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扁
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ひら
ふりがな文庫
“
扁
(
ひら
)” の例文
ブドウの実は誰れでも知っているように甘い液汁を含んだ漿果で味が
佳
(
よ
)
い。そして果内に僅かの緑褐色なやや
扁
(
ひら
)
たい種子がある。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
二寸も
突込
(
つきこも
)
うと云うには非常の力を入れて握るから二ツの脚が一ツに
成
(
な
)
るのサ(大)一ツに
成
(
なっ
)
ても穴は横に
扁
(
ひら
)
たく開く筈だ
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
そして一つ一つ何やら円い
扁
(
ひら
)
たいものを撥ね上げて進みます。円い扁たいものが撥ね除けられた跡には、見るも潤って美しい踏石の面が現れ出ました。
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
全体水蛇は尾が海蛇のように
扁
(
ひら
)
たからず、また海蛇は陸で運動し得ず、皮を替えるに蜥蜴同然片々に裂け落ちるに、水蛇は陸にも上り
行
(
ある
)
き
全然
(
まるきり
)
皮を脱ぐ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
ただそれが屋根の三角の角度を、こんなに
扁
(
ひら
)
たくしたのは新らしいことで、手みじかにいうと、
瓦
(
かわら
)
がわたしたちの手にはいりやすくなった結果なのである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
そればかりでなく煙管の吸口をガリガリ噛むので銀の吸口が
扁
(
ひら
)
たくひしゃげていたようである。
喫煙四十年
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
すると黄と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかる雁が、ちょうどさっきの鷺のように、くちばしを
揃
(
そろ
)
えて、少し
扁
(
ひら
)
べったくなって、ならんでいました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
しかし結い立ての
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しの
鬢
(
びん
)
が
蝉
(
せみ
)
の
羽
(
は
)
のように薄いのと、鼻の高い、細長い、
稍
(
やや
)
寂しい顔が、どこの加減か額から頬に掛けて少し
扁
(
ひら
)
たいような感じをさせるのとが目に留まった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
小さな
鶏卵
(
たまご
)
の、軽く
角
(
かど
)
を取って
扁
(
ひら
)
めて、
薄漆
(
うすうるし
)
を掛けたような、
艶
(
つや
)
やかな堅い実である。
栃の実
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鰆
(
さはら
)
があがるころとなると、大地の温みに長い冬の眠から覚めたこの小さな蔬菜は、その
扁
(
ひら
)
べつたく、柔かな葉先で、重い畔土のかたまりを押し分けて、毎日のやうに寸を伸して来る。
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
此の夜縄をやるのは矢張り東京のものもやるが、
世帯船
(
しょたいぶね
)
というやつで、生活の道具を一切備えている、底の
扁
(
ひら
)
たい、後先もない様な、見苦しい小船に乗って居る
余所
(
よそ
)
の国のものがやるのが多い。
夜の隅田川
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それで元来た道の方へと引きかえした。一丁ほど走ると、カーンと靴先に音があって何か金属製の
扁
(
ひら
)
ったいものを蹴とばした。探してみると、それは銀製のシガレット・ケースにすぎなかった。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
方一尺ほどで
扁
(
ひら
)
たく出来て、先ず硯箱の聊か大きい様なものだ、先刻権田時介が小脇に挾んで去った品も或いは此の類の箱ではなかったか知らん。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
ただ
扁
(
ひら
)
たく珍らしいばかりだ。が少し歩るいて居るうちに永年居慣れた西洋の街や外景と何も
彼
(
か
)
もが比較される。
豆腐買い
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
秋冬ブナやカシの下の地中に生ず。イタリアでもっとも貴ばるるチュベール・マグナツムは疣なく、形ザッと
蜜柑
(
みかん
)
の皮を剥いだ跡で嚢の潰れぬ程度に
扁
(
ひら
)
めたようだ。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
これにはんして
釜無川
(
かまなしかわ
)
の岸にちかい
信州境
(
しんしゅうざか
)
いの農家は、
枌板
(
そぎいた
)
をもって葺くものだから、東の郡内やそのつづきにくらべると、屋根がずっと
扁
(
ひら
)
たくなっているのである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
足が砂へつくや
否
(
いな
)
や、まるで雪の
融
(
と
)
けるように、
縮
(
ちぢ
)
まって
扁
(
ひら
)
べったくなって、間もなく
熔鉱炉
(
ようこうろ
)
から出た銅の
汁
(
しる
)
のように、砂や
砂利
(
じゃり
)
の上にひろがり、しばらくは鳥の形が、砂についているのでしたが
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
その一つは板葺き一派の三角のゆるい
扁
(
ひら
)
たいもので、ささ板やこけら板で葺いたのから、
檜
(
ひ
)
はだ、
杉皮
(
すぎかわ
)
の屋根まであり、現在さかんに建っている
瓦葺
(
かわらぶ
)
きもその中にふくめてよい。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
可怖
(
おそるべし
)
、また高吼の義という。翼生えた若い極醜女で、髪も帯も、蛇で、顔円く、鼻
扁
(
ひら
)
たく、出歯大きく、頭を揚げ、舌を垂れ振るう。あるいはいう、金の翼、真鍮の爪、猪の牙ありと。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
何が原因か全体髪の毛は先ず大方円いとした者で、夫が
根
(
もと
)
から
梢
(
すえ
)
まで一様に円いなら決して縮れません
何
(
ど
)
うかすると中程に
摘
(
つか
)
み
挫
(
ひし
)
いだ様に薄ッぴらたい所が有る其
扁
(
ひら
)
たい所が縮れるのです
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
伊良湖
(
いらご
)
で椰子とともに私が拾った中にも、藤の実の形をして
莢
(
さや
)
が二尺もあり、
堅
(
かた
)
く
扁
(
ひら
)
たい
濃茶色
(
こいちゃいろ
)
の豆をもったものを、土地でもモダマと呼んでいたから同じもので、産地季節が同じかったために
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
扁
漢検1級
部首:⼾
9画
“扁”を含む語句
扁平
扁柏
扁舟
耆婆扁鵲
扁豆
扁額
扁桃腺
扁鵲
魚扁
扁桃
扁平石
扁桃腺炎
扁石
輪扁
扁平足
千扁一律
武扁
河野扁理
甘扁桃油
示扁
...