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比目魚
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ひらめ
ふりがな文庫
“
比目魚
(
ひらめ
)” の例文
彼は一生懸命に半七を突きのけて又逃げ出そうとするのを、
背後
(
うしろ
)
からどんと突かれて、往来のまん中へ
比目魚
(
ひらめ
)
のように俯伏して倒れた。
半七捕物帳:68 二人女房
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
私が子供の頃には、誰も
比目魚
(
ひらめ
)
を食わなかったことを覚えている。以前、メイン州の海岸では、ハドック〔鱈の類〕を食える魚だと思っていなかった。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
○汐干狩の楽地として、春末夏初の風
和
(
のど
)
かに天暖かなる頃、あるいは
蛤蜊
(
こうり
)
を
爪紅
(
つまくれない
)
の手に
撈
(
と
)
るあり、あるいは
銛
(
もり
)
を手にして
牛尾魚
(
こち
)
比目魚
(
ひらめ
)
を突かんとするもあるところなり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
今はこのあたりまで炭坑が開かれたので、
最早
(
もはや
)
昔の面影は残っていまい。平潟に限らず、浜街道の宿では泊りは総て十七銭で、
比目魚
(
ひらめ
)
か
鮪
(
まぐろ
)
の刺身に玉子焼が普通であった。
四十年前の袋田の瀑
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
全体
(
ぜんてい
)
此辺
(
こけいら
)
は
浜方
(
はまかた
)
が近いにしちゃア魚が少ねえ、鯛に
比目魚
(
ひらめ
)
か
※
(
めばる
)
に
鯥
(
むつ
)
、それでなけりゃア
方頭魚
(
あまでい
)
と毎日の御馳走が極っているのに、料理
方
(
かた
)
がいろ/\して喰わせるのが上手だぜ
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
比目魚
(
ひらめ
)
を置き返すように、俯伏しにひっくり返してその帯を取り、着物を剥ぎ、懐中物、胴巻まですっかり取り上げて、本当の裸一貫として、その後——両手ではない片手を
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
はげて、くすんだ、泥絵具で
一刷毛
(
ひとはけ
)
なすりつけた、波の線が太いから、海を
被
(
かつ
)
いだには違いない。……鮹かと思うと脚が見えぬ、
鰈
(
かれい
)
、
比目魚
(
ひらめ
)
には、どんよりと色が赤い。
赤鱏
(
あかえい
)
だ。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
上手を見「やい若衆、そんなに
睨
(
ね
)
めるな、人を睨めると手前
比目魚
(
ひらめ
)
になるぞ」といひ
いがみの権太:(明治二十九年一月、明治座)
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
鱧
(
はも
)
、
河豚
(
ふぐ
)
、
赤魚
(
あかお
)
、つばす、
牡蠣
(
かき
)
、生うに、
比目魚
(
ひらめ
)
の縁側、赤貝の
膓
(
わた
)
、
鯨
(
くじら
)
の赤身、等々を始め、
椎茸
(
しいたけ
)
、
松茸
(
まつたけ
)
、
筍
(
たけのこ
)
、
柿
(
かき
)
などに迄及んだが、
鮪
(
まぐろ
)
は虐待して余り用いず、
小鰭
(
こはだ
)
、はしら、
青柳
(
あおやぎ
)
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
例之
(
たとへ
)
ば午、吸物摘入、
小蕪菁
(
こかぶ
)
、椎茸、平昆布、
大口魚
(
たら
)
、
鱠
(
なます
)
、千六本貝の柱、猪口はり/\、焼物生鮭粕漬、夕、吸物牡蠣海苔、口取蒲鉾卵
橘飩
(
きんとん
)
青海苔を
塗
(
まぶ
)
したる牛蒡鯛の小串、刺身
比目魚
(
ひらめ
)
黒鰻
(
まぐろ
)
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「ねえマリユス、わしがもしお前だったら、もう
魚
(
さかな
)
より肉の方を食べるがね。
比目魚
(
ひらめ
)
のフライも回復期のはじめには結構だが、病人が立って歩けるようになるには、上等の
脇肉
(
わきにく
)
を食べるに限るよ。」
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
比目魚
(
ひらめ
)
(本邦産) 七九・二五 一九・一六 〇・四七 一・一二
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
比目魚
(
ひらめ
)
の恰好で海底に吸いついているのです。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「日比魚は
比目魚
(
ひらめ
)
か何かで?」
銭形平次捕物控:113 北冥の魚
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
……と送って出しなの、肩を叩こうとして、のびた腰に、ポンと土間に反った新しい仕込みの
鯔
(
ぼら
)
と、
比目魚
(
ひらめ
)
のあるのを、うっかり
跨
(
また
)
いで、
怯
(
おび
)
えたような
脛
(
はぎ
)
白く、
莞爾
(
にっこり
)
とした女が見える。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ほとんど不思議のようで、本来からだだけは御自慢の、きゃしゃに出来ていることはいるが、それにしても、
比目魚
(
ひらめ
)
を縦にしたような形になってしまって、大木といっても、本来街路樹ですから
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
荷
(
に
)
も
石瓦
(
いしがわら
)
、古新聞、
乃至
(
ないし
)
、
懐中
(
ふところ
)
は
空
(
から
)
っぽでも、一度目指した軒を潜って、座敷に足さえ
踏掛
(
ふんが
)
くれば、銚子を倒し、椀を替え、
比目魚
(
ひらめ
)
だ、鯛だ、と
贅
(
ぜい
)
を言って、
按摩
(
あんま
)
まで取って、ぐっすり寝て
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どうせ東京の魚だもの、誰のを買ったって
新鮮
(
あたらし
)
いのは無い。たまに盤台の中で
刎
(
は
)
ねてると思や、
蛆
(
うじ
)
で
蠢
(
うご
)
くか、そうでなければ
比目魚
(
ひらめ
)
の下に、手品の
鰌
(
どじょう
)
が泳いでるんだと、母様がそう云ったっけ。」
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
比
常用漢字
小5
部首:⽐
4画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
魚
常用漢字
小2
部首:⿂
11画
“比目”で始まる語句
比目
比目矢