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掛聲
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かけごゑ
「やツ、」と
一ツ、
棄鉢な
掛聲に
及んで、
其の
敷居へ
馬乘りに
打跨がつて、
太息をほツと
吐く……
と
馬への
掛聲を
尤もらしくした。
茶碗の
拍子に
連れて一
同はぴつたり
靜かに
成つた。
跡になして
乘り
出す
車の
掛聲に
走り
退く
一人の
男あれは
何方の
藥取憐れの
姿やと
見返れば
彼方よりも
見返る
顏オヽ
芳さま
詞の
未だ
轉び
出でぬ
間に
車は
轣轆として
轍のあと
遠く
地に
印されぬ。
「
能く
御出です。
何うも
相變らず
寒いぢやありませんか」と
云ふ
常の
通り
元氣の
好い
主人を
見ると、
子供を
大勢自分の
前へ
並べて、
其中の
一人と
掛聲をかけながら、じやん
拳を
遣つてゐた。