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普通
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ただ
ふりがな文庫
“
普通
(
ただ
)” の例文
そういう人々は、墓詣りということが
普通
(
ただ
)
の習慣となってしまっているらしい。『時』が彼等の
悲哀
(
かなしみ
)
を磨り減らしたのであろう。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
彼も最初のうちは
普通
(
ただ
)
の強盗で、顔を見知られないために殺すのだということでしたが、中途から噂が変って、金を奪うためのみではない。
耳香水
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
するとそれは
普通
(
ただ
)
の珈琲でなくてウイスキーを割ったものであることが、飲んだ後から解ったので、酒に弱い私は慌てて水瓶を持って来させて
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それは決して
普通
(
ただ
)
の農家の娘とは見えなかった。髪は文金高島田に結って間もなく、一筋の
乱
(
ほつ
)
れ毛も無いので有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
ここで
念
(
ねん
)
の
為
(
た
)
めに
申上
(
もうしあ
)
げて
置
(
お
)
きますが、
私
(
わたくし
)
を
指導
(
しどう
)
してくだすった
神様
(
かみさま
)
は、お
姿
(
すがた
)
は
普通
(
ただ
)
の
老人
(
としより
)
の
姿
(
すがた
)
を
執
(
と
)
って
居
(
お
)
られますが、
実
(
じつ
)
は
人間
(
にんげん
)
ではございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
併し夜! 夜は又これほど物寂しい場処は少なく、夏の熱い最中ならば知らぬこと、其他の季節に夜に入つて此山に登る者は決して
普通
(
ただ
)
の人ではない。
夜の赤坂
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
兄の手紙には「例の人」とあるだけで、節子の名を書きあらわすことすら避けてある。彼は母や姉と同時に
普通
(
ただ
)
ならぬ身であるという彼女を想像した。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「そりゃあ、そうだとも、気ちげえだって
普通
(
ただ
)
の女だって、恋に狂えば紙一重——どうせ、おら達だって、食い
酔
(
よ
)
や、気ちげえだでなあ——へ、へ、へ」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
それは無論何処の社でも、校正係が主筆を捉へて「オイ君」などと云ふ事は無いものだけれど、それでも
普通
(
ただ
)
の社会と違つて、何といふ事なしに自由がある。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
室のまんなかに座を占めたところに、
行住座臥
(
ぎょうじゅうざが
)
をもいやしくしない、
普通
(
ただ
)
ならぬ武道のたしなみが読まれた。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「一寸、あの方は何と云って。
矢張
(
やっぱ
)
り
普通
(
ただ
)
の人間とおんなじ口の利き方をなさる事? 一寸さあ……」
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
村はずれの池から採って来た
普通
(
ただ
)
の菱の実で、取り立てて言うほど味のいいものではなかったが、いかつい角を
生
(
はや
)
した、その堅苦しい恰好がおもしろい上に、歯で噛むと
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
見れば、なるほどそれは
普通
(
ただ
)
の牌だ。奇態なこともあるものだ! 今度も負けになつてしまつた。そして妖怪どもは又しても声を張りあげて⦅
阿房
(
ドゥーレン
)
!
阿房
(
ドゥーレン
)
!⦆と喚き立てた。
ディカーニカ近郷夜話 前篇:06 紛失した国書
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
もう店の仕舞い
際
(
ぎわ
)
でしたが、カンテラの
灯
(
ひ
)
の明りでも
普通
(
ただ
)
のものでない気がしましたので、手に取って見ると、果してそれは好いこなしで、こんな所に転がっているものではありません。
幕末維新懐古談:75 不動の像が縁になったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
長屋の寄り合いには無くてかなわぬ
落語家
(
はなしか
)
の〆団治も、今夜は
普通
(
ただ
)
の晩やあらへんさかいと、
滑稽
(
ちょか
)
口を封じられて、渋い顔をしていたが、けれど、さすがに黙って居るのは辛いと見えて
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
『兄さん、貴方は死んで呉れちゃいやですよ。決して死ぬんじゃありませんよ。貴方は
普通
(
ただ
)
の
兵士
(
へいたい
)
ですよ。
戦争
(
いくさ
)
の時、死ぬ為に、
平生
(
つね
)
から扶持を受けてる人達とは違ってよ。兄さん自分から好んで、』
昇降場
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
「なるほど、
普通
(
ただ
)
の子供ではないな。これは
迂濶
(
うっか
)
り油断は出来ぬ」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
君はこの船を
普通
(
ただ
)
の船と見て乗った訳じゃなかろう。最初から秘密があると睨んで虎穴に入ったんだろう。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
失礼だが、お
媼
(
ばあ
)
さん、場所は場所だし、
末枯
(
うらがれ
)
だし、雨は降る、
普通
(
ただ
)
ものとは思へないぢやないか。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは
普通
(
ただ
)
の泥棒ではない、きっと何か
計画
(
たくら
)
んでいるんだろう。殊によると今夜の行動を最初から見ていて、僕の弱点に附け込み、金品を
強請
(
ゆす
)
ろうというのかも知れない。
黒猫十三
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
ありふれた、
普通
(
ただ
)
のコロップで、壜の栓になるより他には何の役にも立たない代物さ! 何より面白かつたのは、おれに署名をさせようとして書類を差しだしやあがつた時だ。
狂人日記
(旧字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
主婦
(
おかみ
)
が
強
(
た
)
つて頼んだのでもなく、矢張
普通
(
ただ
)
の女中で、額の狭い、小さい目と小さい鼻を隠して了ふ程頬骨の突出た、
土臼
(
どうす
)
の様な尻の、先づ珍しい許りの
醜女
(
みたくなし
)
の
肥満人
(
ふとつちよ
)
であつた。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「そんな事なら何も私にだんまりで、裏から逃げ出さなくっても好いでは有りませんか。私だって
普通
(
ただ
)
の女では無いんですからね。筋路さえ通った事なら、機嫌
克
(
よ
)
く御見送りしますよ」
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
私もネ、しばらく気分が悪くて、
伏枕
(
ふせ
)
っていましたから、何か水気のある物を食べたいと思って買わせに
遣
(
や
)
るうちに……どうも話の様子では、
普通
(
ただ
)
の水菓子を売る家の
内儀
(
おかみ
)
さんでは無い。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
玲子はモウぽとりぽとりと涙を
滴
(
た
)
らしながら
普通
(
ただ
)
さえ狭い肩をすぼめて、わなわなと震えていた。
継子
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「取ったな。」と叫びたる、海野の声の
普通
(
ただ
)
ならざるに、看護員は
怪
(
あやし
)
むごとく
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
普通
(
ただ
)
の女中ぢや無い。」といふ事を、私に呑込ませようとしたらしい。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これしきのことを御存じないとは驚ろいた——
妖女
(
ウェーヂマ
)
を焼くには
普通
(
ただ
)
の火では駄目だつてことをさ!
憑魔
(
つきもの
)
を焼くには是非とも、
煙管
(
きせる
)
の火を使はにやあなりませんやね、ちよつくらお待ちなせえ
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
と云った処で、
普通
(
ただ
)
の道場破りをして来いと申すのでは無い。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
……俺は
普通
(
ただ
)
の強盗とは違うんだぞ。そのうちにタッタ一つ大きな仕事をして、大威張りで北海道を脱け出すまでは、ケチな金や、ハシタ
女
(
め
)
には眼もくれないんだぞ……。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「取つたな。」と叫びたる、海野の声の
普通
(
ただ
)
ならざるに、看護員は怪む如く
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
尤も此給仕人は
普通
(
ただ
)
の奴では面白くない。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
ところがあれが
普通
(
ただ
)
の島田では御座いませなんだので……私はズット以前からあの娘の
外出姿
(
よそゆきすがた
)
に気を付けておりましたが、あの娘は普通よりもズット髪毛が長くて多い方で
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
いえ、
普通
(
ただ
)
拾って徳義上御返し申すのなら、下さるたって戴きません。
金時計
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ハハハ。まだあるんだぜ。戸塚があの死体を西村さんと云い出すなり、直ぐに俸給泥棒と察して、追かけて行った時の素早かった事はどうだい。
普通
(
ただ
)
じゃなかったぜ。あの意気込は……」
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“普通”の解説
普通(ふつう)とは、広く通用する状態のこと。普通の『普』は、「あまねく」「広く」を意味する字である。
対義語として、「特別」「特殊」「特異」「奇異」。類義語として、「一般」「通常」「平常」「平凡」「平庸」「凡庸」「平(ひら、なみ、つね)」「並(なみ、つね)」「庸(なみ、つね)」など。
(出典:Wikipedia)
普
常用漢字
中学
部首:⽇
12画
通
常用漢字
小2
部首:⾡
10画
“普通”で始まる語句
普通牌
普通着
普通人
普通名
普通大体
普通教育
普通民家
普通選挙
普通選擧
普通社会人