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横倒
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よこだふ
軈て
又例の
木の
丸太を
渡るのぢやが、
前刻もいつた
通草のなかに
横倒れになつて
居る、
木地が
恁う
丁度鱗のやうで
譬にも
能くいふが
松の
木は
蝮に
似て
居るで。
工事中土瓦のもり
上つた
海邊橋を、
小山の
如く
乘り
來る
電車は、なだれを
急に、
胴腹を
欄干に、
殆ど
横倒しに
傾いて、
橋詰の
右に
立つた
私たちの
横面をはね
飛ばしさうに、ぐわんと
行く
時
御覽なさい。
釣濟ました
當の
美人が、
釣棹を
突離して、
柳の
根へ
靄を
枕に
横倒しに
成つたが
疾いか、
起るが
否や、三
人ともに
手鞠のやうに
衝と
遁げた。が、
遁げるのが、
其の
靄を
踏むのです。
煙に
陰々として
横倒れに
寐て
居たのが、
此の
時仁王立ちに
成つたのである。