火柱ひばしら)” の例文
これだけいって、こし般若丸はんにゃまるをひきいたが、その刀身とうしんは、いきなりまっにひかって見えた。うしろのほのおはもう高い火柱ひばしらとなっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その次の瞬間、弦三の眼の前に、瓦斯ガスタンクほどもあるような太い火柱ひばしらが、サッと突立つったち、爪先から、骨が砕けるような地響がつたわって来た。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
もっとも敵の地雷火じらいかすさまじい火柱ひばしらをあげるが早いか、味かたの少将を粉微塵こなみじんにした。が、敵軍も大佐を失い、その次にはまた保吉の恐れる唯一の工兵を失ってしまった。
少年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
不斷ふだんは、あまり評判ひやうばんのよくないやつで、肩車かたぐるま二十疋にじつぴき三十疋さんじつぴき狼立おほかみだち突立つツたつて、それが火柱ひばしらるの、三聲みこゑつゞけて、きち/\となくとたゝるの、みちるとわるいのとふ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かヽる人々ひと/″\瞋恚しんいのほむらが火柱ひばしらなどヽ立昇たちのぼつてつみもない世上せじやうをおどろかすなるべし。
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
僕の好奇心は火柱ひばしらのようにもえあがったけれど、博士の沈痛ちんつうな姿を見ると、かさねてうは気の毒になり、まあまあと自分の心をおさえつけた。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
炎々たる城頭の火柱ひばしらは、郊外十里の野づらを染めて夜もすがらな城内の人声が、赤い雲間にこだましている——
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いまかげにやゝうすれて、すごくもやさしい、あつて、うつくしい、薄桃色うすもゝいろると同時どうじに、中天ちうてんそびえた番町小學校ばんちやうせうがくかう鐵柱てつちうの、火柱ひばしらごとえたのさへ、ふとむらさきにかはつたので、すにみづのない劫火ごふくわ
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、下からまっな火のかげが、ひらいたなりに、パッと天井てんじょうへうつった。まるで四かく火柱ひばしらのように。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてほっと一息ついたおりしも、天地もくずれるような音がして、目の前にものすごい火柱ひばしらが立った。第二研究室が、大爆発を起こしたのだった。なにゆえの爆発ぞ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おりしも雷鳴らいめいがおこって、天地もくずれるほどのひびきが、山々を、谷々をゆりうごかす。三角岳の頂上に建っている谷博士たにはかせの研究所のとうの上に、ぴかぴかと火柱ひばしらが立った。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、かれがもらした痛嘆つうたんのおわるかおわらぬうち、遠きやみにあたって、ズーンと立った一道の火柱ひばしら、それが消えると、一点の微光びこうもあまさず、すべてを暗黒がつつんでしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あっ、火柱ひばしらだ。湖の中から、火柱が飛出した。あっ、火柱が飛ぶ。火柱が飛ぶ」
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その第一。火柱ひばしらの発見者で、そのために大怪我をした友永千蔵という男は、怪我を
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ははあ、なるほど。では、親類の方ですね」と、かの青年は、ひとり合点をして、「それなら話してあげましょう。千蔵さんは、ゆうべ火柱ひばしらにひっかけられて、大怪我をしたのですよ」
火星兵団 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なんでもかみなりさまを塔の上へ呼ぶちゅう無茶むちゃな実験をなさっているうちに、ほんとに雷さまががらがらぴしゃんと落ちて、天にとどくような火柱ひばしらが立ちましたでな、それをまあ、ようやく消しとめて
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)