斯々かく/\)” の例文
扨も忠八は馬喰町なる旅宿りよしゆくかへりてお花夫婦に打對うちむかひ今日向島の渡舟わたしにて斯々かく/\の事ありしと告げれば夫婦は悦ぶ事大方ならず只行方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
長二もかねおりもあらば和尚にだけは身の上の一伍一什いちぶしじゅうを打明けようと思って居りました所でございますから、幸いのことと、自分は斯々かく/\棄児すてごにて
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お桐の友達である若い人達は多くは蚊帳の外か、さなくば台所で誰かに見舞の辞を述べて、今日は斯々かく/\で忙しいから長く居られぬなどと言訳をして行くかした。お桐は之をあきたらず思つた。
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
たがひぞとて御優おやさしき御詞おことばわれもしきりにうれしくてたづぬるひとありとこそあかさゞりしが種々いろ/\との物語ものがたり和女そなた母御はゝご斯々かく/\ひとならずやとおもらぬ御問おとまことかぞなんとして御存ごぞんじとへばわすれてるべきか和女そなたれとは兄弟きやうだいぞかしれは梨本なしもというなるを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
とげ早々いなやを訴へよと嚴敷きびしく申渡されしかば豐島屋大いにおそれ早々立歸り手代始め一同呼出よびいだし今日大岡樣斯々かく/\仰せ渡されたれば萬一右の金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこで甚兵衞爺さんお若さんを我家へ連れて戻り、婆アどんにも一伍一什いちぶしじゅう斯々かく/\と語り、今夜は遅いからまアお休みなさい、明日あすにもなれば伊之助を尋ねて参りますからと親切にいたしてくれまする。
さぐれとおほせらるゝともそれ違背ゐはいはすまじけれど戀人こひびと周旋とりもたんことどう斷念あきらめてもなることならず御恩ごおん御恩ごおんこれはこれなりいつそおふみ取次とりついだるていにしてこのまゝになすべきかや/\それにてはみちがたゝずじつ斯々かく/\なかなりとて打明うちあけなばじようさま御得心おとくしんくべきかわれこそは
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
し出たるのち淨水てうづこまをりから斯々かく/\の娘を見染ぬ世に二個となき美人なればそゞろに戀しく思ひつゝ此美婦人このびふじんくらぶれば櫻もいかで物かはと花見を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)