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ぎせい
ふりがな文庫
“
擬勢
(
ぎせい
)” の例文
井村は
擬勢
(
ぎせい
)
を張って、兵馬の問いをいちいち
刎
(
は
)
ね返そうとしているらしいが、不安の念は言葉づかいの乱れゆくのでわかるのです。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と
擬勢
(
ぎせい
)
を示した。自動車は次第に動揺が烈しくなって
乗込
(
のりこ
)
みました。入江に渡した村はずれの土橋などは危なかしいものでした。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、やがて勇気を振い起すと、胸に組んでいた腕を解いて、今にも彼等を片っ端から
薙倒
(
なぎたお
)
しそうな
擬勢
(
ぎせい
)
を示しながら、
雷
(
いかずち
)
のように怒鳴りつけた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
元々、
摂津
(
せっつ
)
の中川、池田、高山らにたいして、万一の変あらばと、
擬勢
(
ぎせい
)
を張っていたに過ぎないものだった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
擬勢
(
ぎせい
)
である、口先でこそあんなことを云いながらも、彼女にも人間らしい心が、少しでも残っている以上、心の中では可なり良心の
苛責
(
かしゃく
)
を受けているのに違ない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
と
直
(
す
)
ぐに
答
(
こた
)
へて、
坂上
(
さかがみ
)
は
其
(
そ
)
のまゝ
立留
(
たちど
)
まつて、
振向
(
ふりむ
)
いた……ひやりと
肩
(
かた
)
から
窘
(
すく
)
みながら、
矢庭
(
やには
)
に
吠
(
ほ
)
える
犬
(
いぬ
)
に、(
畜生
(
ちくしやう
)
、)とて
擬勢
(
ぎせい
)
を
示
(
しめ
)
す
意氣組
(
いきぐみ
)
である。
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
右の武士は、慣れた人と見えて、
一目
(
ひとめ
)
猿を
睨
(
にら
)
みつけると、猿は怖れをなして、なお高い所から、しきりに
擬勢
(
ぎせい
)
を示すのを、取合わず峠の前後を見廻して人待ち顔です。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
按
(
あん
)
ずるに、錦は錦でも、それは無知な野性を駆るための衆愚の旗、つまり
擬勢
(
ぎせい
)
だったにちがいない。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宮田は、村川だと知ると、ちょっとおどろいたらしいが、
擬勢
(
ぎせい
)
は少しもくずさなかった。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
兄はまた
擬勢
(
ぎせい
)
を見せて、一足彼の方へ進もうとした。
お律と子等と
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
兵法でいう“
紛
(
まぎ
)
れ”と申す敵の
擬勢
(
ぎせい
)
だ。あきらかに敵の主力は、和田ノ
岬
(
みさき
)
の一軍団、湊川の
上
(
かみ
)
に見える会下山の一隊。——また、会下山と和田ノ岬との中間にある大軍勢。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
私
(
わたし
)
も
薪雜棒
(
まきざつぽう
)
を
持
(
も
)
つて
出
(
で
)
て、
亞鉛
(
トタン
)
と
一番
(
いちばん
)
、
鎬
(
しのぎ
)
を
削
(
けづ
)
つて
戰
(
たゝか
)
はうかな。」と
喧嘩
(
けんくわ
)
過
(
す
)
ぎての
棒
(
ぼう
)
ちぎりで
擬勢
(
ぎせい
)
を
示
(
しめ
)
すと、「まあ、
可
(
よ
)
かつたわね、ありがたい。」と
嬉
(
うれ
)
しいより、ありがたいのが
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
倭文子は、宮田を振りはらって、すぐにでも海へ飛び入りそうな
擬勢
(
ぎせい
)
を示した。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
何様
(
なにさま
)
、旗も煙も、たしかに
擬勢
(
ぎせい
)
だ。鹵城は今や
空城
(
あきしろ
)
にちがいない。いざ追い撃たん」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そちは残れ。そして、八王子から三ノ宮林へかけ、たくさんな松明をとぼし
連
(
つら
)
ねて、敵をあざむく
擬勢
(
ぎせい
)
をつくれ。そのまに、われらはべつな道より、山を降りて落ち行こうほどに」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、梁山泊
方
(
がた
)
にそんな大兵はあるはずもないから、これは宋江が
土地
(
ところ
)
の農民や
雑夫
(
ぞうふ
)
を狩り集めて
兵鼓
(
へいこ
)
を振るわせた
擬勢
(
ぎせい
)
であったに相違ない。けれど城中の驚きは一ト通りでなく
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“擬勢”の意味
《名詞》
見せ掛けの勢い。
動物が敵を脅す際に見せる姿勢。
(出典:Wiktionary)
擬
常用漢字
中学
部首:⼿
17画
勢
常用漢字
小5
部首:⼒
13画
“擬”で始まる語句
擬
擬宝珠
擬態
擬兵
擬物
擬音
擬装
擬寶珠
擬似
擬議