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此儘
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このまま
ふりがな文庫
“
此儘
(
このまま
)” の例文
仮令
(
たとい
)
叔父様が何と云わりょうが下世話にも云う乗りかゝった船、
此儘
(
このまま
)
左様ならと指を
噉
(
くわ
)
えて
退
(
の
)
くはなんぼ
上方産
(
かみがたうまれ
)
の
胆玉
(
きもだま
)
なしでも
仕憎
(
しにく
)
い事
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「あッ、
然
(
そ
)
うだった。危い危い! しかし
此儘
(
このまま
)
見殺
(
みごろ
)
しが出来るもんじゃない。何とか、おい番頭さん、何とかしなければ——」
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
思へば、人の申候ほど死ぬる事は
可恐
(
おそろし
)
きものに
無御座候
(
ござなくさふらふ
)
。私は今が今
此儘
(
このまま
)
に息引取り候はば、何よりの
仕合
(
しあはせ
)
と
存参
(
ぞんじまゐ
)
らせ候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
こうした事情で、だんだん激しくなる将来が予感せられて来て、
此儘
(
このまま
)
ではどの様な世の中になるか測り知れないと、其対策が自ら浮び上って来た。
反省の文学源氏物語
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
彼女が其処へ
差蒐
(
さしかか
)
った時、彼は直ぐ其後へ追付いて居た。
此儘
(
このまま
)
黙って過ぎれば只路傍の人として終って了うのである。併も彼は大なる秘密を握って居る。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
▼ もっと見る
出來ることなら
此儘
(
このまま
)
此處にぢいつと暮して行かうと思つてゐたのであつたが、さう出來ぬ事情になつた。
樹木とその葉:04 木槿の花
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
千種十次郎も何遍か立ちかけましたが、妙に新聞記者の第六感が働いて、
此儘
(
このまま
)
立ち去る気になれません。何んかしら、此邸の中には事件の匂いがして来たのです。
悪魔の顔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
此林中には立木と草のあるばかり、流星が
此処
(
ここ
)
で消えたとて何んの不思議な物が落ちて居るものか、
好奇
(
ものずき
)
に
此様
(
こん
)
な気味の悪い森林に入るよりは
此儘
(
このまま
)
此処から家に帰り
黄金の腕環:流星奇談
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
考えて見ると漢籍
許
(
ばか
)
り読んでこの文明開化の世の中に漢学者になった処が仕方なし、別に
之
(
これ
)
と云う目的があった訳でもなかったけれど、
此儘
(
このまま
)
で過ごすのは
充
(
つま
)
らないと思う処から
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お見送りの出来ないのがただ
名残
(
なご
)
り
惜
(
お
)
しゅうぞんじます。けれど金子は、明朝御出立のまぎわ迄に、必ずお手許まで届けさせます故、家事など
此儘
(
このまま
)
、
後顧
(
こうこ
)
なく
御上洛
(
ごじょうらく
)
くださいまし。
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ですから貴下を
背負
(
おんぶ
)
してあの高い天の御殿などにはもう
迚
(
とて
)
もいかれませんけれども
此儘
(
このまま
)
にして置いては私の役目が果せませんから、一つ
貴下
(
あなた
)
が天に御昇りになれる法をお教へ致します。
子良の昇天
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
昼も暗い針葉樹の林に這入ると、木の間に霧が鼠色の網を張って
犇々
(
ひしひし
)
と捲き寄せて来る。
此儘
(
このまま
)
何処かの谷底へでもさらわれて、体が溶けて水になるのではないかというような気がする。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
一首の意は、大丈夫たるものは、万代の後まで語り伝えられるような功名もせず、空しく此世を終るべきであろうか、というので、名も遂げずに
此儘
(
このまま
)
死するのは残念だという意である。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
何分、
帥
(
そつ
)
の殿のお都入りまでは、何としても、
此儘
(
このまま
)
で置くので御座りましょう。さように、人が申し聞けました。はい。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
強
(
しい
)
て
聞
(
きく
)
でも
無
(
なけ
)
れど
此儘
(
このまま
)
別れては何とやら仏作って魂入れずと云う様な者、話してよき事ならば
聞
(
きい
)
た上でどうなりと
有丈
(
あるたけ
)
の力喜んで尽しましょうと
云
(
いわ
)
れてお
辰
(
たつ
)
は
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
秋月九十郎は僅かに気を
取直
(
とりなお
)
しました。次第によっては、
此儘
(
このまま
)
切込
(
きりこ
)
んで行く気になるかも知れません。
奇談クラブ〔戦後版〕:04 枕の妖異
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もはや再び
懐
(
なつかし
)
き懐き御顔も拝し難く、猶又前非の御ゆるしも無くて、
此儘
(
このまま
)
相果て候事かと、
諦
(
あきら
)
め候より外無く存じながら、とてもとても諦めかね候苦しさの程は、
此心
(
このこころ
)
の外に知るものも
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
二部は工科で僕は又建築科を択んだがその主意が中々面白い。子供心に
異
(
おつ
)
なことを考えたもので、其主意と云うのは
先
(
ま
)
ずこうである。自分は元来変人だから、
此儘
(
このまま
)
では世の中に
容
(
い
)
れられない。
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此儘
(
このまま
)
で行ったら事情はどう発展したかわかりませんが、翌年の夏頃から銀子は次第にその美しい声をスポイルして、秋口にはもう舞台に立つことさえむつかしくなっておりました。
奇談クラブ〔戦後版〕:16 結婚ラプソディ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
されば
是等
(
これら
)
の
餽物
(
おくりもの
)
親御からなさるゝは至当の事、受取らぬと
仰
(
おっしゃ
)
ったとて
此儘
(
このまま
)
にはならず、どうか条理の
立様
(
たつよう
)
御分別なされて、
枉
(
まげ
)
ても
枉
(
まげ
)
ても、御受納と
舌
(
した
)
小賢
(
こざか
)
しく
云迯
(
いいにげ
)
に東京へ帰ったやら
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もっと
奇麗
(
きれい
)
な家にも住みたい。私の書斎の壁は落ちてるし、
天井
(
てんじょう
)
は
雨洩
(
あまも
)
りのシミがあって、随分
穢
(
きたな
)
いが、別に天井を見て行って
呉
(
く
)
れる人もないから、
此儘
(
このまま
)
にして置く。何しろ畳の無い板敷である。
文士の生活:夏目漱石氏-収入-衣食住-娯楽-趣味-愛憎-日常生活-執筆の前後
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
此
漢検準1級
部首:⽌
6画
儘
漢検準1級
部首:⼈
16画
“此”で始まる語句
此方
此
此処
此家
此奴
此處
此所
此間
此頃
此様