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えどっこ
ふりがな文庫
“
江戸児
(
えどっこ
)” の例文
旧字:
江戸兒
その
面
(
おもて
)
赤しといえども、その力大なりといえども、山男にて手を加えんとせんか、女が
江戸児
(
えどっこ
)
なら
撲倒
(
はりたお
)
す、……御一笑あれ、国男の君。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江戸児
(
えどっこ
)
である。家従は大抵三十代の男であるのに、この男は四十を越していた。僕は家従等に比べると、この男が余程賢いと思っていた。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
浮世絵師の伝記を調べたる人は国芳が
極
(
きわめ
)
て
伝法肌
(
でんぽうはだ
)
の
江戸児
(
えどっこ
)
たる事を知れり。この図の如きは
寔
(
まこと
)
によくその性情を示したる山水画にあらずや。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
江戸児
(
えどっこ
)
の気概が契機として含まれている。野暮と化物とは箱根より東に住まぬことを「
生粋
(
きっすい
)
」の江戸児は誇りとした。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
此れも親父同様生え抜きの
江戸児
(
えどっこ
)
、而も深川は
小名木
(
おなぎ
)
川の辺に生れて辰巳風を吹かせるから、頗る言葉が粗い。あたいはいっそ口惜しくってならねえよ。
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
猛烈な流行性を
有
(
も
)
って往々に人を
斃
(
たお
)
すようなこの怖るべき病に対して、特にお染という最も可愛らしい名を与えたのは
頗
(
すこぶ
)
る面白い対照である、
流石
(
さすが
)
に
江戸児
(
えどっこ
)
らしい所がある。
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
○上野の動物園にいつて見ると(今は知らぬが)前には虎の
檻
(
おり
)
の前などに来ると、もの珍し気に
江戸児
(
えどっこ
)
のちやきちやきなどが
立留
(
たちどま
)
つて見て、鼻をつまみながら、くせえくせえなどと悪口をいつて居る。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
男「へい旦那も
江戸児
(
えどっこ
)
のようなお言葉遣いでげすね」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
船頭もまた
臆病
(
おくびょう
)
すぎる。
江戸児
(
えどっこ
)
だろうに、
溺
(
おぼ
)
れた女とも、身投とも
弁
(
わきま
)
えず、
棒杭
(
ぼうぐい
)
のようにかたくなって、ただ、しい、しい、
静
(
しずか
)
にとばかり。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここにおいて
江戸児
(
えどっこ
)
は水道の水と合せて富士の眺望を東都の
誇
(
ほこり
)
となした。西に富士ヶ根東に
筑波
(
つくば
)
の一語は誠によく武蔵野の風景をいい尽したものである。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
新造に
取着
(
とッつ
)
かれる
覚
(
おぼえ
)
はないから、別に殺そうというのじゃあなかろう、
生命
(
いのち
)
に別条がないと
極
(
きま
)
りゃ、大威張りの
江戸児
(
えどっこ
)
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
田舎者のはなしは
七
(
しち
)
くどくして
欠伸
(
あくび
)
の種となり
江戸児
(
えどっこ
)
の早口は話の前後多くは
顛倒
(
てんとう
)
してその意を得がたし。談話の善悪上品下品
下手
(
へた
)
上手
(
じょうず
)
はその人にあり。学ぶも得やすからず。
小説作法
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
鍋焼
饂飩
(
うどん
)
は
江戸児
(
えどっこ
)
でない、多くは信州の山男と聞く。……鹿児島の
猛者
(
もさ
)
が羅宇の
嵌替
(
すげかえ
)
は無い図でない。しかも着ていたのが巡査の古服、——
家鳴
(
やなり
)
震動
大笑
(
おおわらい
)
。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
倫理学者デニング先生の講義は
江戸児
(
えどっこ
)
流の
巻舌
(
まきじた
)
と滞りなき日本語とによって聴客を驚かせた。これから先の世の中にもそれに似たような事が続々として現われずにはいないであろう。
仮寐の夢
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ま、待たっしゃれ今燈明を
点
(
つ
)
ける。」と
膝行
(
いざり
)
歩きて、
燧火
(
マッチ
)
か、附木か、探す様子。
江戸児
(
えどっこ
)
焦
(
じ
)
れ込み、「こう早く教えてくんねえ。御前様が待っていなさらあ。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さういふ男は女郎屋なぞに上ればかへつてさつぱりしたものなり。
江戸児
(
えどっこ
)
の職人なぞにこの類多し。助兵衛にあらず飢ゑたるにもあらずして女をからかふは何の故ぞや。唯面白ければなり。
猥褻独問答
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
女二人が天麩羅で、
祖母
(
おばあ
)
さんと私が饂飩なんだよ。考えて見ると、その時分から意気地の無い
江戸児
(
えどっこ
)
さ。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江戸児
(
えどっこ
)
だと、見たが可い! 野郎がそんな
不状
(
ぶざま
)
をすると、それが
情人
(
いろ
)
なら
簪
(
かんざし
)
でも刺殺す……
金子
(
かね
)
で売った
身体
(
からだ
)
だったら、思切って、
衝
(
つっ
)
と立って、袖を払って帰るんだ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この
江戸児
(
えどっこ
)
、意気まだ衰えず、と内心大恐悦。
大
(
おおい
)
に健康を祝そうという処だけれども、
酒
(
あり
)
ますまい。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
奴なきお夏さんは、
撞木
(
しゅもく
)
なき時の鐘。涙のない恋、戦争のない歴史、
達引
(
たてひ
)
きのない
江戸児
(
えどっこ
)
、江戸児のない東京だ。ああ、しかし
贅六
(
ぜいろく
)
でも可い、私は
基督教
(
キリストきょう
)
を信じても可い。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「黙ってろ。俺もこう見えて
江戸児
(
えどっこ
)
だ。巽の
仮声
(
こわいろ
)
がうめえんだ。……」
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他人に路を
訊
(
き
)
かれて喜んで教えるような
江戸児
(
えどっこ
)
ではない。
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
江戸児
(
えどっこ
)
は心得たものね。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「酒井先生は
江戸児
(
えどっこ
)
だ!」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江
常用漢字
中学
部首:⽔
6画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
児
常用漢字
小4
部首:⼉
7画
“江戸児”で始まる語句
江戸児擬