服従ふくじゅう)” の例文
旧字:服從
かんがえてごらんなさい。命令めいれい服従ふくじゅうしかないところに、いったい、なごやかさなどというものがありましょうか。」と、あには、こたえました。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしはそのあくる日一人で行きたいことは少しもなかったけれども、親方の言うことには服従ふくじゅうしなければならないと思った。
『たのもしい人物じんぶつじゃ。あれよりほかにそちが良人おっとかしづくべきものはない……』ただそれっきりの事柄ことがらで、わたくしはおとなしくちちおおせに服従ふくじゅうしたまででございます。
そして機械人間はすべて、にせの谷博士の命令には、ぜったい服従ふくじゅうして動くのだった。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それはもうわが手では動かすことのできぬ運命ででもあるように、彼女はそれに服従ふくじゅうしようとしている。そこにはもう、与えられる運命をさらりとうけようとする女の姿があった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
いったん、きめたいじょうは、それをまもるのが当然とうぜんだと思う。また、試合しあいのときなどに、チームの作戦さくせんとしてきめたことには、ぜったいに服従ふくじゅうしてもらわなければならない、という話もした。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
服従ふくじゅうするよりほかにしかたがなかった。寝台ねだいの上には鳥の毛のふとんがあった。親方がそれをわたしのあごまで深くかけた。
しかし委細いさい事情じじょうってわたくしには、あのうつくしいおかお何所どこやらにひそむ、一しゅさびしさ……新婚しんこんよろこぶというよりか、しろつらい運命うんめいに、仕方しかたなしに服従ふくじゅうしているとったような
しかるに、上役うわやくは、冷然れいぜんとして、皮肉ひにくつきで、そのおとこ見下みくだして、命令めいれいします。この場合ばあい、だれがいても無理むりおもわれるようなことでも、おとこは、服従ふくじゅうしなければなりませんでした。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
でも父親がこう言えば、わたしは服従ふくじゅうしなければならなかった。それでわたしは宿屋やどやで会うことをやくそくした。
いぬたちのあいだにも、たたかってよわいものは、つよいものに絶対ぜったい服従ふくじゅうするというおきてがあって、よるになると、どこかのいぬが、畜犬票ちくけんひょうをチャラチャラとらしながら、うしほねや、パンくずなどをくわえて
花の咲く前 (新字新仮名) / 小川未明(著)
巡査じゅんさの答えは、議論ぎろん必要ひつようはない、ただだまってわたしたちは服従ふくじゅうすればいいというのであった。
かれはわたしにまどからどけという合図をした。ふしぎに思いながら、わたしは服従ふくじゅうした。かれは豆鉄砲まめでっぽうを口に当ててふいた。かわいらしい鉄砲玉てっぽうたまが空をまって、わたしの足もとに落ちた。