持餘もてあま)” の例文
新字:持余
あと立出たちいでけり然ば九郎兵衞は是より百姓になり消光處くらすところよからぬ事のみ多ければ村方にても持餘もてあまいづれあきれ果ては居けれども九郎兵衞は狡猾わるかしこき者故勿々なか/\越度をちど
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
色々いろ/\折檻せつかんもしてたが無駄むだなので親父おやぢ持餘もてあまし、つひにお寺樣てらさま相談さうだんした結極あげくかういふ親子おやこ問答もんだふになつた。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
勉強べんきやう出來できず、稼業かげふ仕事しごと捗取はかどらず、持餘もてあました身體からだ春寒はるさむ炬燵こたつはふんで、引被ひつかついでぞたりけるが、時々とき/″\掛蒲團かけぶとんえりからかほして、あゝ、うゝ、と歎息ためいきして、ふう
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十兵衞と云しが兄作藏は性質うまれつきよからぬ者にて村方にても種々しゆ/″\樣々さま/″\の惡事をはたらきし故親の作十も持餘もてあまつひ勘當かんだうに及びしが弟十兵衞は兄とちが正路しやうろの者にて隣村迄りんそんまで評判ひやうばんきにつき是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はなし如何にも差迫さしせまりたる體に見せければ兩人とも流石さすが伯父をぢのことゆゑ兩親ふたおやとも此叔父をぢ殺害ころされしとは夢にも知らず特に母が病氣ときゝ姉妹はらから二人にて心一ぱい出來できほど合力がふりよくに及びければ強慾がうよく非道ひだうの長庵は能き事に思ひ毎日々々の樣に無心に行ける程にはては丁山小夜衣も持餘もてあましてことわりを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)