)” の例文
飛んでもねえ嫉妬野郎やきもちやろうだ。でけい声を出してお帳場を呼ぼうかね、旦那さん、どうするね。私が一つ横ずっぽうりこくってやろうかね。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、わっぱの頬でもるような平手の一てきを食らわせた。なんでたまろう、二つの体は仲よく躍ッてたまりの中へ飛んでいった。刹那。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
間もなく僕達は鉄舟寺てっしゅうじでこの次郎長さんの木像を見た。斬ったりったりを商売とする侠客とは思えないほどの好々爺だった。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
殘留するのなら義勇軍に志願しろといつたさうだ。一人のブルガリア人は何か口ごたへをしたので横つ面をられ、最後に階段から蹴落された。
大戦脱出記 (旧字旧仮名) / 野上豊一郎(著)
その男はまがいもなく西北原でマナサルワ湖の辺を共に巡礼して居りましたかの兄弟三人の中の一番の弟で、私の横面をばして倒した男なんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
このとき、私は横顔をられた。私は左の頬がしびれたような気がした。それでも私は黙っていた。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
引き戻しておいて、力任せに山木の横っ面をりつけると、青い顔をしてぶるぶる顫えながら
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
君兪は金で面をるやうな九如を余り好みもせず、且つ自分の家柄からして下眼に視たことでゞも有らう、ウン御覧に入れませうと云つて半分冗談に、真鼎は深蔵したまゝ
骨董 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
人間ならとしをした梅干婆うめぼしばあさんが十五、六の小娘こむすめ嬌態しなを作って甘っ垂れるようなもんだから、小滛こいやらしくてり倒してやりたい処だが、猫だからそれほど妙にも見えないで
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
憎むときはったりったりして、可愛がるときは頬っぺたにめついたり、息のつまるほど抱きしめたりしたヒステレカルなお柳に、長いあいだ子供はいじられていたらしかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「馬鹿野郎、り倒されない用心をしろ、旦那が笑つていらつしやるぢやないか」
「そだらだぐぢゃぃ。いゝが。」嘉ッコの兄さんが向ふで立ちあがりました。
十月の末 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
と抜いた旗二郎、ピッシリ、平打ち、り倒した。
怪しの館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
村にいたころのたけぞうなら、すぐり倒して撃退するか、血へどを吐かせて伸ばしてしまうであろう。だが今では、そういう気にはなれない。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は声をもかけずにその上級生をうしろからりつけておいて、漆喰の上へ投げ飛ばした。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
君兪はかねつらるような九如を余り好みもせず、かつ自分の家柄からして下眼に視たことででもあろう、ウン御覧に入れましょうといって半分冗談に、真鼎は深蔵したまま
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「馬鹿野郎、り倒されない用心をしろ、旦那が笑っていらっしゃるじゃないか」
「そだらだぐじゃぃ。いいが。」嘉ッコの兄さんが向うで立ちあがりました。
十月の末 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
……いろのことから、しからん、横頬よこぞっぽったという細君の、そでのかげに、申しわけのない親御たちのお位牌いはいから頭をかくして、しりも足もわなわなと震えていましたので、弱った方でございます。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「では。この弟が、何をいっても、御勘弁くださいましょうな。もし、お気に障ったら、幼時のお互いみたいに、直義の頬をりつけて下さればいい」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私はられたとき、もうすこしで先生に組付くところであった。けれども怺えた。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
何でも不便ふびんだ、可愛いと思うほど、手荒く取扱って、癇癪かんしゃくを起してね、横頬よこッつらりのめしてやりさえすりゃ惚れた奴あ拝みまさ。貴方も江戸児えどッこじゃあがあせんか。いえさ、若山さんの小主公わかだんなでしょう。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なにも、虎の一匹ぐらいをこぶしり殺したぐらいなことは、資本もとでのかかったわけじゃなし、たまたま、あっしが拾った道ばたの運みたいなような出来事。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
横顔を一拳ひとこぶしひしげよとりつけて、威丈高になって
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だが、奔牛の角に掛けられたと思ったのは、路傍の人たちの錯覚さっかくだった。ばん——と何か音がしたのは、下郎の平掌ひらてが、途端に牛の横面をつよくりつけたのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「横びんたりこくるだ。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
耐えている忍辱にんにくの横顔を、いきなりりとばされたように、将門は憤然と、まなじりを上げた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一つや二つ、顔をっても、容易にばばの手が離れないので、持て余したさらいは
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はしっこにぼんやりしていた一人の横顔を、平手で、ぴしゃりと、りつけた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せつな、尊氏はいきなりその弟の頬をピシッと烈しく一つりつけていた。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高氏は、ばッと相手の肩先をたきつけ、彼が泳ぐところを逆に抱き止めた。そしてその姿勢のまま、大きく一呼吸したとおもうと、足もとしどろに舞拍子をトントンと踏み鳴らし初めたのである。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それさえあるに、不意に群集を割って飛び込んできた一人の男は、いきなり宋江の体から婆さんをもぎ離してイヤというほどその頬げたをたおした。そしてたける閻婆を、もういちど蹴離しながら
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
意気地なく泣きだす顔を、ぴしゃッとりつけて
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたいの頬をったんじゃないか
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)