歩道の赤白縞の日除けの下を色彩の強い服装をした女が靴の留金を
燦
(
かがや
)
かせて歩いて行く。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この意気は、もとより彼ら箇々のものに違いないが、大きく
観
(
み
)
ると、秀吉の意気の投映であり、秀吉という主体を得て、初めて、太陽系を
環
(
めぐ
)
る諸衛星のような勢いと
燦
(
かがや
)
きを持ったということもできる。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“燦”の解説
『燦』(さん)は、あさのあつこによる日本の時代小説のシリーズ。文春文庫より書き下ろしで刊行される。
(出典:Wikipedia)
燦
漢検準1級
部首:⽕
17画
“燦”を含む語句
燦然
燦爛
金色燦爛
燦々
燦光
金色燦然
燦燗
金光燦爛
甲鎧燦爛
一燦
燦燦
燦鬱
金簾燦風
金鱗燦
金碧燦爛
閃々燦々
金碧燦然
鮮紅燦々
金毛燦然
豪華燦爛
...