樂隱居らくいんきよ)” の例文
新字:楽隠居
「あなたはもう樂隱居らくいんきよでせう。まだ孫は出來ませんか。」と、私は手づから無疵の茶碗に茶を注いで老僧に進めつゝ言つた。
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
さうして自分じぶんあたゝかしづかところして、かねめ、書物しよもつみ、種々しゆ/″\屁理窟へりくつかんがへ、またさけを(かれ院長ゐんちやうあかはなて)んだりして、樂隱居らくいんきよのやうな眞似まねをしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
榮花えいぐわにしたしむすめにも綺羅きらかざらせてれも安心あんしん樂隱居らくいんきよねがはくは家運長久かうんちやうきうなれ子孫しそん繁昌はんじやうなれ兎角とかくうへ凶事きようじあらせじとの親心おやごゝろひきかへしねがひもさかさまながら今日けふ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつこえたるがといふ者は長三郎とて今茲十九になる男子一にんさるに此長三郎はうまれ附ての美男にて女の如き者なればたれいふともなく本町業平なりひらまた小西屋の俳優息子やくしやむすこと評判殊にたかかるより夫婦は何卒なにとぞよきよめとつ樂隱居らくいんきよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
樂隱居らくいんきよなされたきおのぞみのよし、これしかるべきこと御親類ごしんるいどう御决義ごけつぎわたくし初手しよてから貴君樣あなたさま東京とうけうへおし申すははぬほどにて、申しては失禮しつれいなれどいさゝかの學問がくもんなどうでもこと
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)