振放ふりはな)” の例文
先祖以来、田螺たにしつっつくにきたへた口も、さて、がつくりと参つたわ。おかげしたの根がゆるんだ。しゃくだがよ、振放ふりはなして素飛すっとばいたまでの事だ。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
気がいて見ると、自分の手は獣のような重太郎に握られていた。驚いて振放ふりはなして起上おきあがると、重太郎は再びその手を掴んだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
うばはんとなすにぞ又七は長助にこゑを掛け盜人々々ぬすびと/\よばはりければ長助は先刻せんこくよりほか一人の男と組合くみあひたるが此聲を聞て金をとられては大變たいへん振放ふりはなし又七の懷中くわいちうへ手をいれたる男の横面よこつら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしおこしてくだされ、何故なぜ身躰からだいたくてとふ、それは何時いつつまゝに驅出かけいだしてだいをとことらへられるを、振放ふりはなすとておそろしきちからせばさだめていたからう生疵なまきず處々ところ/″\にあるを
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何者か知らぬが、不意に庭から飛び込んで来たので、忠一は早くも背後うしろから組付くみついた。重太郎はいらって振放ふりはなそうと試みたが、此方こなたも多少は柔道の心得があった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
持ちたる故隨分ずゐぶん用心ようじんはすれども白晝ひるひなかの事なれば何心なく歩行あゆみきたりし所手拭てぬぐひにて顏をつゝみたる大の男三人あらはれいで突然ゆきなり又七に組付くみつくゆゑ又七は驚きながら振放ふりはなさんとる所を一人の男指込さしこ懷中くわいちうの金子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お葉は驚いて慌てて振放ふりはなした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)